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こじらせシングルマザーが出来上がるまで②

ここで息子の父親の事を『クレヨン野郎』と呼ぶことにしよう

私と彼の複雑な関係を知ってもらうには、彼の複雑な性格をしってもらわなければならない。

『あーいえばこーいう』まさにこの言葉から生まれてきたような人物だ。クレヨンしんちゃんにちなんで『クレヨン野郎』と命名。しんちゃんは無垢な心の持ち主だが、彼は40歳で大人の知恵がつてしまっているから質が悪い。

自己称賛力が高い。ビッグマウスの気あり。

8年間一緒にいても取扱説明書が欲しいと心から思う。クセの強い男だ。そうは言っても嫌いなわけではない。私の大好きなクレヨン野郎だ。愛着をもってこの名を使いたい。

逸話を書き出すときりがないので、クレヨン野郎にまつわるエピソードを何個か紹介しよう。


クレヨン野郎は仕事人間で仕事仲間や部下が多い。妊娠前はよく仕事仲間との飲み会やゴルフに私も同席していた。たいていは家の近くのラーメン居酒屋でご飯を食べていた。

クレヨン野郎はお酒が入ると、とにかく話が長くなる。そして過去にも聞いたことのある話を何回もする。一応オチは決まっているが毎回少しずつ脚色されている。楽しんでいるのは本人と初めてその話を聞く人だけである。それでも部下達は初めて聞くかのようにリアクションしてくれるので、本人は調子に乗って話し続ける。

一度、よく集まる部下だけの時に幾度となく聞いたことのある話が始まった。あきらかに全員聞いたことのある内容だ。つい私が

「その話聞くの4回目だよ!」

禁断の一言を発射。

「これは特訓してるの!聞いたことのある上司の俺の話をどの位楽しそうに聞けてるか、相槌できてるか見てるの。取引先とかで失礼な態度をとる事のないようにする特訓なの!」

おっと!

物も言いようとはこの事である。

しかも妙に納得してしまう言い訳である。

何故素直に「そうだっけー?」と言えない。飲み会で知らないうちに特訓されてる身にもなってみろ。

私はそう心で呟きながら それって迷惑! という言葉を飲み込んだ。。。


4年前私の部屋では荷物が入らなくなり、引っ越しを決意。2人で部屋をさがすことになった。素敵な部屋が見つかり、いざ契約の話を進めていると不動産がここぞとばかりに仲介料や諸経費をプラスし、費用が膨れ上がっていった。クレヨン野郎は昔から不必要な経費にはお金をかけないと仕事で叩き込まれていたせいか、もっと安くなるように交渉し始め、なかなか話が前に進まない。

私は初期費用はしょうがないと思っていたが、彼は断固として譲らず、一度持ち帰って検討することに。

ややこしい交渉は私には出来ない、交渉はクレヨン野郎に任せることにした。

しかし数日たっても話が進まない。もう今住んでる所の解約の日にちきまっとんねん!!住むとこなくなるやろうが!このイライラを一人で爆発させ、とりあえず私が違う不動産会社に電話してみる事に。

この部屋に住みたいんだが今の不動産会社だとお金が高くつく。そちらだといくらになりますか?

この一言で全部解決。総額は予定の半分以下になり、契約の日にちを決め、揉め事にならないように最初の不動産には丁寧に断りの電話をいれた。

ここまでの時間およそ10分。

クレヨン野郎には契約に行ってもらうだけに手筈を整え、無事に契約完了。全ては私のおかげ!!とクレヨン野郎に自慢することはなく自分で自分を心の中で褒めた。

新しい部屋に住みはじめて2年程たった時、共通の先輩夫妻に子供が生まれたので遊びに行くことに。楽しく話をしているうちに、先輩夫妻がもう少し広い家に引っ越すか迷っているという流れになった。

すかさずクレヨン野郎が言った

「引っ越す時は不動産屋の提示金額に素直に従ったらダメですよ!」

ふむふむ。そうだね。君はねばってたもんね。

「俺たちが今の部屋にしたとき、めっちゃ交渉しましたよ!なんか20万位上乗せしてきたから、気づかれないように業者変えたりして、最終的に半分の費用ですみましたよ。やっぱり交渉大事ですよ!俺仕事で交渉するのは慣れてるから何かあったら任せて下さい。」

ちょっと待て。

お前何言っとる。

君役立たずだったじゃん!!総額を半分にしたの私だし!!

さすがにこれには物申した

「いやいや。クレヨン野郎!何もしてないじゃん。手筈を整えたのは私だし、交渉っていうか業者を変えただけだし!」

返答はこうだった

「違うよ!Sは(←私のことです)電話して日にちを決めただけでしょ あとは俺が話つけてきたんだよ」

んんんんんんんんんーーーーーーーーーー!!!!!!!???何言ってるのこの人-----??私が業者と電話した時に決めた金額から1円も変わってないけど!1円も!!!!

怪訝な顔でクレヨン野郎を見てやった。

不思議な顔して見返してきやがった。

これこそ特技【記憶の変換】

人の手柄をとりたいわけじゃない。本当に自分がしたと思ってる。こう思ったら最後。何言っても言い返されて喧嘩になる。ので、黙っておくことにした。。。


こんな性格のクレヨン野郎。

クレヨン野郎の性格をよく知る人にとったらこんなの序の口。だが、これが後々笑い話になるから面白い…

世の中の夫婦に問いたい 相手の短所を受け入れられるようになったのはいつですか?


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