マリメッコの花から陶の実へ|石本藤雄展
2019/6/24
石本藤雄とは、
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1941年愛媛県砥部町出身、フィンランド・ヘルシンキ在住。1970年にフィンランドに移り、1974年から同国を代表するライフスタイルブランド「マリメッコ」で32年に渡りテキスタイルデザイナーを務める。現在はフィンランドの老舗陶器メーカー「アラビア」のアート部門の一員として陶芸制作に取り組む。カイ・フランク賞、フィンランド獅子勲章プロ・フィンランディア・メダル、日本では旭日小綬章など多数。
フィンランドの豊かな自然や幼少期を過ごした愛媛県砥部町の風景を創作の源として、意欲的に新しい表現を追求してきた石本藤雄。世界中に多くのファンをもつフィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」にて32年間で400点を超えるテキスタイルデザインを生み出したのち、同国の老舗陶器メーカー「アラビア」のアート部門に所属し、77歳を迎えた現在も陶芸家として数多くの作品を発表しています。
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日本とフィンランド。
とても離れているけれど、なんだか似ている気がする。
日本もフィンランドも空白(静寂)を大切にし、自然を尊重する。
国土の多くを森林が占めているからか、そんな心の奥に無意識に存在している思いが共通しているのだと思った。
だからこそ、デザインに空白と自然と抽象を持ち合わせたフィンランドのデザインが、多くの日本人の心を掴むのだと感じた。
そして、日本の原風景の中で育ち、フィンランドで過ごしてきた作者だからこそ、描けるテキスタイルだと思った。
そんなことを考えながら、私は大学3年生のフィンランドで過ごした夏のことを思い出していた。
フィンランドは心にゆとりのある街だと感じた。
横断歩道をまっていたら、車は必ず止まってくれる。
そんな一見当たり前で普通のことが、とても新鮮で心地よかった。
そして、フィンランドのひとたちは貯金をしないらしい。
なぜなら国が守ってくれるから。
失業しても、定年退職しても、だれもが国からのサポートを受けて生きていけるという安心があるため、今を楽しむという気持ちになれるらしい。
そして、学費もかからないため多くの大人が社会人になっても大学に通い、生涯学びをつづける。
ヘルシンキ以外の場所は高層ビルも、派手な繁華街もほとんどない。そのかわりに、学校や美術館などの公共施設が多く存在する。
日本が目指す街の姿と、フィンランドが目指す街の姿は全く異なるものであると感じた。
そして、姉の知り合いの日本人のおじいさんの家に行った時、とても羨ましくなった。
庭にはたくさんのベリーがなり、それを詰んでジュースにしたり、ジャムにしたり。
時間がとてもゆっくりと、そして丁寧にながれていた。
そのおじいさんが、フィンランドの暮らしを気に入り移住したように、私もここで過ごしたいと感じた。
フィンランドの話が多くなってしまったので、最後に作品の写真を載せてごまかそうと思います。