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NYU大学院留学:コロナ禍、NYUのこれまでと今

みなさん、こんにちは。コロナがまだまだ私たちの生活に大きな影響を与え続けている日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。私は、2019年9月にニューヨーク大学大学院への留学を開始したのですが、コロナによる影響で、私の留学生活は大きく変わりました。今日は、これまでどのように私の留学生活がコロナによって変わったかを共有した上で、今のNYUの状況についてお話ししていきたいと思います。

大学閉鎖による大打撃 (2020年3月)

NYUでの最初の学期をなんとか乗り切り、以前と比べると少し気持ちに余裕を持ちながら始まった春学期の最中に事件は突然起こりました。ニューヨーク州では、最初のコロナ感染者が2020年3月1日に確認されたのですが、そこからわずか10日程度で、NYUが授業を完全にオンラインに移行し、大学を基本的に閉鎖する方針を決めたのです。驚きなのは、この連絡は、何の前触れもなく、一本のメールを全学生向けに配信することで行われたということです。そして、そのメールには、3日後からオンラインでの授業移行を早速開始するという内容が書かれていました。驚きの早さですよね。。。でも決まったことは仕方がないので、自宅(大学の寮)から授業を受ける準備を早急に進めました。

そんな準備に取り組んでいる最中、まさかの発表その2がまたもやメールで通知されるのです。それは、大学のキャンパスだけでなく、NYUの大学寮も全て閉鎖するという連絡でした。あまりに衝撃だったので、実際の文面も載せておこうかと思います。

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書かれている内容は、大学の寮を閉鎖することを決めたので(3/16)、できれば48時間以内、遅くとも3/22までに退寮しなさいということです。ニューヨーク大学には非常に多くの留学生も在籍しています。そんな中で、このような決定がなされるとは、夢にも思いませんでした。そして何よりも全てがあまりに短期間に、急速に起きたため、全く理解が追いつかなかったのを覚えています。このメールを受け取ってから、寮に住んでいる学生はどこに退去するかを考え、航空券を予約し、荷造りをしと、とにかく大変でした。私は、ニューヨークに留まれる場所もなかったですし、これだけ変化が起きている中で、この街に留まって勉強をするのは難しいと考えたため、日本に一時帰国することを決意しました。実際には、私は3/19の飛行機で日本に一時帰国しました。
以下の図は、ここまでお話しした時系列の簡単なまとめです。

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ここでの学びは、アメリカの大学はとにかく決断も動きも早いと言うことです。これは、ニューヨーク大学に限った話ではありません。この頃、ハーバードやMIT、スタンフォードも含めた多くのアメリカの大学が同じような、もしくはこれ以上の早さで行動を起こしていきました。

しかし、今振り返ると、この時の大学の判断は、(もちろん様々な点で配慮が足りてない部分はあったと思うのですが、)正しかったと思います。大学が閉鎖されてすぐ、ニューヨークの街はコロナの患者数が急激に増え、街のほとんどの施設が閉鎖されるような状況になりました。そんな中で、学校の運営を通常通り行っていくことは間違いなく不可能でした。また、このような早いタイミングで決断をしてくれたからこそ、日本へ入国する際に大きな問題を抱えることなく入ることができました。例えばこれがあと一週間遅ければ、フライトの本数が大きく減らせれていたり、日本に入国する際に、一時隔離が義務付けられたり等、より状況は難しくなっていたと思います。

日本での生活(2020年3月中旬-8月上旬)

そんな訳で、日本に緊急帰国をした私は、鳥取県の実家から授業や研究に取り組むことに決めました。ここでの最大の問題は時差でした。ニューヨークと日本は、時差の関係上ほぼ昼夜が逆転している状態です。そのため、私は授業や、研究に関するミーティングを、全て深夜もしくは早朝に受けなければなりませんでした。もちろん実家にいる家族は日本の時間帯に合わせた生活をするので、そんな中で、自分だけ昼夜逆転生活をするのは、簡単ではありませんでした。

一方で、最大のメリットは、お金を大きく節約することができたことでした。ニューヨークは、とにかく全てが高いです。寮に住んでいたという話をしましたが、寮の概念も日本とは全然違います。とにかく高いです。私が住んでいた部屋は、小さなワンルームの一人部屋でしたが、一ヶ月の家賃は約25-30万円程度でした。寮の退寮命令が出たことで、それ以降の家賃は支払う必要がなくなり、また私の場合実家に滞在したことで、その間の家賃が発生しなくなりました。この期間で今後の留学生活に向けて節約をできたことは非常に良かったです。

ただ、留学を志されている方は皆さん同じ気持ちなのではないかなと思うのですが、例え家賃がかからなくとも、例え生活費を大きく節約できたとしても、日本からオンラインで授業を受けるのは、私が求めていた留学生活ではありませんでした。やはり、ただ英語で授業を受けるだけでなく、アメリカの地に住み、アメリカにいる人と触れ合うことも留学の大きな醍醐味です。そのため、コロナが多少でも落ち着いたタイミングで、ニューヨークに戻りたいと常々考えていました。

