20歳の自分の顔より30歳の自分の顔が好きだ
あの時の輝きは失われたかもしれないけれど、私は今の自分の顔が好きだ。
20歳の自分は、辛いことといえば恋人と上手くいかないとかそんなもんで、日々めちゃくちゃ笑ってめちゃくちゃ泣いていた。
未来は全部自分の手で創り上げていくものだと思っていた。
想像するその未来は、明るくて最高でハッピーだった。
「頭空っぽの方が夢詰め込める」なんて歌詞がある。あれは本当だな。
20歳の私は、空っぽで、夢にまみれていた。
それと同時に自分自身に失望していた。
空っぽな自分のことは好きになれなかったし、私の見ている夢は理想の素敵な完璧な誰かの、夢だった。
10年経って30歳。
女の30歳って、嫌なものだと思っていた。
20歳の自分からしたら所謂「おばさん」って感じ?
実際になってみると30歳、やっと自分をわかり始めた気がする。
今流行っているパーソナルカラーとか骨格診断とか顔タイプとか、そういうのももちろんあるけれど、なんか"馴染んできた"感があるのだ。
何に?
顔が。自分に。
コンプレックスは沢山あった。
ブスと言われたこともあるし、容姿に関する指摘は結構受け取ってきた。
今だって消したいシミもシワもあるし、欲を言えば限りない。
だけど今は、あんな人になりたいこんな顔になりたいという理想から離れて、自分というものがどんな形なのか把握出来るようになった。
どこまでいっても自分は自分でしかないのだ。
それを悲しいとか思わずに受け入れられるようになった。
気付いたら30歳になっていた。
この感情は諦めに近いのかもしれない。
何者にもなれなかった女の末路と思われるかもしれない。
まぁでも、諦めって人生で一番大切でしょ。なんて適当な名言を創り出す。
そういえば20歳の私の空っぽは、何で埋まったんだろう。
甘くて辛くて苦くてしょっぱいものが積み重なった10年だった。
何者にもなれなかった私は、ずっと私のまま生きていく。
おわり