マレーシア | ミュージック・ジャーニーvol.50
皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、東南アジアの赤道付近に位置するマレーシアへ、駐日マレーシア大使館の皆様とともにご案内いたします。
マレーシアの国土は、南シナ海を隔てて左右に大きく2つに分かれています。多数のリゾートアイランドに囲まれた「マレー半島」南部と、世界最古の熱帯雨林が広がる「ボルネオ島」北部から成り立ち、国土のおよそ60%は多様な生命を育むジャングルです。
一年を通して平均気温は25度以上であり、赤道に近いことから蒸し暑いイメージを抱かれがちですが、実は日射量がそれほど多くなく、日中の気温はそこまで高く上昇しません。夜は適度に涼しくなるため、比較的に過ごしやすいのが特徴です。
マレーシアの旅のしおり
西マレーシア
・首都クアラルンプールで世界一のツインタワーを見よう
・ペナンを散策して文化に触れよう
・マラッカのナイトマーケットで食べ歩きをしよう(週末限定)
東マレーシア
・サラワク州の国立公園で世界最大の花「ラフレシア」を見よう
・サバ州で野生の固有動物に会おう
マレーシアの文化的な特徴は「多様性」と「寛容さ」にあります。複数の民族が暮らす多民族国家ですが、それぞれがお互いの文化・習慣を尊重し合って暮らす様子から、「世界の縮小図」と評されることもあります。
それでは、旅の始めに、1986年に民音が招聘したマレーシア国立民族舞踊団の公演から、マレーシアの社会的式典で披露される代表的な民族舞踊「イナン/ジョゲ」をご覧いただき、魅力満載のマレーシアの旅を楽しくスタートしていきましょう。
「イナン/ジョゲ」
今回は西マレーシアから東マレーシアまで、多様な文化と自然に触れながら旅をしていきます。
世界に開かれた近代都市 首都クアラルンプール
首都クアラルンプールは、東南アジアを代表する近代都市の1つであり、地元では頭文字をとって「KL」とも呼ばれています。ツインタワーとして世界一の高さを誇る「ペトロナスツインタワー」をはじめ、アジアのハブ空港として利用される「クアラルンプール国際空港」など、世界に開かれた施設が点在します。
高層ビルが立ち並び、未来都市さながらの雰囲気には圧巻されますが、一方で合間を走る路地には歴史的な建造物も数多く保存されています。このように、単に近代化されているだけでなく、「モダンとレトロ」がバランス良く混在しているのがKLの大きな特徴です。
「東洋の真珠」と称されるペナン
クアラルンプールから北へ向かうと、人気の観光地「ペナン」に到着します。東南アジアを代表するビーチリゾートですが、東洋の影響を受けた街並みや遺産、自然、食、ライフスタイルが特徴的で、観光目的だけではなく生活の拠点にしている日本人も多くいます。
ペナン北東部に位置するジョージタウンは、古くより世界各地の商人が訪れ、拠点を構えた独自の歴史的経緯を持つ街です。アジアからヨーロッパまでの幅広い文化が融合する「文化のるつぼ」となっており、一帯は後ほどご紹介する「マラッカ」と合わせてユネスコ文化遺産に登録されています。
ここで、ペナンの街並みや豊かな自然を映像でお楽しみください。
また、ペナンには中国から伝わった「チンゲイパレード」と呼ばれる有名なストリートパレードがあります。もともとは神々や観音様の生誕を祝うため、また当時流行したペストを撲滅するために1919年に開催されたものでした。そこから次第に観光的な価値を持つようになり、現在では毎年旧正月に開催されています。大きな旗を頭に乗せて行進する行列や、獅子舞による華麗なダンスなど、圧巻のパフォーマンスが繰り広げられるこのパレードは、多くの観光客を魅了するペナンの恒例行事の一つになっています。
ここで、マレーシア大使館にご紹介いただいた「チンゲイパレード」の映像をご覧ください。
歴史と世界遺産のエリア マラッカ
ペナンから南へ進むと、マレーシアで最も人気のある歴史都市「マラッカ」に到着します。マラッカも歴史と文化の多様性にあふれたエリアですが、特に「西洋と東洋」のエッセンスが融合している点に大きな特徴があります。
マラッカはもともと15世紀はじめにこの地で成立した王国の名前であり、当時はマラッカ海峡を拠点に東西貿易が盛んに行われました。その後、ポルトガル・オランダ・イギリスといったヨーロッパ諸国による統治が続いたことで、自然と西洋の文化も浸透し、現在のようなスタイルへと発展していったのです。特に、マラッカ周辺の建築物はその影響が色濃く残っています。
