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ブタ野郎の魅力

ひたすら「ブタ」と呼ばれているオッサンがいる。


確かに座ってモリモリ食べてゴクゴク飲んでいる様は

「千と千尋」のブタになってしまったお父さんさながら。

でっか〜いお尻に食い込む上に
一生懸命話すたびに揺れてミシミシいう椅子もかわいそう。

ブタは話す時、目をひん剥いてツバを飛ばしまくって話す。

そこで気づく。

ブタは食べるのも飲むのも話すのも一生懸命だ。

特に話すのは、どんな小さなことだって言葉を選んで
自分の意図することを正確に伝えようとしているし

面倒な質問にも汗をかきかき身振り手振りで
理解してもらおうと必死だ。

その様子は愛おしい。

ブタは言う。
「俺は女に酒を注いだことなんかないんだ。」

でも、私のグラスが空いた時
ピクリと右手が上がりかけたのを私は見逃さなかった。

女にモテないことが
オッサンまで来たブタにとっての信念でステイタスで

金も地位も時間もありながら
貫いているブタは

なかなか魅力的だと思うのだ。



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