
【vol.8-5】男子サッカー部の中でプレーする現役女子中学生による、女子サッカー環境に関するプレゼンテーションZOOM会レポート
2025年1月27日(月)20時~、男子サッカー部の中でプレーする現役女子中学1年生による、女子サッカー環境に関するプレゼンテーションZOOM会を実施しました。耳すま含め、参加者は9名+プレゼンテーターの現役女子中学生での計10名で進行しました。
1.当日の流れ・参加者の属性など
1.参加者同士の自己紹介、「女子サッカーに耳をすまして」およびそこから派生したサッカー団体「ジョガボーラきららさいたま」のご紹介
2.現役女子中学生による、女子サッカー環境についてのプレゼン
3.(休憩をはさみつつ)質疑応答・感想共有
女子中学生世代のサッカークラブ運営に携わる方、スポーツ行政の関係者の方、サッカーに関するFacebookグループ運営に携わる方、サッカー指導者の方、メディア関係の方など、様々な立場の方々が集まり、プレゼンテーションに耳を傾け、質疑応答や感想共有など交流を深め、今後の新たな展開が生まれそうな、貴重な機会となりました。
2.現役女子中学生による、女子サッカー環境を考えるプレゼンテーション
いよいよ、メインである、女子中学生による、女子サッカー環境を考えるプレゼンテーション(未来人財共創WS『未来の日本サッカーを考える日本代表になろう』参加レポート)が始まりました!

(1)プレゼンテーターのプロフィール
発表してくれた女子中学生のプロフィールはコチラ ↓
〇さいたま市内の中学校の1年生(現在)
〇男子サッカー部所属(現在)
〇6歳からサッカーを始める 8歳~12歳までサッカースクールに通う
11歳の時、地元の少女チームに在籍 13歳から中学校の男子サッカー部でサッカーを続ける
(2)未来人財共創WSに参加したきっかけ
学校の校訓に基づき、社会課題について探究活動を行う授業があったこと。
(3)探究活動の詳細





(4)KDDI主催「未来人財共創WS『未来の日本サッカーを考える日本代表になろう』」参加レポート







3.質疑応答・感想共有など
【参加者1】素晴らしいプレゼンありがとうございました。男子と混ざってプレーしているということでしたが、練習メニューとか全部一緒にやるんですか?女子選手は1人?
【中学生】はい、全部一緒にやっています。1つ年上の女子の先輩がいます。プレゼンで話した体験会WSも、先輩と一緒にやっています。
【参加者1】やってみようかな、なんて子はいましたか?
【中学生】そもそもサッカーを知らないような人も参加してくれましたが、楽しかったという声は沢山ありました。
【参加者1】ワークショップは継続して行っていくんですか?
【中学生】はい、継続していく予定です。
【参加者1】先生のご協力もばっちり得られているんですか?
【中学生】そうですね。
【参加者2】ありがとうございました。まず質問させてください。男子サッカー部の中で、試合は出られるんですか?
【中学生】1年生ということもあり、試合に出られない状況にあります。それだけでなく、男子との体格差・実力差もあり、参加するとしても練習試合などだけに限られています。
【参加者2】男子との差がどうしてもあるとは思うのですが、女子だけでプレーしたいと思っていらっしゃるのか、男子の中でメキメキ力を発揮していきたいのか、どちらかお聴きしてもよいですか?
