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Photo by
soeji
プレイボール
子どもを育てながら働くということは、古い表現になるが「星飛雄馬のギプス」をつけていることに似ていると思う。
まあ身動きがとれない。窮屈で不自由。
ジャムの瓶は相変わらず開けられないが、5kgの米袋なら軽々と持ち上げられるようにはなる。
そんなこんな修行の毎日。
こんなに頑張って毎日徳を積んでいたら、ついうっかり解脱しちゃうんじゃないかしら。そんな風にひとりごちる。
でもまだ悟りは開けない。
別に開きたいわけでもないけど。
さて、ギプスを装着して、いったい何年になるのだろう。
ギプスは、外すことが前提のものだったはずだ。
外してしまうと言い訳ができなくなるからといって、いつまでも着けているのは本末転倒だ。
試合前には外すものだ。
ふと気づく。
あれ、わたしは一体なにと戦っているのかしら。
投げられたボールを、なるべく遠くに打ち返す。
ボールはたまに石だったりする。
わざとボールを当てにくるヤツもいる。
でも生きていくには、打席に立つ必要があるのだ。
毎日毎日ペコペコ頭を下げて、あたしゃ赤ベコかよ。そう心の中で毒づく。言わないけど。
謝ってうまく物事が丸くおさまるなら、謝ることなんて屁でもない。
ずっとそう思っていた。
なのに、誇張じゃなく本当に、毎日、全方位に、謝らないといけないのだ。
私の堪忍袋の緒もさすがに切れていいと思う。よく耐えている。
私、悪いことしてるのかな。
たまに弱気になってそう思う。
え、そんなわけなくなくない?
私の中のJKがツッコミを入れる。
ええねん、思っとらんでも謝っといたらまーるくおさまるんですよ。
私の中の上沼恵美子がそう言う。
はて。
はてはて。
夢に見るのはサヨナラホームラン
だけどコールドにならないかやきもき
ドローならOK、なんてどの口が言うの
完全試合の目は無くなって
逆にほっとしているのかもね。