スクラップ・アンド・ビルド 介護の盲点を知る
28歳になる健斗は、郊外の集合マンションに母と祖父と3人で住んでいる。
離職後7ヶ月は中途採用面接を受ける傍ら、治験アルバイトなどをして生活を繋いでいた。
三流大学卒、元中古車ディーラーの営業職という肩書きはなんの役にも立たない。
人並みに一応彼女もいるが、その程度の付き合い。
家庭内での祖父の身体・精神の衰えようを見て、自分の若さや体力を実感する。
昼間ほとんど寝たきりの祖父は、ことあるごとに介護が必要であることをアピールする。
祖父の発するネガティブな鬱っぽい言葉とは裏腹に、杖の音を響かせ廊下を歩くわざとらしさに辟易する。
実の親子間での自立を促すマイナス介護と、プロによる要介護認定を上げるための過剰足し算介護を対比させる。
現代日本で避けられない介護の盲点を提起する。