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【 #才の祭 】「恋するボールペン」

単色ボールペンは恋をした。

多色ボールペンに恋をした。

彼は細いペンケースの中にいて、持ち主のお気に入り。私は小さくなった鉛筆やロゴの入ったボールペンたちとペン立ての中。

遠くから眺める、彼の描くシャープなライン。その凛とした美しさが胸をきゅうっと締め付ける。
みんなは彼の機能性やフォルムを褒めるけど、私は彼の描く線が好き。

持ち主が気まぐれで買ったルビーレッドのボールペン。インクがほとんど減ることなく、ペン立ての中で過ごすことになった私。でもいいの。彼の姿がよく見えるこの場所を嫌いではないから......。

クリスマスの朝、持ち主はペン立ての中の私たちをザッとビニルケースに流し入れ、トートバッグに突っ込んだ。半透明のビニル越しに彼のいるペンケースを感じて、私はドキドキする。




会議テーブルの上をころがってきた彼女とコツンとぶつかって、僕の心臓はジャンプした。

随分前にほんの数日だけ一緒に過ごした、きれいな色のあの子。はじめて見る、赤ともピンクとも違うおしゃれな色に僕の目は釘付けだった。艶めくインクがゆっくり滲む優しいラインを僕はうっとり眺めたんだ。

ペン立てからのぞく彼女を僕は横目でそっと見ていた。持ち主が彼女を僕の横に置いてくれることを願って。




テーブルの上にバラまかれたペンたちをあちこちから伸びてきた手が拾い上げ、紙に線を描いていく。ペンたちの舞踏会。ひとりが言う。

「その色、きれい」

「そうかな」

嬉しそうな声。

指と指が触れ合って、私はそっと渡された。

「そのペンもいい?」

私と彼のラインが踊る。

僕と彼女の色が踊る。

ダンスの終わりに声が聞こえた。

「それ、あげるよ」

「え? いいの?」

「うん、どうぞ」

「ありがとう。今度何かお礼するね」

2本のボールペンはそっとポーチに入れられた。ふわふわのポーチの中は温かくて、幸せな夢を見るのにぴったりだった。


「あ、雪だ」
「ホワイトクリスマスだね」


静かに降る雪の中を2本のボールペンはくるくる踊る。線のワルツ。幸せなクリスマスの夢。


翌年のクリスマス。
2本のペンを踊らせる指にはリングがはめられている。そこには小さなルビーがキラキラ光っていた。

 




こちらは私も画像担当としてお手伝いさせていただいている、PJさん主催のクリス企画への応募作品です。
どちらかと言うと、応援作品かな。

締切は

11月23日(火)24:00

この第一ラウンドで勝ち残った作品から歌詞を募集して、曲をつけて、動画を作るという壮大な企画です。

過去作品でも応募OKなので、ぜひぜひお気軽にご参加くださいませ✨

皆様の素敵な愛の物語を楽しみにしております💖

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