ひとりでカラカサさしていく
ミステリのような推理小説のようなサスペンスのような物語の中で、ありきたりな人間模様に温かさを覚える。
登場人物が身近な人の死を通じて、自分自身の心の中を覗き込んでいく。
普段の忙しい日常では気づくことのない細かい描写に引き込まれる。
頑なな姉弟関係や、軽蔑して近づくことのない母娘関係、自由奔放な恋愛関係、全幅の信頼を築いた師弟関係。
家族といいながら、血縁関係というのは時に他人よりも遠い心理的距離感を創り出す。
個人を見つめるとき、社会的関係というのは役割の一つでしかない。
相手は何を自分に伝えたか。
自分は相手に対して何を伝えるか。
一生のうち出会う人間の数が限られる中で、対話の機会を逃していては後悔する。