約20年前に男性育休を取った備忘(3)~買い物と小児科~
ぼくが育児休業を取得したのは、今から18年前だ。
曖昧な記憶だが、当時男性で育休を取得したのは、首都圏で労働組合のあるすべての会社で累計で89人しかいなく、ぼくが90人目だった、と記憶している。
今この時代が「こんなに子どもを育てる社会の環境は変わった、良くなった」ということを改めて噛みしめる意味で、18年前の体験を記録しておこうと思う。
育休中に、子どもを連れて買い物に行って感じるうっすらとした”アウェイ感”には、戸惑いもあったが、慣れてくるとちょっとおもしろく感じるようになっていた。
ただ会計をしているだけなのに、急にレジの方から「今日はお休みですか?」と聞かれることはしょっちゅうだったし、ちょっとすれ違う人からの視線を感じ続けながら売り場を回るのが日常だった。
それにしても、子どもというのは。
ベビーカーというのは、カートの子ども用いすというのは、いやなんだね。
ちゃんと子どもを研究して作られてこれだから、どうしようもないよね。
だいたい、
右手:抱っこ
右ひじ:買い物かご
左手:ベビーカー
のフォーメーションで買い物、が基本だった。
あるとき、サッカー台で買ったものを詰めていると、年配の女性がベビーカーに近づいてきた事があった。
ぼくのほうを一瞥したかと思ったら、親しげに子どもの頭をなでながら「かわいいねえ~」とあやしたあと、子どもにこう話しかけた。
「ママはどうしたのかな~?」
その日ちょっとぼくは疲れていた。
普段だったら、胸を張って「いや、ぼくが育休取ってるんですよ~」とでも立派に言えたかもしれないが、この日はこの一言がやや我慢できなかった。
で、ぼくはそこでダークな自分を発動させてしまって、ちょっとふざけてやろうと思ってしまった。
で、ぼくは、思いっきり目線を落としてから、その女性に
「いや、あの、去年…」とだけ告げて、子どもに「さ、パパと帰ろう」と伝えてそそくさと店を出た。
いっぽうで、通っていた小児科ではさきほどのようなアウェイ感はあまり感じることはなかった。
先生からは「あ、今日はお父さんなんですね」と事務的に聞かれるだけだったし、なにしろ病院は「行くしかない」ので、そんな余裕もなかったのかもしれない。
ただ、子どもの体重を聞かれて、曖昧な記憶で答えたら、半年前より少ない値を伝えてしまったときは、「…そんなことはないですね」と看護師さんには苦笑されてしまったが。
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※今後このへんのエピソードを上げていく予定です。
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