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カサンドラコンピューター


未来を見ることは、それほど難しいことではない。
個々の現状、思考傾向、施行条件、案件をインプットする。
予測が弾き出される。
火を見るより明らかだ。

テスト勉強をすればテストの点数は上がる。
インフルエンザなど予想外のことはもちろんあるが、それはあくまでアクシデントだ。

インプットする情報は正確なほど、予測の精度は上がる。
不正確な情報には修正が必要だ。

できるならやりたいのか、本当にやりたいのか、とりあえず言ってみただけなのか、実はやりたくないのか。

発言と思考はイコールではないのだ。

誤差範囲の設定をする。
予測される未来の誤差範囲が打ち出される。
その上で、予測される危険を排除し、ベターと思われる行動を選択する。

予測される危険を排除しきれないことは、筆舌に尽くしがたい苦痛だ。

あらゆる手段を脳は叩き出す。

手を尽くしたいが、私の身体はひとつしかなく、手も二本しかないのだ。

予測される問題を忠告し、回避する策を提案するも、
私の言葉は、虚空に消える。

…シャットダウン。

見なければいいのだろうか。
余計なお世話なのだろうか。

望まれていないのに先回りするのは、私の悪いくせだ。
失敗することは悪いことじゃない。
死ななきゃなんとかなるのだ。

わかっている。

私の脳は、カタカタと空回りする。

私の言葉は、誰の心にも響かないのだろうか。
万にひとつでも届けば、それで満足すべきなのだろうか。
自分のためだけに生きていられれば、そんな事で悩まずにすむのだろうか。
人の分まで悩んでも、意味などないのだろうか。

制御不能。オーバーホールが必要だ。

ほらまた遅刻してる。
気にする必要はない。
よくある話だ。
私には関係のないことだ。
私が傷つく必要はどこにもない。

それなのに、私は不機嫌の権化と化す。
荒れ狂う魂を持て余す。
崇め奉られたいわけではない。
(本当に?)
真面目であることを美徳とすることが、そもそもの間違いだ。(本当に?)
(本当に?)(本当に?)

思考がショートする。

私は、誰よりも優秀で、誰よりもポンコツだ。


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