
見た目で判断しちゃダメっていうけどさ、
見た目で名前をつけられたのがキバラクモノスガメさんです。英語名はSpider Tortoise .
蜘蛛(spider)という名前をつけられたカメは奇しくも不運を呼び、美しい甲羅は鑑賞のペットとして密輸され危機を迎えています。
ペットの需要が変わってきている
若い子に人気が高まる、エキゾチックアニマル。
ペットとして飼育されるトカゲやヘビなどのレプタイル(爬虫類)や、カワウソなどの哺乳類を含め、エキゾチックペットが今人気だ。
エキゾチックアニマルとは、ざっくり言うと、犬や猫と違い野生生物である珍しいペットたちのことを指す。
僕らが子どもの時はペットというと犬や猫、金魚やハムスターや草むらで捕まえたカマキリたちだった。夏はカブトムシやクワガタてこともあったなあ。
最近は爬虫類や両生類のブームもあって、そういった珍しい動物を飼う人たちが増えている。
カエルやトカゲがすきな僕は、彼らの人気が高まって嬉しい。「女がカエル好きなの?」なんて言うやつもいないだろうと思うと、パッヘルベルのカノンが足取り軽く流れてくる。いい時代だ。
だけど不安に思うこともある。彼らは本来「野生生物」なのだ。

密輸は遠い国外の話ではない
今回の扉絵のキバラクモノスガメくんもペットとして密輸が増え、数が減りレッドリストで「野生絶滅」の手前である「CR」近絶滅種となっている。このままだと野生では見られなくなってしまうかもしれない!ということである。本当にそうなったらペットとして海外に飼育されているものの、本来の土地では存在しない、ということになってしまう。何とも滑稽な話だ。

「世界中でペットブームだから仕方ないでしょ?」と思うかもしれない。ノンノン。これ日本の野生生物も奪われてるらしいんです、僕たちの知らないところで。
日本の貴重な野生生物
2019年に奄美大島で天然記念物である「アマミイシカワガエル」や「オットンガエル」などの野生生物を28匹捕獲して奄美大島から持ち帰ろうとして逮捕者が出た。環境省のレッドリストにも記載されている珍しい種で保護対象である。彼らを勝手に持ち帰るのは違法行為だ。
もしこれが検閲をスキップして日本国内、国外に行ってしまったら貴重な種の存続が危ぶまれる。その手助けをしているのは知らずに購入したあなたかもしれないのだ。

なかなかお目にかかれない生き物たちを欲するのは、国や人種は関係ない。飼いたい気持ちはわかる、しかしその違法性について本当に好きなら知っておかねばならない。
僕たちができる「守る」こと
写真でみたことがある。以前読んだ記事で小さなプラスチックのケースに入れられて詰められたカエルたち。なんて窮屈そうなんだ、とこっちまで息が詰まりそうになった。大量に密輸されるとき、運ばれた生き物たちは途中で息を引き取ることが多々ある。野生の大地で育った彼らが、急に小さな箱に押し込まれて運ばれるのだ。相当のストレスに違いない。ぐぬぬ、想像を絶する苦しさに胸を締め付けられそうだ。
密猟者の中には仕事がなく無理に手を染めてしまう人も少なくない。密輸者を責めてもイタチごっこだ。

ああ!すべてのエキゾチックアニマルのペットが不運なのか!と絶望してしまいそうになる。
が、
安心してください、合法な子もいますよ。(きらり)
1つだけでOK!違法を見分けるポイント
彼らは本来いた場所から無理やり連れてこられる違法性の個体と、正式に許可され認可がされている個体がある。認可がされている個体たちは正式な手続きをとって、お店や飼育施設やってきている。
WWFのサイトから一部抜粋させていただく。
日本で動物の販売、展示や訓練等を営利目的で行なう場合、動物愛護管理法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)に従って「第一種動物取扱業者」として登録することが義務付けられています。…(中略)…保護動物の里親探しを行っているNPOなど非営利団体であっても、「第二種動物取扱事業者」として登録がなされているか確かめましょう。
もし「ペットとして飼いたい」「ふれあいをしてみたい」という方がいたら、ぜひ上記事項をチェックしてみてほしい。これをするだけでであなた自身が動物たちを守ることができるのだ。
ふわふわのあの子も、スベスベのあの子もみんな命があってここにいる。
生き物をかわいいて思う気持ちが繋がって、みんなの命が守られる優しい世界でいてほしい。
ふにふにむにむにぺろぺろわしゃわしゃさせてくれるあの子。きみの尻尾ではたかれるのもすきなんだ。
★作画工程も動画にしました!なるべく自然由来の画材で環境負荷を避け、野生生物を描いています。よかったら見にきてください↓
※毎週木曜日に更新予定。
難しい話が続いちゃったんで、次は明るい話にします〜
沖縄っていいよね!来週は「海の魚」のお話です。
わくわーく。
【参考サイト】
WWF「エキゾチックペット ガイド」、「エキゾチックペット密輸の動向と法執行分析の報告書を発表」
奄美新聞社「国内希少種カエルなど28匹無断捕獲容疑で逮捕」
