セ〇ムの存在意義に対して考えるⅡ
前回に引き続き、闇バイトや強盗が頻発しているような報道により、検討対象となり得るセ〇ムなどの一般住宅に入れる警備会社の契約について、元警察官の立場で考察していきたいと思います。
まず、セ〇ムの謳い文句として、
「異常を検知すれば連携している警察に通報が行くシステムを取り入れている」
というものがあるでしょう。
それは確かにその通りで、銀行や工場など、「異常発報」という名のもと、100番通報として現場に行くよう指令が来ます。
特に夜のパトロール時間中に対応させられるのですが、通報のうちに結果的に実報となったものは1割にも満たないのが現状です。
だいたいは現場に異常は見受けられない原因不明の誤報で、風か小動物の仕業ということで、天気が荒れている日は特に多い傾向でした。
そんな感じだったので、警察官の中でプライベートな自宅でそういったものを利用している人は皆無なのではないか、という話もありました。
そしてセ〇ムのシステムとしては
「30分以内に駆け付けます」
と言っていますね。
しかしプロの泥棒は、そんなことは仲間内の情報やこのネット社会の中では当然刷り込み済み。
そのためセ〇ムのシールの存在を分かっていてわざわざ盗みに入るので、30分なんて悠長な時間の猶予計画では忍び込みません。
ものの一瞬で窓ガラスを割るなどし、目的のものを持ち去って帰るでしょう。
実報の建物は、だいたいそんな感じに荒れていました。
行ってすぐわかる程度だったので、のちに誤報とわかるような現場で、異常がないか確認しなければならない誤報の現場とは全然雰囲気の違うものでした。
更にこれはあまり知られていないかもしれませんが、30分以内に駆け付けたセ〇ムの警備員は、
「警察の到着を待ってから中に入ること」
という取り決めがあります。
つまりセ〇ム側としては、命の危険を犯してまで泥棒と対峙することは求められていないのです。
それも当然と言えばそうなのですが、従業員側としては、安い月給で24時間体制(しかも主に夜間の勤務)で、命まで危険に遭ってしまっては割に合わない。
本気で一般住宅を守りたい志があるのであれば、福利厚生のある警察官になるはずでしょう。
命の危険があることを知られてしまうと、セ〇ムだって応募者が居なくなってビジネスが成り立ちません。
契約している方がこのことを説明されているのかは知りませんが、泥棒と鉢合わせになるという最悪な状況下でも、まず警察が到着するのを待っていることを念頭に入れてください。
ということで、本当に何かあった時に役に立つものなのか。
はたまた高いお金を払ってまで契約し、安心を得れるならそれでいいと割り切るのか。
世の中は人の不安を利用して成り立っているビジネスがたくさんあります。
そしてその不安は、スポンサーとなっているニュースなどの報道によって煽られています。
ニュース番組の後で、どのようなCMがやっているのか、きちんと把握してみたことはありますか?
ただ、個々に経済状況も価値観や優先順位も違いますし、そこら辺の匙加減は人それぞれですから、こんな話も参考にしつつ、考えてみてください。