二人を乗せたゴンドラ
ただいま 久しぶりだね
囁いた言葉が 暗闇に吸い込まれる
リビングの明かりをつけ
窓を開け放つ
ベランダから流れ込む風が
3か月分の埃をさらってゆく
もう二度と帰って来ないかもしれない
そんな思いで旅に出たのに…
あの日旅立つ前に南の空に消えた白い雲
二人を乗せたゴンドラが 南の空に消えていったんだ
まるで二人の恋の終わりを教えるようにね
だから南の島へ行った
あの日見た 二人を乗せたゴンドラを探しにね
見つからないのは わかってた
僕がほしかったのは
一点の雲もない ただ青いだけの世界
君を思い出のなかに閉じ込めるためにね
色も音もあふれた このベランダからの景色
ふたりでよく見た この景色に心が騒つかないのは
君が思い出のなかから出てこないから?
明日になれば また街の喧騒に巻き込まれてゆく
君はまだ この街にいるのかな
いつかどこかで 会いたいな もう一度 君に