8月1日 ルーナサ(ラマス)にはブラックベリーのタルトを。
8月1日はケルトの収穫祭にあたるルーナサ(ラマス)です。主食である麦を刈り取る時期であり、太陽が死にゆく日でもあります。
季節はルーナサから秋に向かい、やがて冬に至る『闇の半年』がやってきます。ちなみに、『闇の半年』の始まりが10月31日のハロウィン(正確にはサウィン)で、日が暮れると同時に新しい年がスタートするのです。
ロミオとジュリエットの一場面で、乳母の「ラマス祭のイヴにお嬢は十四になられます」という台詞があります。物語の序盤、ジュリエットは13歳で、7月31日が誕生日だったのですね。もうすぐ14歳になるはずだった彼女は、誕生日を迎えることなくロミオと共に亡くなってしまいました。
“収穫祭の前に亡くなる”こと、それは2人の恋が実らなかった(結婚して幸せな家庭を築けなかった)ことを示すのでしょうか。あるいは、ジュリエットが大人の女性になれないまま、無垢なお嬢様のままで人生を終えたことを伝えているのでしょうか。
さて、ルーナサ(ラマス)とは、もともとはケルトの太陽神ルーのお祭りです。ロミオとジュリエットの時代である14世紀にも、駆逐されたはずの古いケルトの文化が、キリスト教の年中行事に形を変えて息づいていました。
太陽神ルーには2人の母親がいます。実母はエトネ(種子)。ルーの祖父バロールは、孫がいずれ自分を倒す存在だと知り、ルーを捨てて、エトネ(バロールの娘)を塔に幽閉しました。やがて成長したルーはバロールを倒し、実母を解放します。
もう1人は養母であるタルティウ。彼女は荒れ野を開拓し、豊かな実りの大地とすることに身を捧げました。タルティウが力尽きて亡くなった時、ルーはとても悲しんだそうです。
エトネは種子で、タルティウは大地。どちらも豊穣の女神です。そんな母親2人に支えられた太陽神ルーは、まさに収穫祭にふさわしい存在と言えるでしょう。
ルーナサ(ラマス)のメインは、主食である穀物を祝福することにあります。ラマス(loaf mass)=パンのミサという意味です。基本的に小麦を使ったごちそう、パンや焼き菓子を作ります。
私が特に好んでいるのは、ブラックベリーのタルトです。ブラックベリーを煮ると、暗赤色の濃厚なジャムになるのですが、これが太陽神ルーの血のイメージなのだとか。
冷凍ブラックベリー(無ければミックスベリーでも可)を買ってきてジャムを作り、市販のタルトカップに入れるだけで簡単にできます。もっと手軽にしたいなら、これまた市販のベリー系のジャムをタルトカップに盛り付けるだけでもOK!
我が家にはブラックベリーの木があるので、黒っぽく完熟した実を見つけるたびに摘み取って、ルーナサ(ラマス)まで冷凍庫で保管してあります。冷蔵庫ではダメです、すごくデリケートな実で、あっという間にカビが生えてしまうので。
去年は冷凍庫の半分のスペースを占拠しそうなくらいのブラックベリーが穫れましたが、今年はタルト1回分かな~といったところです。それでも必要量がゲットできたので良しとしましょう。つい目が冴えてこんな真夜中に記事を書いていますが、朝が来たらジャムを煮始めなくては…!
大地の恵みに感謝するルーナサ(ラマス)のお祭り。ぜひ皆さんもお気軽に楽しんでみてください。