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歌にはならないもう一つの土曜日

 7月最後の土曜日は、何にもない土曜日かと思ったら、諸般の事情で朝からかみさんと一緒にシャワーを浴びた。やれやれと言いながらアイスを食べていたら回覧板がドサッと組長さんから回って来て、月当番だから市報を配って下さいとミッションが言い渡された。特に用事もないので炎天下の中、市報を配って歩いたら、自転車で通勤するよりも遥かに暑い。見回すと道端を歩いている人を見かけない。

 夏休みの子供たちが道端や空き地で遊んでいたのは、遠い昔の私の夏休みだった。あの頃の夏は、暑さは上からだけで、足元は土で日陰には涼があった。甲子園地区大会決勝は明豊が勝って、みなみこうせつが造った校歌が流れている。鳥が鳴いて、川が流れていた夢のようなあの頃はもう今はない。

 車の三角窓が消えて、クーラーが装備された。家庭からは障子が消えて、うちわが消えて、扇風機からエアコンに替り、中と外の温度差が10度、どうかすると20度にもなってしまった。どこからか飛んで来たアゲハ蝶、手を出したら止まってくれた。息遣いまで辛そうだ。

 やらないといけないことはあるけど、やる気がしないので、アイスを食べて、読みかけの本をよんでみた。外では蝉しぐれが暑さに負けていない。再び、子供時分の夏休みが頭に浮かんで来る。よしだたくろうの夏休みが流れて来る。姉さん先生もういない。きれいな先生もういない。ここか、私の夏休みも遠すぎる昔のこと、わが子の夏休みも四半世紀も前のことか。それでも待ってる夏休みだったのにな。

 夕食後はかみさんの機織りの下準備の経糸張りを次男とやっつけた。夜は雷が思わせぶりに過ぎて行ったので、ナイトウォーキングで一汗。そしてまたアイスを食べる。20240727

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