自然農との出会いがトリガーになって、地方移住を決意したピアニストのこと episode5 【当時共産圏だったハンガリー🇭🇺おどろきのリスト音楽院留学時代】
当時は、まだ共産圏だったハンガリーですが
それはそれは素晴らしいところでした。
なにがって、、もう、すべてです!
(1枚目はドナウ河をはさんで国会議事堂のあるペスト側からみた王宮。2枚目はドナウ河をはさんだブダ側の王宮からみえる国会議事堂。川にかかってみえているのが、わたしの通学路だった“くさり橋”)
まず、留学生としての目線からいうと
学費はほかのヨーロッパと比べてとても安く
(それでも前年の2倍に値上がりしたとのこと)
学生証を提示すれば、ほとんどのコンサートは無料‼︎
それまでは、どうしても
自分の専攻のピアノのコンサートに行くのが精一杯で
オーケストラや弦楽四重奏などのコンサートには
行きたくてもなかなか行けませんでしたが
毎晩のように開かれる素晴らしいコンサートが
聴き放題って、、
これはもう、夢のよう❣️✨
しかも、学生席はいわゆる最上階の“桟敷席”でこそあれ
音響的には最高の場所なんです💓
また、リスト音楽院の大ホールは
ハンガリーが国家の誇りをかけて建設した
それはそれは美しいアール・デコ様式の
宮殿のような空間❣️
響きも素晴らしく、そこで演奏するのも聴くのも
最高の経験になる…そんなスペシャルな場所なのです。
そこでのコンサートはすべて無料になるばかりか
国立美術館などのミュージアムもただ。
医療費もただ。
学生定期だって、地下鉄、市電、バス…
すべて乗り放題のものが、月額500円しません。
また、ハンガリーの食べものは本当に美味しくて
まーったく日本食ロスにならないほど
なにをたべても美味しいのです😋
たとえばスイーツ。
見た目は素朴でも添加物や保存料などとは無縁な食材、良質なチーズやバターがふんだんに使われていて、
とても優しい甘さでいくらでも食べられる‼︎
(左はココナッツとダークチェリーの“お団子”。右はどのパン屋さんやスタンドでも買える、フレッシュなカッテージチーズのパイ。いずれも驚くほど自然な甘さ。かなりのボリュームですが、2つぺろりと食べてました)
パンやミルクもに保存料や添加物が使われていないので
ミルクがすぐに固まってしまったり
パンにカビがはえたりするのですが
逆に「日本では、なんであんなに平気で日持ちしてたの?」という疑問が…(^_^;)
もちろん、お料理も美味❣️
日本ではまだまだ知られていませんが
パプリカチキン
パプリカソースのクレープ
グヤーシュ スープ
仔牛の赤ワイン煮込み
パプリカ風味のロールキャベツ
などなど、、
ここにご紹介しきれないほど、
美味しいお料理がたくさんあるのです。
(↑こちらは自作のハンガリー風ロールキャベツ、自家製サワークリーム添え。こうして、いまもハンガリーが懐かしくなるとハンガリー料理を作ります)
また、ハンガリーの人々は皆さんとても親切で
とにかく、たくさん話しかけてくださる。
ハンガリー語がわからないわたしでも
まったく気せず声をかけてくださる(笑)
困った様子をみてとると、すぐに助けてくださったり
少しでもハンガリー語で答えようものなら
うんと褒めてくださる‼︎😊
わたしがホームシックにならなかったのは
そんなふうに皆さんが
温かく、豊かな心で接してくださったことも
とても大きかったように思います。
ハンガリーでは、文化と教育、福祉においても
かなり丁寧な配慮がされていて
バブル期だった日本からやってきた
当時20代前半だったわたしは、ここで、
「経済の豊かさが、人に
心の豊かさや豊かな人生をもたらすとは限らない…?」
「私たちは“24時間闘えますか⁉︎”と、歯をくいしばって
いったいなにに向かってきたんだろう??」
…という疑問がふつふつ湧き起こってきました。
誰かと競ったり、打ち負かしたり
何かを犠牲にしなくては成り立たない幸福って…?
それって、スタートからして
進むべきベクトルを見誤っているのではないか…と。
留学生のなかには、シングルマザーとして
ハンガリーで出産した友人もいましたが
医療費や乳児園・幼稚園にかかる費用は最小限で
“国家でお世話をする責任がある、
大切な外国人留学生だから”…とばかりに
手厚く、有り難いケアを受けられたと聞いています
(↑こちらは、ハンガリーの小学校低学年の音楽の教科書。採用されているのは母国のわらべうた、民謡。外国の歌は中学年まででてきません。)
、、、、
さて、この説明だと完璧に恵まれた環境のようですが、
不便なこともありました。
しかも、今となっては考えられないくらい…😅
携帯電話もインターネットもない時代、、、
せめてもの“命づな”である電話ですら整っていなく
公衆電話はほとんど壊れていましたし(笑)、
国際電話を確実にかけたいならば
大きな郵便局やホテルに行かなくてはならなかったり。
そもそも、家に電話がなかったり‼️(笑)
いまでは考えられないですよね。
あ、そういえば、電話やネット環境もなかったうえに
テレビのチャンネルも3つくらいしかなかった‼︎(笑)
家電にしても、電子レンジがないのは当たり前だとして
はじめの頃は洗濯機もなく、すべて手洗い。
(おかげで手洗いが苦にならなくなりました♫)
冷蔵庫も、冷凍庫がない小さくて可愛いものでした。
ないものは電気関係だけではありません。
年中、苺やオレンジがある日本に慣れていたので
食に関することについても、驚くことばかりでした。
八百屋さんには、旬の作物しか並ばないのです。
いちばんびっくりしたのは、バナナ🍌‼︎
流通の関係でハンガリーにはめったに入ってこなくて
ゲリラ的に入荷されようもんなら、そりゃーもー、、
フェスティバルです〜‼️\(^o^)/
「あそこの果物やにバナナがあった!」
という情報が流れようものなら、
大学の教授も講義を中断して、買いに走る‼︎走る‼︎🏃♂️
食べ物だけではありません。
ポケットティッシュもなかなか手に入らず
ようやく見つけられても、中国製。。
ところがこれがまた、鼻が擦りむけるほど硬い紙で
しかも三枚重ね‼️🙀🙀🙀
それでも、何もかもが楽しかったのは、、
そこで思いっきり大好きな音楽の勉強ができたことと
良き先生、良き仲間にめぐりあえたからでした💕
なんとも有り難いことに、わたしは
そのリスト音楽院大ホールでの
コンサートで演奏させていただいたり
ハンガリー国営放送に出演させていただく
機会を頂いたりと
いくら感謝してもしたりない幸運に恵まれました✨
このように、ハンガリーでは、
お伝えするのに本一冊では足りない?ほど
たくさんの貴重な経験をさせていただきました。
そのうえ、このあとアメリカにまで渡り
シカゴの大きな音楽祭にも
出演させていただく機会に恵まれたのですが
ここらへんで、一度日本に舞台を戻そうと思います。
いよいよ、自分の向かう方向性について
目を背けられなくなる大きなきっかけになるできごとと
向き合うことになります。
(『自然農との出会いがトリガーになって、地方移住を決意したピアニストのこと』episode5に続く)
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