ニューヨークへ再び戻る(2020年8月中旬)

そして、ついにそのタイミングがやってきました。日本への滞在期間は、ちょうど大学の夏休み期間に入ったこともあり、想定以上に長くはなりましたが、8月14日になんとかニューヨークに戻ってくることができました。

約5ヶ月ぶりに帰ってきたニューヨークは、以前とは大きく変わっていました。まずは、3月のタイミングでは、ほぼ誰もつけていなかったマスクを、今では、ほぼ全員がつけています。今では、マスクなしでは、基本的にはレストランや、商業施設に基本的には入れないようにまでなっています。日本では当たり前の光景かもしれないのですが、あれだけ誰もマスクをつけていなかったアメリカで、マスク文化がここまで浸透していたことにはとても驚きました。

また、その他の大きな変化としては、テラス席でご飯やお茶をする姿が非常に目立つようになっていました。私の理解が正しければ、ニューヨークのレストランやカフェは、現状持ち帰り、もしくはテラス席での営業を許可されています。そのため、ほとんどのレストランが、下の写真のように外で食べることができる席を設けています。

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ただ、この写真を見てもわかる通り、このようなテラス席を作るために、元々は道だったスペースが使われていることがほとんどです。この光景を見たときに、同じことを日本でやると、道が狭くなったとか、ここは公共のスペースなのに、お店が使っているのはだめだとか、色々とネガティブな意見が出てくるのではないかなと思いました。もちろん、今ニューヨークでもそのような意見は出ているのかもしれません。ただ、少なくとも一住民として見ている限り、外でみんなが食事をするようになったことで、街全体が明るく賑やかになったと感じますし、コロナに負けずに新しいライフスタイルに適応していこう、というみんなの意思も感じられ、個人的にはとても良い施策なのではないかと感じています。

NYUの新学期に向けた対策

さて、最後に、この9月から始まる秋セメスターに向けて、NYUがどのように準備を進めているかを少し書ければと思います。

まず、NYUでは、秋セメスターの授業は、対面、オンライン、もしくはその混合という三つの授業スタイルのいずれかで行われます。どの形式での授業になるのかは授業によって異なります。そのため、もし学生が望めば、アメリカ国外から全てオンラインで授業をとることも可能になっています。

一方で、学生が授業や研究活動で大学施設にアクセスをしたい場合、NYUは、PCR検査による陰性結果を提示することを必須条件として定めました。それを実現するために、NYUでは、NYU関係者専用のテストを受けるためのテントを用意し、学生や教員は、事前に予約をすることで、PCR検査が無料で受けられるようになっています。

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私も実際に受けたのですが、受付も含め、テストにかかった時間は約5分程度でした。あまりに簡単だったので、何で日本はもっと検査数を増やせないのだっけ。。。?と少し疑問に思った程でした(恐らく複雑な理由が色々とあるのだとは思うのですが)。検査結果は、テストを受けた翌日にはネットから以下のような形で閲覧ができるようになりました。結果を開く際は、少しドキドキしましたが、陰性の結果を確認できて、一安心しました。このようにすぐにテストを受けれることで、無症状で多くの人に拡散してしまうような状況をかなり防ぐことができると思うので、非常に有効な対策だと感じました。

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また、テストを受けるだけでなく、学生は、もし大学施設にアクセスをする場合、毎日、自身の健康状態に問題がないことを報告することが義務付けられました。これは、NYUの専用アプリから毎日フォームを入力するような形になっており、そのフォームが承認されたことを施設にアクセスする際には、提示する必要があります。

それ以外にも、細かなガイダンスが色々と提示されており、ウイルスを持ち込まないための施策がしっかりと考えられています。

IT活用が進んでいるアメリカ大学

ここまでの内容を通じて思うことは、アメリカの大学は、非常にITの活用が進んでいるということです。コロナ禍でのオンライン授業の開始もそうですし、この秋に向けた準備もそうなのですが、必要に応じて、様々なアプリケーションや機能が迅速に提供されます。また、そのどれもが、非常に使いやすい印象を受けています。

以前Scrum Fest Osaka 2020というイベントで、ここに関わるような内容を発表させてもらったのですが、不確実性の非常に高い現代の社会では、何事もまずは作ってみて、試してみて、やりながら改善していくという姿勢が非常に重要なのではないかと思います。IT活用に関しても、アメリカの大学はまさにそのような姿勢で望んでいる印象を受けており、日本の教育機関は、このような姿勢から学べることが多くあるのではないかと感じました。

まとめ

ということで、今日は、コロナ禍におけるNYUのこれまでと現状についてまとめました。これからも、色々な変化が起こっていくと思うのですが、私自身もその変化に柔軟に、前向きに向き合って挑戦をしていきたいと思います。
以上です。

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