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アナログレコードのある生活⑥
藤田恵美さんとの出会いは僕が大学生の時にさかのぼる。
当時恵美さんがバイトしていた事務所にボクも顔を出して、ボランティアで手伝ったり、事務所に来た人たちとおしゃべりをしたりして、そこはとても居心地のよい場所だった。
恵美さんはとても優しいお姉さんのような存在だった。
その時、ボクは恵美さんが唄を歌う人だとは知らなかった。
元々ボクはそういった個人情報にはうといほうなのだ。
恵美さんの帰りは途中まで電車で同じ方向だったので、お話しながら帰ることもあった。
それからしばらくして、恵美さんがご結婚されるということで、バイトはお辞めになることになって、その最後の日も途中まで一緒に帰らせていただいた。
だいすきな恵美さんには是非幸せになってほしいと思った。
旦那さんになられる方にも事務所で少しお目にかかった記憶がある。
それから数年後、ボクは音楽番組を観ていてビックリすることになる。
なんとその恵美さんが旦那さんと一緒にテレビに出ているではないか!
そもそも恵美さんが歌手だと知らなかったボクはテレビに釘付けになった。
話を聴けば、旦那さんとワゴン車で日本全国の有線放送を守り、自分たちの曲をかけてもらうようにお願いしたという。
その旦那さんとのグループ名がル・クプルで、のちにその曲は大ヒットし、ドラマの主題歌にもなった。
その曲を「ひだまりの詩」という。
ボクはビックリして同じ事務所に出入りしていた友だちに連絡して、恵美さんのことを知ってるかと尋ねた。
つづく