100文字でストーリーを作るアート鑑賞ワークショップをやってみた
美術館の臨時休館が続く中、「#おうちでポーラ美術館」など、オンラインでアートを楽しめる機会が少しずつ増えてきましたね。
おうちで美術館が発信する情報を眺めていたら、「一人でアートを観るだけじゃなくて、いろんな人の感じ方を知ることができる場を作りたいなあ」という思いが膨らみました。
そこで朝活の美術部で、5月3日に、ワークショップ「おうちでアートに触れてストーリーを紡いでみよう!」を開催しました。
参加者の事前準備
Zoom上で画面共有しながら作品を観るので、パソコンでの参加を推奨しました。ストーリーを作るために、メモアプリも用意してもらいました。
チェックイン(12分)
今回は10名が参加してくれました。初対面の方もいらっしゃったので、自己紹介がてら、以下の質問を用意しました。
アート思考とどう作品に向き合うか?(3分)
チェックインを聞くと、あまりアートに触れたことがない方から、美術館へよく行かれていた方まで様々でした。鑑賞の導入として「アート思考」の説明をさくっとしました。
参加者から「アート鑑賞の経験がなくて、きちんとした感想が言えないかも…」との声があがり、「気がついたことや感じたことをそのままアウトプットすれば、参加者それぞれに新しい発見や問いが生まれるのではないか」と話しました。
一人で体験(5分)
以前オンラインでアート鑑賞イベントを開催した際に、「次はバンクシー(Banksy)について語りたい。なぜならよく分からないから!」とリクエストをもらっていました。
そのリクエストにこたえて、バンクシーの《Devolved Parliament》《Monkey Parliament(モンキー・パーラメント)》を今回鑑賞する作品として選びました。ただし「一人で体験」してもらう時点では、アーティスト名やタイトルなどは一切見せない状態で画面共有。
こちらの絵を観ながら、以下の手順で、100文字程度で短いストーリーを作ってもらいました。
途中で「具体的にどうやってストーリーを考えるの?」との質問があり、「自分の気づきや感じたことを起点に、新しい疑問を見つけることを繰り返して、ストーリーを膨らませてみよう」と提案しました。
みんなで体験①(24分)
次に「一人で体験」で作ったストーリーを、チャットに共有してもらいました。ちなみに私が書いたのはこんなストーリー。
それから参加者一人ひとりに、ストーリーを思いついた背景を語っていただき、絵を観て気になったところや感じたことを深掘りしていきました。まずは建物や背景の捉え方。
そこから、席に座るサルたちの様子や表情に目がいったり。
中央に立っているサルの発言内容を考えたり。
「もし自分がこの場にいたらどうするか?」に思いを馳せたり。
同じ絵を観ていても、着目した箇所も違えば、抱くイメージも真逆だったりと、十人十色のストーリーや感じ方が飛び出しました。
アーティストについての解説(5分)
「一人で体験」「みんなで体験①」では、アーティストの名前を伏せて作品を鑑賞してもらいました。解説ではまず、今回の鑑賞作品はバンクシーが描いたものだと明かした後、プロフィールを説明しました。
「ストリートアートやグラフィティという言葉自体を聞いたことがない」という方もちらほら。バンクシーの活躍する領域を身近に感じてもらいたくて、朝渋の拠点・渋谷にもある《インベーダー》を紹介しました。
他にも身近な例として、横浜などで見かける《山田丸》も。個人的に、以前は知らない地域に降り立ってグラフィティを探しては、地元にあるものとの違いを面白がっていました。
作品についての解説(7分)
話題を戻して、バンクシーの代表的な作品《Girl With Balloon(少女と風船)》を取り上げました。
バンクシーの作風をおさえた後、鑑賞した《Devolved Parliament》《Monkey Parliament》の背景にも触れました。
関連して、2020年3月から開催予定だった、横浜アソビル「バンクシー展 天才か反逆者か」は、残念ながら休業中です(2020年5月5日現在)。ただ、TwitterやInstagram上で「#おうちでバンクシー展」という取り組みをされており、作品やその解説をたっぷり観ることができます。
みんなで体験②(12分)
解説で作品の背景を知ったところで、参加者同士で再び対話する時間へ。「一人で体験」「みんなで体験①」で作品を観たときと、知識を得てから観たときとで、感じ方が変わったかなど、率直な思いを話し合いました。
最後に全体シェア(10分)
最後に、参加者一人ひとりが今日の鑑賞体験について、感想をシェアしました。
ワークショップを終えて
今回のワークショップでは、対話型鑑賞と体験を90分間みっちり詰め込みました。前回開催時と比べて参加人数が増えたため、話し終わったら次の人を指名してもらう形式に変えてみました。
体験の段階ごとに、たくさんの気づきと視点を共有いただいたおかげで、私自身もひとつの作品にじっくり触れる楽しさを再発見できました。
開催前にプログラムを考えていたときは「いきなり作品とのやりとりから入ると、ハードルが高いかなあ」と思っていました。蓋を開けてみると、参加された方々が、短時間でするするとストーリーを書きあげていく様子に驚きました。
次回は、参加者同士で気になる作品をあげてもらい、みんなで観る企画ができたら良いなと思っています。
興味のある方がいたら、ぜひ一緒におうちでアートに触れましょう〜!