【中学生】小学校の頃にサッカーをやっていて、サッカーは楽しいな、と思うし、どうにかして続けていきたいというのはあって、プロになりたいとかじゃなく、ただ、サッカーを楽しみたいという考えが強かったので、女子のクラブチームに入るということは検討してなくて。
私の学校は部活というより「クラブ活動」という名称なので、一般の部活動よりは活動頻度が少なく、1年間の中で種目を変更もできたりするので、変更する可能性も考えましたが、楽しいので、サッカーを続けています。
【参加者2】今、まさに女子サッカーの課題が出ましたね。「楽しみたい」という場が少ないですよね。楽しみたい、というときに、サッカーをやる場がない。本気か、やめるかしかないな、ってプロの選手も思っているようですね。
今日のお話を聴いて、具体的に考えて何かできることを探していきたい思いました。
【参加者3】部活動というのは、ガチ・競技系でやらないよっていう人の受け皿として環境は整っているのかなって思います。私の運営する団体の活動が、AddidasのHer teamプロジェクトの申請が通ったのは、部活動の地域移行支援の受け皿にします、という形、教師の負担にならない形、で環境を整えたことがあります。
今、グランドがないです、さいたま市。地域に種をまいていく活動は必ずいつか実を結ぶはずです。ちょっとでも続けらる枠を活性化してくださることで、すぐにではないかもしれないけれど、ー受験とかいろいろあるし・・・ー、また大学や社会人になってからサッカーをするきっかけになる、長期スパンで考えると、社会活動としてすごく意義のある活動をされているなと思います。
【耳すま】人数が集まったら、場所の問題は大丈夫なんですか?
【中学生】場所の問題も難しい状況です。
【参加者4】お話から勇気をもらいました。神奈川県はガチか辞めるか、WEリーグもなでしこも大学もあるのに。チャレンジしたい、上を目指す女の子たちには環境があります。私は、楽しみたい、という子の受け皿を作りたいと思っているのですが、なかなか声が届かないのです。今回の、ワークショップで未経験の子にサッカーができる場をつくったという話を聴いて、もうちょっと頑張って、声を届けてやりたいと思いました。場所については、学区の居住者じゃないと、というところで結構ネックがあります。市の体育館に抽選で申し込んで場所を確保するとかいう状況です。
【参加者5】素敵な発表でした。女子サッカーって可能性があると思っていて。ひとつは働く女性がもっと社会で活躍するってところが根底にあるのかな、と。サポーターも男性が多い、指導者も男性が多い・・・審判は女性が多くなっていますが。これから頑張ってください。
【参加者3】まず地域クラブチームとして立ち上げて、そのあと、部活動の地域移行云々の受け皿、という順序が良いかなと思います。
【参加者1】ボディコンタクトのあるスポーツなので、男女混ざってより、男女別でやる環境はやっぱり必要で、環境が整っていなかったら、他のスポーツに流れるのは仕方ないのかなって思いました。
【参加者4】ママさんを対象にウォーキングフットボールの機会をつくろとしています。途中、ヨガも入れながら。一緒にボールを蹴れるお子さんは一緒に蹴るし、小さいお子さんは大人が面倒みるし、みたいな感じで。
中高生年代の若いサッカーチームと、サッカーやったことのないお母さんチームと、両方作っていきたいなと。
【耳すま】地域のお祭りとか清掃活動とか、地域社会のコミュニティのところにタッチすると、縁が増えることがありますね。
【参加者3】女子中学生のリアルをお聴きしたいです。サッカーの重要性って生活の中でどれくらいの比重ですか?男子って生活の中でサッカー8割くらいなんですよ。女子はどうなのかなって。
【中学生】私は正直なところをいうと勉強が好きで、勉強が5割くらい占めますね。家族も大事なので3割くらい、2割くらいがサッカーかな、その他のことは余裕があったら、という感じです。
【参加者3】その配分ってすごく大事にしていただきたいなって思います。
独自性を出したサッカー活動を展開していけるかもしれないですね!
【参加者2】ママさんサッカーチームとか、大学サッカー部とか、そういうところに混ざるっていうのもアリかもしれないですね。年代で区切らないで、サッカーするというのもありですよね。
世田谷区で、子どもがやってるから始めたっていう、経験者のいないママさんチームがあって感動しました。ママさんと中学生で一緒にやれないかなって思いました。
【参加者2】近い将来でも、大人になってからでも、どういう状況・環境になったら一番ハッピーですか?
