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企画「1分マガジン」参加作品|シロクマ牛乳
深夜のオフィス街を僕はフラフラと歩いていた。空を見上げるが、星の代わりにポツポツと光っているのは暗闇に聳え立つビルの窓灯だ。「お疲れ様です」見えない同志に心の中で労いの声をかける。
この道が延々に続くことを願いながら結局はいつものコンビニに向かう自分に可笑しくなり、小さな抵抗のつもりでいつもと違う角を曲がる。
小さな灯が見える。木造の小さな商店だ。ふらりと入った僕は、棚から適当なパンを掴み取り、飲料棚を眺めた。「シロクマ牛乳?」水色のパックにユーモラスなシロクマの顔。
店から出た僕はビニル袋から先程の牛乳を取り出し、パックを見る。下の方に小さく『小説が味わえる牛乳』と書いてある。製造所所在地は北極、製造者はシロクマとなっていた。
ゴクゴク。コーヒーの味がした。カップの中に少年が見える。
ゴクゴク。少年が僕に語りかけてくる。懐かしい気持ちに胸がキュッとなる。
ゴクゴク。確かにそうだと、少年の言葉にふと笑ってしまう。
ゴクゴク。少年が去っていく。
空になった牛乳パックをビニル袋に戻し、呟く。
「さて戻るか」
明日も来てみようと思いながらオフィスへ向かう僕の足取りは不思議と軽くなっていた。
いつもお世話になっている、大好きな小牧幸助さんの初企画ということで、出会いのきっかけとなった「コーヒーは夜に見えるか」を絡めたお話にしてみました。
合わせて読んでいただけると嬉しいです。
この作品は私が制作している「マスク文庫」の第1作目の為に書いてくださった作品です。
コーヒーショップに置いてもらうことが決まっていたので、コーヒーをテーマにお願いしたんです。
もう12作目を制作中のマスク文庫ですが、小牧さんとの出会いがなければ、こんなにたくさんの作品が生まれることもなく、こんなに多くの出会いはなかった。
小牧さん、本当に本当に感謝しています!
そして、毎日素敵な小説を届けてくれて、ありがとうございます。
これからもずっと応援しています✨
記事の長さは500字じゃなくなっちゃいました💧
ごめんなさい💦