こうした歴史的価値が認められ、マラッカは「マラッカ海峡の歴史的都市群」として世界文化遺産にも登録されています。街全体が多数の観光スポットに囲まれていますが、なかでも「オランダ広場」にあるサーモンピンクに彩られた教会は、見た目の華やかさからマラッカのシンボルとなっています。
さて、マラッカでは週末になると、夕方から「ジョンカー・ナイトマーケット」と呼ばれる夜市が開催されます。道路の両側に多数並んだ露店では、伝統菓子や点心、ココナッツジュース、パイナップルタルトといった少しずつ楽しめる食品が取り扱われており、食べ歩きにはうってつけです。
マレー半島最南端の州 ジョホール
マラッカからさらに南へ進むとマレー半島最南端の州「ジョホール」に着きます。州都ジョホール・バルはシンガポールと約1kmの橋でつながっており、中心部はアジア初となるレゴランド・リゾートや高級リゾートなどが栄える都会的で洗練された観光エリアとなっています。
一方の海岸沿いは、穏やかな街並みと美しいビーチが広がっています。
ジョホール州の代名詞ともいえる伝統舞踊には、「ザピンダンス」が挙げられます。もともとは男性のみで踊られていましたが、やがて男女のペアで踊られるようになり、強さや優しさなどそれぞれの特徴を表現するダンスへと発展していきました。
それではここで、マレーシア大使館推薦の「ザピンダンス」を堪能できるフェスティバル映像をお楽しみください。
息を呑むような国立公園が点在するネイチャーパラダイス 東マレーシア
続いて、マレー半島から海を渡って、東マレーシアまたはボルネオ島を周りましょう。豊かな自然があふれるこの地は、「動植物の固有種の宝庫」と言われており、サラワク州には多くの国立公園があります。
主な名所としては、世界最大級の洞窟が眠る世界遺産の「グヌン・ムル国立公園」、世界最大の花ラフレシアが自生する「グヌン・ガディン国立公園」、多様な野生生物が生息する「バコ国立公園」などが挙げられます。
とても1日では周りきれないので、州都「クチン」を拠点にして、ロングステイの計画を立てましょう。マレー語で「ネコ」を意味するクチンは、あちこちにネコの銅像が建てられているほか、ネコ博物館や毎年8月開催されるネコ祭りが見どころで、「ネコの街」として知られています。
北部のサバ州も、ユネスコ世界遺産の「キナバル公園」をはじめとする大自然の宝庫です。州政府が主体となって野生動物の保護活動を行っており、野生のオランウータンやテングザルのほか、運が良ければ世界最小とされるボルネオゾウに会うこともできます。
このサバ州に伝わる有名な踊り「マグナティップ」はお祝いの場で披露されます。マレーシア国立民族舞踊団による舞踊をご覧ください。
「マグナティップ」
2017年には、MIN-ONグローバル・ミュージック・ネットワークにおいて、日本の伝統楽器奏者をマレーシアに派遣し、KLで公演を行いました。その中から、マレーシアの伝統楽器と和楽器のコラボレーションをお楽しみください。曲目は「マレーシア音楽の父」と呼ばれるP・ラムリーの名曲「Getaran Jiwa」です。
「Getaran Jiwa」
マレーシア大使館推薦音楽家 アレナ・ムラン
最後に、駐日マレーシア大使館推薦のサペの歌姫、アレナ・ムランをご紹介します。
サペとは、一本の木をくり抜いて作られたボルネオ島の伝統的な弦楽器です。自然豊かなボルネオ島の先住民族をルーツに持つアレナ・ムランは、プロとしてサペの演奏と指導を行う女性初の奏者で、サペの伝統を後世に伝える活動をしています。
今回は、2020年にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたミュージックビデオフェスティバルで、ベストスタイリング賞を受賞した「Midang Midang」を含む、2曲をお楽しみください。
Warrior Spirit
Midang Midang
2022年は、マレーシアと日本の外交関係樹立65周年、また、マレーシアのルックイースト政策40周年を記念する年です。この友好関係が、人と人との交流、特に観光や文化交流を通じて今後も引き続き発展していくことを願っています。
皆さん、マレーシアへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。
協力:駐日マレーシア大使館
写真提供:マレーシア政府観光局
Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-
ご案内
この記事は英文での提供もしています。
https://www.min-on.org/11821/min-on-music-journey-no-50-malaysia/
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