ユニコーンに救われた⑤
ちょうどボクが怒涛のボランティアからあと1年で60単位を1つも落とさないで卒業しなければならなくなった頃、ユニコーンも1つの区切りを迎えつつあったとは全く知らなかった。
ボクはなんとか社会人になった。
と、その前に、高校時代の同窓会があり、ボクはボロボロのスーツを着ていったのだが、誰もそんな格好で来ている人はいなかった。
そこで二次会にカラオケに行ったのだが、そこで尾崎豊の「I LOVE YOU」を歌ったという話は、「尾崎豊と僕」の中でも述べた。
やはり、ボクが自然に気負わずに歌えるのは尾崎の曲だった。
それが不思議なことに、社会人になると、ユニコーンの曲も自然に歌えるようになってきたのだ。
カラオケに行くことはたまにしかなかったが、「服部」や「大迷惑」とともによく歌ったのが、アルバム『スプリングマン』の中の「与える男」である。
この頃はこのアルバムが一番好きだった。
特に社会人になって、思い通りにいかないことや理不尽な先輩なども何人かいたのだが、そうしたことに対して、その気持ちを代弁してくれている曲がユニコーンの曲の中にはたくさんあった。
それが「働く男」だし、「ヒゲとボイン」だし、「大迷惑」だった。
まさにこうした曲を聴き、自分でも歌うことでボクは救われた。
しかも何度も、何度も。
同じ職場の1年先輩もユニコーンが好きで、二人でライブビデオを観たり、ご飯を食べに行ったりもした。
ビデオやCDも貸した。
職場の予備校の大画面で、ユニコーンのライブを流して観たこともあった。
こうしてユニコーンは共通言語としてなくてはならない存在になった。
しかし、ユニコーンはまさかの解散をすると知って、ショックだった。
『スプリングマン』の中では「与える男」、「すばらしい日々」、「あやかりたい'65」、「素浪人ファーストアウト」などが好きだった。
しかし、やはり「与える男」と「すばらしい日々」は別格だった。
つづく
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
また次回お会いできたらうれしいです。