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catalinaと"Walls,Fragments"(前編)

1stアルバムの"Walls,Fragments"のリリース作業もバタバタしつつひと段落してきたので、10年近くやってきたバンドのことを少し思い出しつつ、レコーディングとアルバム曲に関する話を少し取りまとめていく。

前置きとしてのバンドとレコーディング直前までの話

2016年の秋に2nd demoをリリースした直後、それまでエモ・ポストロック・ポストハードコアを基調としてやってたcatalinaはギター・ドラムが一気に脱退し、これから本腰入れてやっていくぞ~と思ってた活動に大きくブレーキがかかった。町田南口のデニーズでメンバーに脱退を告げられた時に、めちゃめちゃ自暴自棄になったことを覚えていて、家にある(今もある)デモの大量の在庫を抱えながら壮大に頭を抱えることになる。

メンバー脱退前の4人でやってた村井さんのコーラスが印象的な曲。
(ギターボーカルとベース以外、皆楽器が上手かったのである)

渋谷のジンギスカン屋で村井さんとまあドラマー探して3ピースでやっていくか~となんとなく決意を固めた直後に、大学の後輩の大向から「なんかおすすめのポップパンクバンドないすか?」とラフな連絡が来て、CopyrightsのYoutubeリンクを送りつつ、catalinaでドラムたたいてくれない?とお願いをしてみたところ、二つ返事でOK。2017年は再始動しつつも、4人時代の曲調を引きずったクソみたいな曲と、演奏力が格段に下がった(大向は上手かった)クソみたいなライブを連発し、意気消沈しながら過ごすことになる。

なんとなく4人時代のイメージを払拭したかったのと、自分のルーツに立ち戻ってメロディックパンクで勝負したかったので、年明けから急ピッチでその時納得感があった3曲をほぼ2日でレコーディング。デモ時代にずっと録ってた荻窪のリンキィ(もう今ないのかな?)と、ナイスパの深夜帯で。渡辺さんあの時は無理言ってすいませんでした。

「Ideal Breakfast EP」
とにかく音源出さないとという気持ちが前に出すぎていた

音源自体は自主制作で2018年の11月にリリース。翌年のナイスパでのレコ発も控えつつ、ダラダラ過ごしている頃にwithoutのレコ発かなんかでオリーブで知り合い、生まれて初めてHorace Goes Skiingの話ができた吉野さん a.k.a メロディックゴッデスからRaft RecordsからEPをリリースしないかという鶴の一声があり、即決で快諾。2月にRaft企画でオリーブで企画も組んでもらい、来場者特典として、Tonota80というバンドの「Can't buy an emotion」という曲を調布のスタジオでセルフレック。当日雪が降ったのか、そもそも人気もなにもなさすぎるせいなのか、当日10枚しか配布できずに終了。

「Can't buy an emotion」のカバー
何故か東欧あたりで人気になったらしく、2,000再生くらいされた

2019年の8月に「raft further scene issue 1」のコンピレーションに「Ideal Breakfast EP」の時に録音した「Thought about aiming from the shade」で参加。

この時期くらいから元々メンバーの仕事柄、資格試験などの都合でフルメンバーでのライブ参加が難しくなっており、年代も被っていない大学の後輩に依頼してサポートをお願いするケースも大分多くなってきたと思う。そんな中で、3年くらい参加してくれた大向が脱退。コロナ禍にも同時に突入し、何となく活動が波になってきた時に二度目の座礁にはまることになった。

自粛期間中も先の見込みのない中、曲を何曲かストックしていくながら、もう大学のサークルにもそもそも全然いないバンドの友人にもドラマーのツテが全くない中、古の遺産であるバンドメンバー募集掲示板の「Oursounds」ほぼ一点狙いでドラマーを探すという暴挙を断行する。2020年の7月くらいに、好きなアーティスト欄に「Turnover」と書いていた一つの投稿に目をつけ、横浜のルノアールで会うことに。マルチ極まりない勧誘を行い、スタジオにも入ってもらいつつ、現在もドラムをたたいてくれているのが藤井君です。今やDESCENDEDNTSのフラッグを部屋に掲げるようになり、完全に洗脳が完了しているといったところだろうか。

少しずつ端を折って書いてるけどドラマ性にかなり富んでいると思う。

レコーディングについて

藤井君が加入した20年の後半から、頭の中の曲のストックをバンドの中で昇華して行き始める。面白いくらいのスピードでポンポン曲ができていき(#6  「Heaven」とか早いものだと1時間くらいで形になったものもある)、数か月に1回のスローペースでライブしつつ、藤井君の人となりやドラムの特徴みたいのも分かるようになってきたタイミングで、本格的にアルバムを録ろうというモチベーションが上がってきた。21年末ごろだったと思う。

22年4月くらいに10曲くらい手元にできたタイミングで、横浜のクラウドナインでセルフでプリプロ。ただ、プリプロ段階からBPMが最終的に急激に上がった曲も存在しており、あまり意味はなかったし、#11「DAVE」に至ってはプリプロ以降にできた曲だし本当に意味はなかった。

Recは21年末に別音源用に1曲録音いただいた「Studio REIMEI」で即決して相談。エンジニアのシンマさんと近い距離で意見交換しながら進められる環境がめちゃめちゃ有難く、アルバムの音像に関しては典型的なメロディックの音っていうかはオルタナ、ガレージ、グランジっぽい雰囲気にしようと思っていたので、シンマさんがやってるバンド(VINCE;NT)から造詣が深いと思ってご依頼させていただきました。

