噴門部の胃がんが発覚したきっかけ
2021年1月3日、念願の第二子を出産しました。
その5年前の2016年に長男を妊娠出産した頃から尿検査の数値が悪く、産後定期的に検査をしていたのですが特に異常は見つからず。
経過観察が続く中、2人目の妊活をスタートしますが一度稽留流産を経験しました。
2018年に風邪か何かによる喉の痛みでかかった耳鼻咽喉科の先生がわたしの扁桃腺を見て「何か嫌な感じがする」と察知してくださり、大学病院へ。
そこで腎生検をした結果、IgA腎症が発覚しました。
その後2019年に扁桃腺摘出手術とステロイドパルスを行い、寛解を待ってやっと妊活を再スタートすることができて授かった子です。
夫は自主的に育休を3か月取得してくれて、普段から家事や事務仕事はわたしよりもテキパキとこなすのでとても心強い、やり手秘書のようなパートナーです。
5歳の長男も赤ちゃん返りのようなものはほとんどなく、想像以上にしっかりと育児に参加してくれて、次男の首が座った頃にはもうすでに長男をプラス1人分の育児要員としてカウントしていました。
そんな中でも、2人目だとしても、やはり赤ちゃんが泣きだすとどうしても気持ちは焦ります。
ついついごはんをかき込むように食べ、気がつくと喉につまり、胸のあたりをトントン。それが徐々に水を飲まないと胃の中へ流れていきづらく感じるようになりました。
子どもは気にしなくていいから、ゆっくり食べてきな。と夫に言われ、気をつけるようにしたときでも喉につまる気がする。
癖になっちゃったのかなぁ……と思いながらも、それで痩せるどころか、ひと口目を水で流せば通るし、食欲も旺盛で、授乳が終わった後は人生のマックス体重になっていました。
次男が1歳になるころ、育児疲れが重なってしまったことからストレスを強く感じることや、食いしばり、背中の広範囲の張り、夜なかなか寝付けず、疲れも取れなくて外出は近所のスーパーがやっと……といったメンタル面の不調を自覚するようになっていました。
引き続き飲み込みづらさもあり、つまる時はしゃっくりが出てきて、胃に入りきったらすぐ止まる、といった具合だったので、全部の症状をひっくるめると自律神経の乱れかなぁ…?と感じ、心療内科に通い始めました。
ただ、診察で先生とお話ししていても投薬治療を受けてもスッキリしないので、一度内科からのアプローチもしてみないとダメかもなぁと思い、消化器内科を受診。
そこからあれよあれよという間に腫瘍が見つかり、紹介された大学病院から悪性疑いの示唆があり、そのまま一瞬でがんセンターへ送られたという流れになります。
クリニックでは鼻からの胃カメラをやりましたが、麻酔でしっかり寝かせてもらったので、苦痛は本当にありませんでした。
鼻に流し込まれた麻酔のジェルが喉を通るときに喉に熱くしみたことと、その後鼻の穴の奥の方に若干残るカメラが通過した痛みは気になったけれど、すぐに消えました。
その後がんセンターでは、鼻からやると思っていた胃カメラを口からやると宣告されてショックを受けましたし、クリニックほど強い麻酔じゃなく鎮静剤だったからなのか、当日まで何度かデパスを飲んでいたせいもあってか効きづらくなってしまったようで、完全に意識のある中で行われましたが、終わってみると、これで1年生きられるなら余裕で毎年飲めると思える程度でした。
胃カメラを飲むことよりも、胃カメラが喉を通って擦れたことで1日半くらい風邪のときのような喉の痛みが続いたことの方が気になったかもしれません。
意識がある中での胃カメラの後は立て続けに大腸カメラとなりましたが、こちらも苦痛は全くなし。
あえて言うならば、5時に起きてただひたすら無理やりリンゴのような味になるよう努力されたのだなぁと感じる妙な味の2リットルの液体を飲み続けて腸の中をきれいにする方が大変だったけど、これは噂に聞いていたよりはまだ受け入れられました。
大腸カメラの方は結果も良好でポリープもなく、ひとつの安心材料になったのでよかったです。
10年以上前、なかなかのブラック企業に勤めていたころに胃を壊し、一度鎮静剤なしで鼻からの胃カメラを経験しましたが、この時は鼻奥の狭いところをカメラが擦れて通っていく痛みと喉奥を通過する時の違和感が本当に辛くて、映る映像を見せられ説明されても冷静になれないほどぼろぼろと泣いていたのを覚えています。
その時のトラウマもあり、胃カメラを受けることをちょっと後回しぎみにしてしまったことを、今は少しだけ後悔しています。
胃カメラ怖いな、嫌だな、という漠然とした恐怖で後回しにするのはもったいないと思えるくらい、今の胃カメラはたとえ口からだとしてもとても楽です。
AYA世代が胃カメラをするきっかけ、他にも様々ながんをなるべく早期に発見するための検診がカジュアルにできる機会はほとんどないと思います。
わたしも今はまだ会社の健康診断項目ではバリウム検査が標準の年齢です。
今回の発見に直接つながった自覚症状らしいものは「喉のつまり感」のみ。
同じ部位のがんにかかった方は、食事を飲み込みきれず嘔吐することが続くようになったので受診したという方を何例か見かけましたが、わたしの症状はそこまでではありませんし、その他にも胃がんによく言われる食欲低下や体重低下、みぞおちの痛み、胸焼け、吐き気、黒色便などの症状も全くありませんでした。
なのでこれは本当に運……。
身体の不調を甘く見ないことと、不調に対する若い方特有の「ストレスのせい」にしちゃうのをちょっとやめてみること、健康診断は2年に一度は追加料金になってしまっても豪華フルコースの検査オプションをつけてみるなどをしてみてほしいなと思います。
わたしと今まで関わってくださった大切な人たちには、誰ひとりとして、こんな苦しみを味わわせたくない。
もうわたしだけで十分。
心からそう思います。