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『OD!i』第62話「公衆電話①」
およそ穀雨の初候。
その名の通り、
本日はたくさんの作物へ恵みの雨が、
昨夜から降り続けています。
しかし、天気予報では、
お昼頃には止むそうです。
あたし達は今広大とは言えずとも、
広く白い清潔な保健室に遅刻者なしで、
登校しています。
菜楽荘のお家が一体何個入るんだろ……?
………………
…………
……
「あのでけぇ6の形をしたCTみたいなのがラプラスの魔か?」
「そうでもあるがそうでもない、ラプラスの魔は和歌市のあらゆる場所に、その形を、大きくも小さくも変えて存在している」
えぼしーと雁野先生です。
ちなみに登校して「おはよう、えぼしー♪」と、
爽やかにねじこんだら、
しぶしぶ、
「……早水にはでっけぇ借り作っちまったからな。まぁ許容範囲だ。そんでいいわ」
受容してもらえました。
まずは早速ですが、
血液から各人のDNA採取を行い、
それから、
一人ずつラプラスの魔に全身をスキャン?
……され、
お昼を迎える前に全員の測定と検査は終了し、
「みんなお疲れ。結果の知らせと各々の面談は、来週の火曜日に行う。昼食は当然あるぞ。おまえらは大体みんな大人しい。他のクラスも出来のいい奴らが多いが、オイラはおまえらを贔屓するさ。eとEもわだかまりは少ないようだし、昼食はいつもの自習室で一緒に食え。同じ釜の飯ってーのはいー言葉だ。だが馴れ合うんではなく。触れるか触れないかの距離で、よく研磨しあってくれ」
……そ、そうです。
あたし疑問があるんです。
その空気が伝わったのか、
「どーした早水?」
雁野先生からの心配り。
「はい。普通学園が広大だからとは理解しているんですが、例えば『a』や『A』、『b』や『B』のクラスの方々と、全くお会いした事がないのですが、それはどうしてでしょう?」
「全くではねーと思うぞ早水? 普通学園が広大である事はそーだが、人とすれ違ったりした事は、何度でもあるだろ?」
……は、
「はい……」
「早水? この学園の自由な校風はな? 好き勝手にやれって意味じゃねーぞ。個別に与えられた限定的な自由を、生かし活かして、友だちや仲間、果ては組織に、意識的、あるいは無意識的にさえ寄与せよという意味合いが強い。個人を尊重はするが、一隅を照らせ。他のクラスには他のクラスのやり方ってもんがある」
勘違いをする前に、
全員に伝えておくがな?
と、
そこから雁野先生のお言葉は、
益々神妙になります。
「地球上のあらゆるものに神の気、神気(エネルギー)は宿っている。誰にでも条件が整えば、地球上の、あらゆる神々や悪魔の力を引き出す事が可能になる。つまり、おまえ達の異能は、本来異能でさえない。引き出す為の、可能性のフィルターを、解放できていない人間が多いだけだ。例えるなら四神にせよ四凶にせよ、重複した能力者に遭遇するといった例が、和歌市にはいくらでもある。過信はするな、自信は持て」
雁野先生のお言葉を整理しなくては……、
一隅を照らす事を常に心掛ける。
戦う事は先ずは避けたいですが、
もしも戦わなければならなくなった時、
決して相手の実力を軽んじてはいけないという事。
それから周りを見渡しても、
もう動じる皆さんではありませんでした。
まだ四月だというのに、
たくさんの事を学ばせて頂いています。
「じゃーメシだ」
げんじつをみろっていわれることがある。
そのたびにおもう。
ほんとうのげんじつなんてはあくしているひとがいるのかな?