おじさんが少しづつ消えていく
ハチワレ猫のおじさんが亡くなってから
早いものでもう3週間が過ぎた
もう1匹のちゃーぽんが側に居てくれているお陰か
そこまで深いおじさんロスにはなっていない
あたしとちゃーぽんの生活が始まった
2つ並んだピンクとブルーの猫用フードボウルも
ピンク色だけになった
2階の陽当たりのいい場所に大小並んだ猫ソファも
小さいものだけになった
2つ並んだ固まる砂が入ったトイレとシステムトイレも
システムトイレだけになった
遊びもしないのに何故かおじさんが気に入って
どこに行くにも持ち運んでボロボロのネズミのおもちゃも
今は同じところでじっとしている
強烈な破壊音で研ぐ爪研ぎも
新しくしてからしばらくの間は変えなくて良さそう
少しずつ
おじさんの気配が消えてゆく
大丈夫だと思ってたのに
文字にすると悲しくなっちゃった
ずっとそのままにしておくのは違うし
この家の中の時間も進ませなきゃ
そう思い
今朝は本格的に掃除に勤しんだ
玄関マットやキッチンマットを叩いて(どんだけ叩いても埃が出てきてヤんなる)干した
端っこから掃除機をかけて
猫のトイレも綺麗に洗った
おじさんは固まる砂でしかトイレをしなかった
システムトイレは何故か全く用を足さなくて
あたしは毎回大量のおじさんの下の処理をしなくちゃならなかった
今朝はそのトイレを最後に綺麗に洗う
洗いながらふと思うおじさんのこと
こうやって少しづつ
この家からおじさんの細胞が消えていくんだ
人間は60兆個の細胞の塊で出来ているらしい
その細胞はこうして呼吸をしている間も
古い細胞が外に吐き出て
新しい細胞を体内に取り入れている
同じ空間にいる人や動物、植物とも
細胞の交換をしていると聞いたことがある
ということは
あたしの体内にも
ちゃーぽんの体内にも
この家の中にも
おじさんの細胞が漂っているのかなぁ
なんて変態なことを考える
洗濯するたびに
掃除するたびに
窓を開けるたびに
おじさんの気配が
おじさんの細胞が
消えていく
何をしてても
そんなことを考えてしまうあたしは
立派なおじさんロスやないかい
もうしばらく
そんな独り言が続くかもしれません