シンガポールの囲碁がアツい
三村九段のミム囲碁ラジオ 第85回
【要約】
シンガポールで初の世界大会「第1回南洋杯世界囲碁マスターズ」が開催
優勝賞金は25万シンガポールドル
フィッシャー方式(持ち時間各2時間、1手ごとに15秒加算)を採用
日本から5名が参加も敗退、決勝は韓国・新真諝九段vs中国・王星昊九段
シンガポールの囲碁事情や教育制度も調べてみました
【本文】
シンガポールで初めての世界大会が開催されました。
「第1回南洋杯世界囲碁マスターズ」について
お話しします。
併せてシンガポールの囲碁事情に
ついても少し触れてみたいと思います。
この放送は、プロ棋士40年、囲碁サロンと
子供囲碁道場を運営する三村智保が、囲碁の
情報をサクッとお伝えする番組です。
囲碁といえば、中国、韓国、日本、そして
台湾。この四つの国にプロ組織があり、世界の
トップ選手はすべてこの国々から輩出されて
きました。
そんな中、初めてシンガポールで世界大会が
開催されることになりました。
主催は中国囲碁協会とシンガポール囲碁協会
となっています。シンガポールには
プロ組織はありませんが、囲碁人口は多く、
しっかりした組織があり、盛んに活動が
行われているようです。
実は私の道場に、シンガポール人の生徒が
一人通っています。彼は院生となってプロを
目指しており、もし合格すれば最初の
シンガポール人プロ棋士となります。
その縁で、シンガポール囲碁協会のトップの方が
私の道場を2回訪れ、交流させていただきました。
今回の大会開催を聞き、シンガポールの囲碁熱の
高さを実感しています。
囲碁の魅力は、世界中で親しまれていることです。
アジアを中心に発展してきましたが、近年では
アメリカやヨーロッパでも普及が進んでいます。
アジアの中でも4強国以外にインドネシアと
マレーシアからは、既にプロ棋士が誕生しています。
タイからも院生が2名来ていますし、
フィンランドからプロ棋士になった
アンティ・トルマネン初段もいます。
南洋杯の優勝賞金は25万シンガポールドルという
高額な賞金が用意されています。スポンサーの
存在が気になるところです。
日本からは許家元さん、余正麒さん、大竹優さん、
福岡航太朗さん、上野愛咲美さんの5名が参加
しましたが、残念ながら敗退しています。
インドネシア代表の
フィトラ・ラフィフ・シドキ2段、マレーシア
代表の曽 富康2段も参加していましたね。
決勝には韓国のシン・ジンソ九段と中国の王星昊九段が
進出しました。
注目すべき点として、この大会ではフィッシャー
方式が採用されました。持ち時間各2時間、
1手ごとに15秒が加算される方式です。
対局時計から音が出ないという問題があり、
時間切れ負けが複数局出たそうです。
柯洁九段とパク・ジョンファン九段の対局では、
優勢だったパク・ジョンファン九段が時間切れで敗れる
という残念な結果となっています。
シンガポールは、世界で最も子供の学力が高い
国として知られている点でも興味深いです。
東京23区ほどの広さに500万人が住む都市国家
限られた国土で競争力をもつため、人の育成に
力を入れています。
柔軟な教育制度により、子供たちの能力を
最大限に引き出す環境が整っています。
中国系、マレー系、インド系の人々が共生する
多民族国家であるため、言語も英語+自分の民族の
言葉、2つは話せるのが普通だと聞きます。
子供の囲碁大会も大規模に開催されており、
今後シンガポールが囲碁強国となる日が来る
可能性も十分にあります。
この記事は「三村九段のミム囲碁ラジオ」第85回の
書き起こしです。音声での視聴はこちら↓↓