【中学生】まずは、地域で、気軽に、女子中学生をはじめとして、女子サッカーの環境を整えていきたいし、それが実現していったら、もっと広く考えて、もっといろんな人に楽しんでもらえる、どんな人でも楽しめる環境ができていったらいいなって思います。
【参加者2】素敵な夢だと思うので、勉強も大切にしながらサッカーも楽しめるっていう、そのスタンスで、周りの大人を巻き込んで、頼ってもらえたらなと思います。
【中学生】このような素敵な場で私の発表をさせていただいてありがたいなと思いました。自分だけでは考えなかったこと、知らなかったことを知れたのでよかったなと思います。
4.編集後記
今回は、現役女子中学生による、女子サッカー環境を考えるZOOM会を、ご多忙な中で日程を調整して頂き、多くの方にご参加いただくことができました。「現役女子中学生による、女子中学生のサッカー環境の発信」という形に、多くの人が関心を寄せて頂いたと実感しています。今日参加はできなかったけれども、Facebookイベントページで「興味あり」ボタンを、実際の今回の参加者の倍くらいの人数の方が押していました。
今回の発表の中で非常に印象的だったことは、現役中学生からの、プロサッカー選手を目指してサッカーしているわけではないけど、サッカーが大好きだし、楽しいし、続けたいと思う、というストレートなメッセージであり、そういうメッセージを受け容れるような、気軽で身近な女子サッカーの環境が非常に貧弱であるという日本社会が長年抱えている社会課題・スポーツ環境の課題であったのではないかと思います。
スポーツを始める動機がプロスポーツ選手を目指す、じゃなくていい、という、冷静に考えてみると非常に当たり前であるかのような感覚が、どこか歪んでいて、「やるからにはトップを目指そう!プロを目指そう!」という空気が女子サッカーに限らずですが、まだまだ日本のスポーツ環境の中で漂う空気として残存しています。
今回、ZOOMに参加してくださった方の中には、生活の中でサッカーの重要性って何%くらい?といった具体的な質問から、中学生の素直な想いを引き出し、その生活の中での重要性の割合を大切にしてほしい、という暖かく素敵なメッセージがありました。このZOOM会のプレゼンテーターの中学生は、生活の中で勉強が50%くらいです、と答えていました。この比率は、人それぞれだと思いますが、生活の中でどういうバランスで生きていると自分自身が幸せなのかな、ということが尊重され、それにあったスポーツ環境が身近にあることは、本当に大切なことだと気づかされました。現状としては、まだまだ環境が整っていないですが、今回プレゼンしてくれた中学生は、環境がないから諦める、ではなく、一歩も二歩も踏み出し、「どうしたら、この日本社会で、気軽にサッカーが楽しめる場・環境を作れるかな?」というアクションを起こし続けていました。その姿勢を知って、多くの大人の参加者たちが勇気をもらい、応援したいという気持ちになりました。
今回のZOOM会で蒔かれた種が、様々な形で、想いが続き、まずは、今日発表してくれた中学生自身が、幸せな生活につながるサッカー環境を整えることに、大人たちが協力して、実現につなげていくことができたらと思っています。
まずは、この、勇気をもって発表してくれた中学生本人が、幸せになるサッカー環境をみんなで知恵を絞って考え行動していきましょう。
そして、そのために築いた様々な関係性が、きっと、その他の女子中学生、サッカーをやってみたいけど環境がないと諦めそうな沢山の潜在している女性にとっても素晴らしい環境づくりにつながっていくのではないでしょうか。
今回発表してくれた中学生、参加者の皆さん、このレポート記事を読んでくださった耳すま読者の皆さん、有難うございます。これからも、今のところ、一番ウィークポイントになっていると言われる、女子中学生年代のサッカー環境をメインターゲットとしながらも、広い視野で、結果として女子サッカー環境全体が豊かになっていくような方向に向かって、一緒にちょっとずつ日々を重ねていけたら幸いです。
今後とも、なにとぞ、よろしくお願いいたします⚽!!
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