第八話 雨上がりの箱庭
湿り気を含んだ夜気が辺りに漂っている。
ようやっと雨が上がったようだ。
箱庭から彼女の気配がする。
まるで昔の自分を見ているようだった。
身に覚えがある、あの感覚。
強くありたいと願い、強くない自分を嫌悪する。
許されたいともがきながら、そんなものは絵空事だと拒絶していた。
月の光に照らされた箱庭を見て、ふと気がつく。彼女はここに、自分を葬りに来たのだろうか?
破壊と再生。生と死。己を焼き尽くす炎。
不死鳥。火の鳥。
そうか、そういうことか。
彼女の翼が見えた気がした。
…生まれ変わりに来たのね。
またお会いできるかしら。
もう必要ないかもしれないわね。
あなたの行く道に、多くの光がありますように。