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19800606
『開幕前夜』第15話「オニユリ」
魔王さま? わたしめには妹がいたの……、
………………
…………
……
妹の名は「麻(あさ)」。
みまもりの塔に一緒に住んでいた。
わたしめの唯一の家族。
「賢者」の妹。
わたしめはね? 魔王さま?
ずっと魔王さまをこわがっていたの。
おそれていたの。
それでも、
麻が病床に伏してから、
いつも麻は眠る前に、
わたしめに言うようになったの……、
「お姉ちゃんの光で麻も輝けるの……、お姉ちゃんが居てくれなければ麻は、こんな安らかなカタチを見つけられなかった。有難うお姉ちゃん……。麻ね? もう魔王さまこわくないのよ? 昏い人ほど哀しみを背負い過ぎている。麻たちはね? 助けてあげなきゃいけないの。だから……ね? …………、」
………………
…………
……
それから……、
麻は安らかに逝けたんです。
きっと。
わたしめに魔王さまに勝つすべを手渡して……。
作戦名は、“一石二鳥”。
………………
…………
……
わたしめは今日、魔王さまに対峙する。
必勝の策で、
「運命」の姉が。
………………
…………
……
優しい目でわたしめをみるあなた。
「そうか……。運命の賢者が、われを救ってくれたのか……。リリィよ、疲れたであろう? ……大義であった…。もうよい。……眠っておくれ? ……おやすみ」
「……わたしめ、……倖せ……でした、……ま……た、……出逢……っ……て……」
「ああ。……真の約束だぞ……」
「……はい。……嬉……しい……な♪ ま……おう……さ……ま、だ……い……す……き……」
………………
…………
……
魔王さまはわたしめにかけてくださった。
999本の、花かんむり……、
わたしめ、ずっとみてますから、
浮気しちゃ……ダメですよ♡
だれもがおのれの、
うんめいをけっていするけんりをもっている。
わたしも、もちろんあなたも。