花散里
昔、花散里の君が好きだ、と話したら
あんなの都合の良い人じゃないかって言われたことがある。
た し か に
でもあれは女性が書いた作品だから、よくある男性からみた都合のいい女、とは一線を画しているように思う。
あまり美人ではないが心優しく信頼に値する人物、だからこそ息子を任された。
ほんまに光る君って奴はもう、なのに読んでしまうまさにドロドロ豪華絢爛昼ドラ小説。
義理の娘に手を出そうとした時はほんとに本を投げつけたものだ。
と言っても私の光源氏は新源氏物語とあさきゆめみし出典なので今の光る君とはまた違うんだろうな。
今はなきティークオリティ片手にそんな話をした高3の夏。
あなたは確か明石の君が好きって言ってたっけ。
ごめんよく覚えてないや。
あの頃は明石の君はなんか冷たくて好きじゃなかった。
でも今なら明石の君の苦悩に寄り添いたくなるし、なんなら六条の御息所にさえ肩入れしたくなる。
きっと光る君へ観てるだろうなあ。
そういや最近職場の飲み会で若い人が、自分は怒ることはない、と話しててヒュッとなった。
今どきの若者はそうなのか。
そうか私は老害の域に達しているのか。
いやいやそれは端的に物事を見すぎている。そうじゃない人もいる。
怒らない、んだ。へー。
そういう生物も発生しているのか。
いや、ディスっているわけではない。いやディスっているのか。
そういう対処の仕方もあるのか、私には向いていないが事象として起きていることは知っておこう、いやしかし、
ほんとにそんなことは可能なのか??
ほんに人のこころとは摩訶不思議。
深淵を覗くのはほどほどに。
あれだ、私に花散里要素がなかったから憧れたのかしら。
たぶん私は怒りを手放さないし、
光る君みたいになりたいわけでもない。
花散里みたいになりたいわけでもない。
明日は砂糖をたっぷり入れたミルクティーを作ろう。