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原田ひ香『ランチ酒 おかわり日和』祥伝社

前作『ランチ酒』が楽しかったので続編も読んだ。こういう軽く読めて、かといって単純すぎない小説はとてもありがたい。前作と同じく夜の見守りを仕事にする祥子さんが、翌朝仕事が終わり、やれやれと仕事場近くで一杯やりながら食べるランチの話である。人気店のランチタイムだからだらだらと飲むわけにいかず、やや遠慮しながらも一生懸命に「自分はいま何を食べたいのか」「この料理にはお酒は何が合うのか」考えているところが好きだ。けっして模範的な食のレポートではなく、彼女の好みが出ているのがいい。

ただ、彼女の仕事はそれぞれ複雑だったり、大人の事情があったりで、簡単なものではない。それなのにランチ酒をやるときは味わうことに集中できるのがすごいな。今回は祥子さんにプロポーズしたり、好意を寄せたりする男も出たり、別れた夫の再婚相手にも会ったり、込み入った展開になっている。個人的にはあまりドラマチックなことにならない方がいいんだけど。

訪れるお店の名前はあがっていないが、たぶんわたしが知っているのは池袋の立ち食いの鮨屋だ。あそこ、おいしかったな。いまはまだ家に籠っている状態だが、また外出できるようになったら行ってみようか。確か3人か4人ぐらいのカウンタだった。あそこでひとりで立ってお酒を飲みながら鮨をつまんでみたい。(ちょっと度胸がいるかも?)

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