「アタリ」その甘く危険な誘惑
三村九段のミム囲碁ラジオ 第83回
【要約】
囲碁上達のためには「アタリを我慢する」ことが重要
アタリは一時的な満足感があるが、長期的には損になることが多い
キリ違いの形では「アタリ」ではなく「一方をノビ」が正解
ぼくらの「目先の快楽を選ぶ」傾向は、普段の生活でも起きている
かしこい囲碁とは、一手先ではなく長期的な視点で打つこと
【本文】
今回は囲碁の上達アドバイス
「アタリを我慢しよう」という話をします。
囲碁用語を使って説明をしますが、
囲碁用語が分かる方は石の形をイメージ
して聞いてください。
囲碁が分からない方は、
囲碁に例えた、かしこいい生き方の話
みたいに聞いていただけると幸いです。
この放送は、プロ棋士40年
囲碁サロンと子供囲碁道場を運営する
三村智保が囲碁の情報を
サクッとお伝えする番組です。
私が囲碁を指導していてよく思うこと、
よく見つける皆さんの間違いの1つに
「アタリが大好き、悪いアタリをつい
打ってしまう」というのがあります。
アタリとは、もう一手打つと相手を
取れる、その一手前の状況です。
アタリをすると相手は逃げます。
よくある例で言いますと「キリ違い」
という形があります。お互いに相手を
切り合っている2個ずつの形ですが、
その形からアタリを2回連続で打つと、
だいたい自分の方が損をして取られ
やすくなります。
「キリ違い一方を伸びよ」
という昔からの有名な格言があります。
アタリをせずに黙って伸びるのが
一番いい手になることが多いです。
自分の守りも強くなり、相手を取る
という意味でも有利になる行為ですが、
人間は素朴な欲求から最短距離で
相手を追いかけてしまいます。
他の例では、穴があるところを
1回出る手を打つ方も非常に多いです。
「ケイマの突き出し」などもそうです。
出て相手が受けたときに、後続手段が
ある場合はいいのですが、
何もない、1回出て相手が受けた
ことで満足して他へ打つという方が
非常に多いです。
これも一瞬気分がいいかも知れませんが
長い目で見ると、少しずつ損をしてます。
自分の石がダメ詰まりになったり、
相手の石を強くしていたり
コウだてを減らしてしまってたりします。
囲碁ではこのように分かる私も
実際の生活では同じようなことを
やっています。
例えば、夜おそくにお酒を飲みすぎたり
食べすぎてしまったりします。
長期的には健康にマイナスだと
分かっているのに、目の前の気持ち
のいいことに負けてしまっています。
長期的どころか、よく朝すぐ
後悔におそわれます・・・
同じことを皆さんは囲碁で
やっているのです。
これを直す第一歩として、
アタリを我慢しましょう。
アタリよりもいい手があるんじゃないか?
と一度立ち止まっていただけると
囲碁は上達すると思います。
私はいつも、自分のやっていることは
棚に上げて、生徒たちのためにいい
教えをしたいと思って取り組んで
います(笑)。
今回は囲碁の上達法
かしこく囲碁を打つための
「アタリを我慢しよう」
という話をしました。
私ももう少し賢く生きられるように
努力したいと思います!
この記事は「三村九段のミム囲碁ラジオ」
第83回の書き起こしです。音声での視聴はこちら↓↓