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UEFA女子CL準々決勝2nd ヴォルフスブルク対アーセナル観戦レビュー(女子CL初観戦⚽!)

<世界レベルを体感する⚽>UEFA女子CL準々決勝2nd ヴォルフスブルク対アーセナル の試合に注目!

UEFA女子CL準々決勝の概要はこちらを参照してください。

8強は、フランス、スペイン、ドイツが2チーム、イングランド、イタリア(初)が1チームという構成となりました。

 スペイン同士のカードとなった試合では、女子サッカーの試合としては過去最高の観客数9万人以上を動員したそうです。

 レビュー対象のヴォルフスブルク対アーセナルの試合ですが、DAZN視聴しました。実況は西達彦さんで、解説者はいませんでした。

 調べても観客数は分からなかったのですが、男子も使用する大きなスタジアムであるフォルクスワーゲン·アリーナに、かなりの人数の観客が入っていたように見えました。試合直前、観客が試合を盛り上げるべく、紙吹雪を大量にまき、グランドに散乱し、それを片付ける作業が発生し、試合開始が遅れるという珍事から試合は始まりました。決勝トーナメントからはVARも導入され、前半にはかなりの長い時間の確認作業時間があったりと、外部的な要素により集中力を保つことが難しい場面の多い試合でした。

ヴォルフスブルクの出場選手の印象・情報

〈先発選手〉

GK 1.シュルト 後半74分、コーナーキックから2本目のヘディングシュートが枠をとらえていたが、しっかりと反応し手を伸ばしてファインセーブした。

右SB 2.ウィルムス 前半30分、中盤でオーバードルフと連動して相手からボールを奪いきるプレーがあった。

CB 4.ヘンドリッヒ 最終ラインのパス回しの過程で、前に運び時間をつくるプレーが多く見られた。前半37分、相手FWブラックステリウスが裏ぬけしようとするのに対し、しっかりと対応し、ついていき、裏ぬけさせなかった。後半76分、相手FWブラックステリウスへの縦パスに巧く体を入れて対応した。

CB 6.ヤンセン そつのないプレーが多かった。

左SB 13.ローフ 右サイドCKのキッカーとして質の高いボールを供給し続けた。

ボランチ 5.オーバードルフ 前半15分、良いタイミングでオーバーラップしゴール前でパスを受け、GKと1対1になる決定的な場面があった。前半32分、中盤でボールを奪い、カウンターの起点となった。

ボランチ 8.ラトバイン 右サイドでしばしばフリーになるフートを積極的に使う展開力をみせた。

右MF 10.フート 前半はフリーで攻めあがり決定的な場面をチャンスメイクしていた。左のCKのキッカーをつとめた。前半35分、ラトバインからほぼフリーの状態でパスを受け、決定的なシュートを放ったが、相手GKの好セーブに阻まれた。後半71分、右サイドからドリブルで左サイドまで流れ、なおもドリブルを続けシュートまでいく強気のプレーがあった。キャプテン。

左MF 32.ヨンステップウィル 試合を通じて攻守に渡り大活躍。しなやかでバネのある高い身体能力と献身的なプレーが非常に魅力的。逆サイドにポジショニングしてプレーしていることもあった。後半72分、左サイドからクロスをあげ、追加点となるオウンゴールを誘発した。アイスランド代表。

FW 28.ワスグート 前半37分、DFからの縦へのロングフィードを体幹の強さをみせながら胸トラップして前を向き、前線へフィードしたが、つながらなかった。今大会得点ランキングトップの位置につけている。

FW 14.ジルフォート CKのこぼれ球のこぼれ球を、巧く押しこんで先制点を決めた。後半60分、カウンターが始まり、中盤でうまくボールを受け、前線につないだ。

〈交代選手〉

ボランチ 11.ポップ 後半46分、プレスバックでボールを奪うシーンがあった。後半84分、テンポよいパスワークの中継地点として役割を果たした。

左MF 17.エバーパヨル 後半84分、左サイドでポップから良い形でパスを受けたかに見えたが、オフサイドだった。後半85分、GKからのロングパスをヘディングでうまく落とし、攻撃のリズムを生み出した。ポーランド代表選手。

ボランチ 21.ブロンクビスト 後半85分、オーバードルフに代わって出場。後半85分、左サイドでボールを受け、相手に当ててスローインを獲得した。

アーセナルの出場選手の印象・情報

〈先発選手〉

GK 1.ツイスベルガー 前半35分、相手MFフートの至近距離のシュートを見事にセーブした。

右SB 16.マリッツ 前半35分、自陣右サイドでインターセプトするプレーがあった。後半59分、右サイドからシュートを打ち、相手GKがこぼすシーンがあった。後半65分、インターセプトで良い攻撃の起点となった。

CB 6.ウィリアムソン 後半74分、CKから2本目のヘディングシュートを打ち、枠をとらえていたが、相手GKの好セーブに阻まれた。

CB 3.ウッベンモイ 前半39分、ゴール前で、フートのシュートを体を投げ出して当ててなんとか防いだ。後半66分、コーナーキックにヘッドで飛び込んだが、おしくもミートせず。