22年の8月から23年の3月まで細かく6回くらいに分けてレコーディング。1~2回目は村井さんの新車に揺られながらリズム隊Rec。3~4回目は自分だけでギターRec。5~6回目は全員でボーカル・コーラスRec。3~4回目段階の、歌なしの仮MIX聴いた段階でバキバキにテンションが上がる。コーラスRecは過去バンドで3回はコーラスを首にした村井さんが、社用車やお風呂で一人で練習した成果が実り、見事1曲あたり約15回程度の録り直しで終えることができた。

「Studio REIMEI」がある西調布は駅を降りると閑静な住宅街があるだけの各停駅に見えるのだが、メンバーや一人で昼飯の場所を探すのが楽しかった。FIELD OF VIEWのボーカルの生家であるとんかつ屋や、ロードサイドのクラフトビールショップが昼やってるホットサンドが非常に美味しかった。中でも一人Rec時に訪れた「かれーや」というシンプルイズベストネーミングのスタンドカレー屋がとにかく最高だった。5秒で合宿所のカレーが速攻で出てくる。かれーやの文章を書くにあたって、食べログを見たらいつの間にか閉店したことが発覚し、血の涙が止まらない。

アルバムの曲について

18年にリリースした「Ideal Breakfast EP」以降に出来上がった曲を中心に収録。一番古い曲が#3「Stamped Note」で、新しい曲が#11「DAVE」。

#2「No Mercy」、#3「Stamped Note」、#9「Vulcanized Youth」、#10「Seemless Paddling」は18~19年に大向がドラムを叩いてた時の曲。「Vulcanized Youth」、「Seemless Paddling」に至っては、ベースのフレーズも大学の後輩(わんこそば150杯くらい食える赤坂君)に作ってもらってる。当時村井さん以外が作るベースのフレーズがめちゃめちゃ新鮮だったし、村井さん自身も感心をしていた(俺じゃこんなフレーズ思いつかないとも言っていた。思いつけよと思った)。

ギターの音作りについて

多分ほとんどの人が全く興味ないアルバムのギターの音作りについて。

アルバム録音全編を通じて、ヤフオクで5万で落とした「Prestige」のストラト。どうやら70年代の日本製ビルダーモデルらしい。元々レースセンサー搭載だったが、スマパンモデルの3色レースセンサーに換装。最近はレスポールジュニアに浮気してるけど、これはこれでいつかまたメインとして使いたい。

Prestige(検索してもAVメーカーしか出てこない)のストラト

左チャンネルはストラトのリアで、1987にWay hugeの「STO」でクランチ作って、Himmelstrutz Elektro Artの「Fetto Custom」でドライブ。こっちがライブの時のペダル仕様。1987はREIMEIで初めて使ったけどマジで音が良くてビビった。「Fetto Custom」はアルバムレコーディング直前にYoutubeの試奏音源だけを頼りに(ほとんどのエフェクターがそうだけど)手に入れて、ぶっつけ本番で使ったけど、理想的なドライブ音が出て超助かった。
右チャンネルはストラトのリアで、JCM900にJHSの「Sweet Tea V3」のほぼ左チャンネルのみ使用。

ソロ弾く時のファズはEffects Bakeryの「New Ginger Fuzz」(マフの音が出れば何でもよかった)。曲全編でMAD PROFESSOR「Silver Spring Reverb」をガッツリかけつつ、アルペジオや単音で、Way huge「AQUA-PUSS MkII」や、TC ELECTRONIC「Corona Chorus」(シンマさんにお借りした)をかけたりかけなかったり。

レコーディングで使ったエフェクター群。
TCのコーラスとSwollen Pickleは今のペダルでレコーディングは使ってない。
Way Hugeはいいぞ。

リリースについて

プリプロがスタートしたタイミングで、メロディックゴッデス a.k.a 吉野さんに最初に相談。自分からしたらメロディックパンクで初めて繋がったRaft Recordsは絶対にリリースし続けたいレーベルだったし、外せなかった。

MIX段階で、catalinaの音的にFixing a holeとの共同リリースはどうかなという話をゴッデスから持ち掛けられた。Fixing a holeは自分が高校でテキストブログでメロディックパンクの盤レビューを読み漁っていた時代に一番見ていたサイトの一つが、Fixing a holeの同道さんが運営している「The Best Punk Rock In England」だった。FAT期のSNUFFからUKメロディックの門を叩いた自分にとって、このサイトの存在は本当に大きかった。大学に入って、このサイトで収集した情報を頼りに、スナッフィーのコンピ、Horace Goes Skiing、Guns’n'Wankers、Lovejunkの音源を町田のユニオンで買ったし、今でもずっと聴いている。

Fixing a holeからのリリースも決まって畏怖の念が堪えなかったが、同道さんは非常にフランクに接していただき、歌詞の内容や、インスパイアされた音源からBeatlesやNOFX、UKメロディックの話を色々していただいた。色々と自分が昔から信じていたものがここにきてやっとつながってきた実感が感じられて非常にうれしかった。

後編("Walls,Fragments"の曲について)は、歌詞の内容にも少し言及したいので、フィジカルリリース以降で公開します。


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