こじらせシングルマザーが出来あがるまで⑥
見栄を張るということ
この言葉をクレヨン野郎に問いかけたい。
今回はクレヨン野郎ミニ講座。クレヨン野郎という人間の性格、立ち位置を知ってもらいたい。
クレヨン野郎とは私の恋人であり、私の息子の父親である。旦那ではない。この関係を詳しく知りたい方はこれまでのお話を読んで下さい。
とにかく物事を大袈裟に話すのが得意である。
話し方が上手いせいか、クレヨン野郎の免疫がない人は話を信じてしまう。友人や仕事仲間という関係なら特に迷惑をこうむるわけではないので、なんの問題もないが、一緒に住むとなるとそうはいかない。
8年間このビックマウスと同棲してきてネタにしか聞こえない話から迷惑な話まで数多くある。そんな話を今日は書いていきたい。
クレヨン野郎はよく物をなくす。そして何の根拠があるのか自分の過失ではないと言い張る。
育児で寝不足の私に向かってこう言いだした
『ここに大量に置いといたSuicaしらない??』
ーー知らない。
ぶっちゃけその時、起きたばかりで頭が回っていなかったこともあり適当にしか聞いていなかった。どうせどこかに置いたのを忘れてるだけだろうと思い気にしていなかったが、その後何度も聞いてくる。
『ここに置いといたんだよ。大量に置いといたからなくなるはずないんだよ。』
ーーこれは私に探せと言っているのか、私が失くしたと言っているのか。
おそらく両方である。
まぁ育休中で家に居るから探してやることにした。
開始5分。クレヨン野郎の棚に大切に飾られてある雑誌LEONと壁の間からパラパラ落ちてきた。パラパラ。
この表現が正しいのか分からない。
Suicaが2枚。
パラパラ。
まだ挟まってるのかなと確認。。。他には無い。
ーーあいつ!たった2枚のSuicaを 大量 って言ったんかい!!
大声がでそうになったが、愛息子が横で天使のような寝息をたてているので心の中で突っ込んだ。
毎年お盆の時期に、なんとかなる男夫婦(3話目参照)を筆頭に友人を誘って15人位で熱海旅行をする。熱海に別荘が安く借りれるのでBBQやらゴルフやらで楽しく1泊2日を過ごす。
いつも決まって幹事をするのが私だ。
15人もいると、当然統率が難しい。レンタカー代、BBQ、お酒、花火・・何にしてもお金がかかる。全員が好き勝手買ってはとんでもない費用になる。
連れていく友人はその時々によって違うが、男性陣はもっぱらクレヨン野郎の仕事仲間がくる。立場的にクレヨン野郎が一番上だ。
ある年の熱海旅行での一幕
私にとって旅行中にお金を集める行為は結構しらける時間に感じる
その空気に耐えられない人間なのでこっそり回収にまわる。道中立ち寄ったコンビニでタバコを吸いながら雑談していたクレヨン野郎と部下2人に金額を伝えるとクレヨン野郎が一言
『この2人の分は俺が出すから!』
ーー見栄張ったな。
まぁ私はお金が回収出来ればいいわけである。3人分の金額を回収して目的地へ向かう。
海で楽しく遊んだ後は、メインイベントのBBQが待っている。買い出しは男性陣に任せて、女性陣は別荘で準備。お酒はすでにネットで安く仕入れている。食材費3万をもたせバランスよく買ってくるようにと・・・
まぁ予想は出来るだろうが 満面の笑みで手にぶら下げてきたのは肉・肉・肉の塊!!
しかも普通の肉ではない。グラム500円位の高めの肉
ーーこういう時は質より量だろうがよ!何人いると思っとんじゃ!!
そして誰の目から見ても明らかな予算オーバー。
こっそり部下の一人に誰が肉を選んだのかを聞くと、やはりクレヨン野郎。肉の蘊蓄をたれながら買っていたらしい・・・
いいよ。いいよ。美味しいから。
でも知らないよ。3万しかないよ。しーーらない。
さぁ楽しい熱海旅行が終わって家に着く。疲れた体に鞭を打って荷物を片付けていると、クレヨン野郎が一言。
『ねぇ 食費代ってどうなってんの?俺がまとめて払ったけど3万じゃ足りなかったよ』
ーーきたーーーーーーーー!!!!!いうと思った!!!そりゃそうだろうよ。
『3万しかないよ。予算の中で買ってきてって頼んだじゃん。』
反論。
『いや!俺が全部選んだわけじゃないし、みんながバンバンかごの中にいれるから分かんなくなったんだよ。ってか、部下の分の旅費だしたのも俺だからね』
ーー部下の旅費!!!しったことか!!!
部下の前だと見栄を張らなければ生きていけないのかしら。
反論。
『じゃあ皆にあと少しずつお金出してくださいってLINEすれば』
プライドが高いクレヨン野郎にとってこんなLINEは死に値する
私の一言でクレヨン野郎を黙らせることが出来たのはこれが初めてかもしれない。
クレヨン野郎よ。お前の見栄をはる相手に私は含まれないのか。。。
誰よりもまずは女に対して見栄を張ってみてはどうだ。。