警察学校で身につけられること
一般企業にも新卒者の研修があり、そこで初歩的な知識などを習得すると共に、同期として横の繋がりを作るような仕組みとなっていますね。
中小企業は即実践力、というイメージがありますが、周りの目が行き届きやすく、フォローをすかさず入れられる状況を考えられているのもあるのかもしれません。
警察官も、晴れて採用!となるとすぐに制服を着て外で働くわけではなく(これを、私たちは「一線に出る」と言います)、一定期間学校に入り、新任の研修期間となります。
警察学校で本当に身につけて欲しいことは、まずは「整った生活習慣」というところが大きいと私は後々感じます。
これが最も基本で、普通で、とても簡単に見えて実は難しいことなのだ、と誰もが親元を離れて社会人になったときに実感するかと思います。
それを強制的に、徹底的に教え込むのが、警察学校という閉鎖的な場所となっているのです。
まず、着替えが複雑になるようにカリキュラムが組まれています。
武術の後に座学、座学の後に盾を持って走る訓練、の後に水泳などと、休み時間だからと言って、ボーッとしている暇が与えられません。
とにかく時間管理と、支度に集中する訓練を日々させられているのです。
警察官は、通報が入ったらその場で瞬時に判断し、現場に必要な書類や道具を準備してから向かいます。
余計なことを考えながら支度をしていたのでは、忘れ物をしてしまったり、小さなミスを連発してしまうのです。
ミスが続くと、こんなんじゃいけないと焦り、更に別のミスをしてしまうという負の連鎖が生まれます。
失敗は許されないという空気の中で、自分をニュートラルに戻してくれる拠り所となるのが、夜寝る時間や朝起きる時間が決まっていて、ご飯も抜かずに決まった時間に食べられる環境だったりします。
それから、警察官でいる期間は、その職を辞するまで、制服は貰うのではなく借りている形になっています。
借り物である制服の、さすがに服を無くす人はいないと思いますが、小さな装飾品、はたまた警察手帳なんか無くしたら大問題となってしまいます。
私生活で起きることならまだしも、現場で被害者の個人情報を書いたメモを無くしたりなんかしたら、警察官の信用を無くすとんでもない行為だとして、上司にも同僚にも多大な迷惑をかけ、自分も疲弊してしまいます。
そして覚えておいて欲しいことは、給料が一生安泰なはずの警察からわざわざ去っていく人というのは、だいたい私生活が乱れて不祥事を起こしてしまう人です。
例えば仕事が忙しくて帰ったらすぐ寝て疲れを取ればいいのに、ストレス発散と言ってお酒を浴びるように飲んで次の日二日酔いとなっていたり、自制心が働かなくなってわいせつ事案に走ったり、ギャンブルにはまってしまったり。
こういった人は、私生活を整えることを選ぶより、ストレスを言い訳にして現実から逃げているのだと思います。
仕事が忙しい時こそ栄養のある食事を摂って次の日のために早く寝る!
長い警察人生、道に外れずに淡々と積み重ねていく、一見して地味で面白みがないように思われるかもしれませんが、でもやっぱり基本というか、土台が大事なのです。
そして、整った生活の中でもプレ仕事みたいな作業がうまくできない人を、警察学校で炙り出しをしているのも事実なのです。
後々一線に出てから更に大変になったときに、周りの足を引っ張るような人は最初から目星つけときたいのでしょう。
不安を与えてしまったかもしれませんが、一生懸命頑張っていれば大丈夫ですよ。
一線に出て、誰もが失敗は経験するものですが、逃げずに一生懸命仕事に取り組んでいれば、周りが助けてくれますから!
警察学校は、簡単に言うと新任研修期間と同じですが、給料を貰いながら身体を整えられる、とても恵まれた期間だと思います。
この時期に、身の回りの整理整頓ができるようになったという話はよく聞きましたし、私も実際そうでした。
着替えも早くなりましたし、時間も余裕をもって行動できるようになり、身だしなみについての意識も持ちました。
もともとの育ちが良くて、普段からいつもきちんと出来ている人は問題ないと思いますが、これが学生時代に毎晩飲んで友達と騒いでいたような人だと大変でしょう(私がそうでしたから)。
「きちんとしている人」という風に見られるよう、身の回りを整えておくことが仕事のしやすさ、良好な人間関係、日々の精神的安定に繋がります。
是非、このことを意識して過ごしてみてください。