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『OD!i』第53話「愚者もしくはヴァース‐コーラス①」

 本日の計画A(プロジェクトありす)の活動内容は、

各自の肉体の休養に、重きを置かれています。

もちろん、あたし早水 捧華も。


 昨日のマラニック解散の前に杏莉子からは、


「一人称が責任者ではありますが、全てを背負いきれぬかもしれない不安を現在一人称はわずかに抱えています。火曜日から水曜日に掛けて、一人称は計画に対する問題の分析と精査からの解に時間を費やします。その……、その上で、有志の方に手伝ってもらいたいと願っています」

 杏莉子も恵喜烏帽子氏、神守森氏、皇氏のお言葉に、

戸惑いがある事をなんとなく感じとれます。

あたしも一緒だよ杏莉子? 揺れてる……揺さぶられてる。

 それでも良かった♪

いつもお姉さんの杏莉子に、

あたしでも何かできる事があるかもしれないって事が♪

 途端に澄んだ声音が……、

「歌坂 杏莉子さん、大役お疲れ様。あたくしは安心しましてよ? あたくしにできる事があるのなら、遠慮なく言ってください」

清夜花さん……です……。

意外というべきか……元通りというべきか……、

 ……いえ、違う、明らかに違う。

清夜花さんはまた一段と美しくなられたんだわ。

あたしはまた、まだまだ清夜花さんには及ばないと思い知らされる。

 それでも、お声が心に沁み渡り、

あたしとっても嬉しいんです♪

これでこそ、星野 清夜花さんだと。

………………
…………
……

 杏莉子の指示を待つ間は、

つまり肉体の休養が主。

 しかし、

心で、

大切な事は、

当然行わなければなりません。

今日という一日をどう有意義に過ごすか、頭を働かせます。

お父さん達の事は今心配しても仕方がない。

そこで二番目に気掛かりな事。

永遠払いで過ごした読書会の事でした。

あたしは必ず支払う為に、

時に後退しても、きっと前に進み続ける。


 だけど!


かいつまむと、お父さん達に、

一方的に支払ってもらうなんて、絶対嫌だ。


 すると、見えてくるもの。


あたしも働かなくてはいけない!


 そう思っても入学したばかりのあたしには、

選択肢がほとんどありません。

まずは当たって砕けろで、ひとつずつ学んでいきましょう。

砕けても、また作り直せば、

それは確かな経験という財産になる。

その財産が、またひとつ、あたしを強くしてくれる。

 菜楽荘のお家では、

ほとんどテレビは天気予報と災害情報が主で、

ネットもあまり興味がなかったから、

あたしはきっと、eとEのクラスの中で、

最も一般常識に疎いと思う。

働く事への心構えすら不確かです。


 だからってやらない言い訳にはなりません。


お部屋を出てもダイニングは無人。


 そう、


皆さんは、


あたし達は、




もう動き始めているのです。


 いみもなく、かちもない。
それってほとんどたにんのものさしでしょ?
じぶんがいいなら、じぶんはいいよ。

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