左SB 7.キャットリー 前半32分、自身のスローインから投げた直後に猛ダッシュして再度ボールを受け、中央に向かってファーストタッチからシュートまで持って行った。この試合のアーセナルのファーストシュートだった。前半42分、GKからのキックを絶妙な位置で受け、前線につなげるプレーがあった。左利きで、FKやCKのキッカーもつとめており、攻撃面では活躍もあったが、同サイドでマッチアップした相手MFのフートをフリーにさせることが非常に多く、守備面の課題が残った。

ボランチ 12.マーヌン 序盤に強く頭を打つアクシデントがあった。後半65分、良いテンポのパスワークの中継地点として役目を果たした。

ボランチ 10.リトル 前半31分、自陣で囲まれながらも軽やかな身のこなしと細かいタッチで抜け出し、フリーでドリブルで駆け上がり右サイドに展開するも、周りの反応がいまいちでシュートまでいかなかった。後半59分、左サイドから巧く相手をかわすドリブルで攻め上がりチャンスメイクした。キャプテン。

右MF 15.マッケーブ 後半69分、好調なプレーを見せていたヨンステップウィルからマリッツと連動してボールを奪いきるシーンがあった。その直後に、カウンターにつながる正確なロングフィードもみせた。

左MF 77.ヒース 相手右MFフートに自由にやらせすぎた。

FW 25.ブラックステリウス 前半23分、巧みなコントロールでキープして味方につなげるプレーがあった。後半65分、フォートの速いクロスに反応したが、コーナーにするのがやっとだった。後半66ー67分、相手スローインを胸トラップした相手選手のワンバウンド目を逃さずかっさらい、チャンスメイクした。後半69分、ミエデマから左サイドで良いパスを受けたが、その後のチャンスメイクは味方と呼吸が合わなかった。

FW 11.ミエデマ 後半69分、マッケーブからのロングフィードをうまくおさめ、左サイドを走るフォートに完璧なパスを供給した。後半74分、CKからヘディングで合わせたがクロスバーを叩いた。

〈交代選手〉

左MF 19.ケートリンフォート 後半57分、左サイドで縦にフィードするシーンがあった。後半65分、中央のリトルからのパスを左サイドで受け、ニアに誰かが走りこんでいればゴールが決まりそうな速くて低いクロスを上げた。後半86分、キャットリーからの縦パスを反転しながら巧く受けたものの相手についてこられたが、コーナーキックを獲得した。元ベガルタ(現マイナビ)仙台レディースの選手。

右MF 14.リキータハリス 後半69ー70分、マッケーブに代わり出場。西達彦さん曰く、攻撃の流れを変えることができる選手だそう。

ボランチ ?.ジョーダンボブス 西達彦さん曰く、攻撃の流れを変えることができる選手だそう。後半76分、フォートから良い形でパスを受けるシーンがあったが、芝に足をとられ奪われた。後半87分、ミドルシュートを放った。

右SB 26.ビーンロイター 冬の移籍市場で入ってきた選手。元ホッフェンハイム。

まとめ

 1stの試合を観戦することはできなかったが、この試合に限っては、ヴォルフスブルクの完勝という印象だった。特に前半はヴォルフスブルクの右サイドから10番のフート選手がフリーで攻めあがるシーンが何度もあり、攻撃のリズムを生み出していたし、後半は左サイドの32番ヨンステップウィル選手の高い身体能力を生かした攻守に渡る活躍で、オウンゴールのきっかけとなるようなクロスボールを送り込むプレーもあった。対するアーセナルは、前半はなかなか攻撃のリズムを作ることができていなかったリトル選手が、後半に入り、前を向ける場面が増え、それと同時にチャンスも生まれ始め、決定的なシーンもあったので、もしどこかの場面でゴールが入っていたら、ゲームの流れも変わっていたかもしれないが、引き寄せられなかった。試合を通して、ヴォルフスブルクの全選手の反応の良さ(出足の速さ)が非常に印象に残った。最後までその集中力は途切れることはなかった。

 WEリーグとの違いという視点から見ると、まずパススピードが違うような気がした。しかし、何もかも速くプレーするというわけではなく、判断でプレーをしっかりとスローダウンする場面もあり、メリハリが効いていた。守備面では激しいスライディングタックルが非常に多かったり、長い足が伸びて来るシーンが多かったのも大きな違いだった。また、身体能力がしなやかでバネのある日本人の感覚では想像つかないような次元の選手もいた。スピード・メリハリ・激しさ・身体能力といったヨーロッパのサッカーのレベルの高い要素に対し、日本の女子サッカーはどのようなアプローチで勝負していくのか。日本の女子サッカーといえば、細やかな連動性の素晴らしさというものもひとつ挙げられると思うが、その要素に関しても、チャンピオンズリーグでは高いレベルを見せていた。アーセナルの岩渕選手や、リヨンの熊谷選手のように、所属して活躍を見せている選手もいるので、彼女たちのプレーからヒントをもらえるかもしれない。

 今回、初めて女子のチャンピオンズリーグを観戦した。観客数が多いのはよいが、紙吹雪で試合の進行が邪魔になってしまうなど、あまりマナーの良くないファンも多く、その点、WEリーグは安心してみることができるなど、日本の女子サッカーの良さをかえって再認識する機会にもなった。サッカー発祥の地であるヨーロッパから学べることは学びつつ、日本の女子サッカーの良さも、再発見できるように、これからも海外サッカーにも注目していきたいと思う。

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