ハンドボール無知だった私がハンドボール無しでは生きていけなくなったワケ【③】
推しを発見
もちろん競技の迫力だけに限らず、人の魅力にも虜になった。
推しとの出逢いである。
彼は、プレータイムこそ少ないものの、いつも前向きに強い心でチームの為にひたむきだった。
若い力で、ただただがむしゃらだった。
彼が伝えてくれた言葉に印象的なものがある。
『今シーズンにかける想いは違うものがあるので』
その時私は少し違和感を覚えたが、気づかないようにその気持ちに蓋をした。
しかし、シーズン終盤にその言葉の意味を知ることになる。
まだ25歳、彼の引退のニュース。
喪失感と共に、業界の選手の境遇の厳しさを感じずにはいられなかった。
ハンドボーラーはチームに所属しながら、一般職を掛け持ちしている選手が多い。プロ契約している選手は一握りしか存在しない。
自らの有給を使って遠征に行ったり、試合の次の日は朝から出勤したり。
ハードなスケジュールをこなしながら、会場設営や撤収作業までもこなしている。
現状を知った時に、本当にこれでいいのか?とても疑問が残った。
ただの傍観者がこんな大それた事をいうのは、本当に見当違いだと思うが、私ができる事、彼らの境遇を少しでも変えられる何かができないのだろうか?と真剣に考えるきっかけになった。