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【第一級海上特殊無線技士/合格体験記】無線未経験者でも合格できた一海特の勉強方法

こんにちは!mimi@ゆるふわSEです。
先日、第一級海上特殊無線技士の国家試験を受験し、見事合格することができました!

一海特については合格体験記が非常に少なく(一陸特と違ってニッチな分野だから仕方ないとは言え)、受験前も「本当にこれで勉強進めて大丈夫なんだよね…?」と不安になる事がしばしばありました。そのため、今後国家試験での受験を予定される方に向けて、とある無線未経験者が合格水準に達することができた勉強方法を備忘録を兼ねて投稿します。
(誤字脱字、内容の誤り等を見つけた場合は、Xアカウント(@mimiOL_ganbaru)までご連絡ください)

自己紹介

名前   :mimi@ゆるふわSE
最終学歴 :地方国立大学理系修士卒(非情報系/経営工学)
職歴   :新卒→SIer入社6年目
業務内容 :複数のSaaS製品のプリセールスエンジニア兼PM
      (プログラム実装とインフラ構築以外は大体やってます)
取得済資格:一陸特、二陸特、二海特、クラウドベンダー資格他
      TOEICはMAX600点、英語は大の苦手
      ※取得資格一覧についてはプロフカードをご参照ください
       <https://profcard.info/u/2vf9QeZHgKOdmZ7axph5sgnf0L52>

一海特を受験した理由

そもそもの始まりは、業務の中で通信系の案件に携わる機会があったため、「自分が通信部分を担当する訳ではないけども、案件全体への理解を深めるために無線について少し勉強してみよう!」と思い、勉強方法を探す内に陸上特殊無線技士試験にたどり着いたのがきっかけでした。手こずりながらもR5/10に何とか一陸特に一発合格した後、「何か船内に乗せる系のシステム案件に携わるらしいから、海の方も取ってみるか~(案件は結局ぽしゃった)」とR5/11に二海特を取得し、「せっかくだから一海特も取ってみるか!」と決意の上、R6/6に一海特を受験しました。

一海特では、漁船や旅客船に乗せるちょっとした無線機器(=電波の質に影響を及ぼさない範囲)であれば操作可能になるそうです。無線の資格を受験するまでは、今流行りの5G等の電波を飛ばすための操作にも無線免許が必要なことを知らなかったので、無線の勉強をして色々と学べたことは非常に良かったです。(頭にアルミホイル巻くだけじゃ5G飛ばせないのか…)

(参考)一海特の資格と操作等の範囲(概略)/ 日本無線協会

試験科目

一海特の試験科目は下記になります。
二海特までは無線工学/法規の2科目のみでしたが、一海特は海上での無線通信を想定した英語や電気通信術が追加されます。

【第一級海上特殊無線技士 / 試験科目】
・法規 / 無線工学 合計60分
・英語(会話) 30分以内
・電気通信術(受話 / 送話) 各約2分

(参考)資格別・科目別試験問題数と試験時間 / 日本無線協会

私が受験したR6/6回は、法規/無線工学 → 通信術(受話)→英会話→通信術(送話)の流れで実施しました。
全部で2時間ぐらいの短めの試験ではありますが、科目数が多いため、計画的に勉強を進めないと直前期に詰め込むことになるので注意してください。(経験談)

試験対策

法規 / 無線工学

特殊無線技士レベルの法規・無線工学は、市販のテキストを通読し、後はひたすら過去問を解くだけで、容易に合格ラインに到達できます。
但し、総合・海上無線通信士や陸上無線技術士と比較して「容易」という意味であり、無線の実務経験が無い人や他の無線系の資格の受験経験が無い人が初めて勉強する場合は、テキスト1周するだけでもそこそこ時間がかかります。勉強計画を立てるためにも、申し込み後すぐに着手し、各科目の過去問題を確認するのをおすすめします。

私は、テキスト通読→過去問10回×2周、の流れで法規/無線工学の対策を行いました。テキストについては、一陸特、二海特の受験経験があったため、忘れていた分野や初見の内容を調べながら1週間ぐらいかけて読み進めていきました。過去問は2~3週間かけて10回分を2周しました。(1日1~3時間程度)

テキストは、R5秋に二海特(第二級海上特殊無線技士)を受験した際に購入した「やさしく学ぶ」シリーズを使用していました。
このシリーズには二陸特、一陸特でもお世話になりましたが、初心者にも分かり易い説明や、重要度(頻出度)の記載等の観点から、個人的には複数あるテキスト群の中で一番初心者向けだと感じています。

なお一海特は公式(標準教科書)以外にテキストが出版されていないため、基本的には二海特のテキストを使用することになります。海上ならではの設問も全体の2~3割程度出題されるため、陸上特殊無線技士のテキストを持っている場合も、改めて購入した方が良いと思います。(自分で都度調べられるなら、わざわざ購入する必要はありませんが…)

一海特の過去問については、無線協会のHPには過去3回分しか公開されていないため、無線国家資格受験者御用達の「電波受験界」からダウンロードするのがおすすめです。(電波受験界なら直近9回分ダウンロード可)

過去問を解いた際の体感では、ほとんどの問題が9~10回分の中で複数回出題されており、ある解答群の中で問題が使い回されているような印象を受けました。大体の問題が選択肢まで過去問と全く同じ状態で出題され、完全初見の問題は毎年各科目1問出るか出ないかぐらいであったため、ダウンロード可能な過去問題を8~9割まで仕上げておけば合格ラインに余裕で届くと思います。

電気通信術(受話・送話)

電気通信術は、アルファベット100語のフォネティックコードでの聞き取り&読み上げになります。
フォネティックコードとは、26個のアルファベット及び数字を明確に判別するために考案されたものになります。無線通信だと必ずしも音声が明瞭に聞こえる状態とは限らないため、「B」と「D」のような聞き間違いが起こり易いアルファベットについても、フォネティックコードの「Bravo」「Delta」を使えば、より正確なやり取りを実現できます。(実際にパイロットと管制官の無線通信の中でも、機体番号はフォネティックコードで発音されています)

フォネティックコードを初めて聞いた、今まで無線通信をした経験が無い、というような方は、下記の「電気通信術練習」アプリ(iOS版のみ)がおすすめです。このアプリは電気通信術の練習のためのアプリとなっており、フォネティックコードを用いて、アルファベットをランダムで100語読み上げ&表示をしてくれます。(Androidで同様のアプリがあるかは不明)

私は、アプリの受話モード(ランダムで100語音声読み上げ)+答え合わせをしながらフォネティックコードを自身でも読み上げる、のセットを計20回行いました。日常で使っているものと異なる呼び方をするとは言え、基本は誰でも知ってるアルファベット&単語なので、慣れるのにそこまで時間は掛からないかなと思います。自信のない方は、1セット等でよいので毎日継続的に取り組むことをおすすめします。

また、アプリ内に送話モード(ランダムで100語表示)もあるので、送話に特化して勉強したい方はそちらをご活用ください。

受話については、大文字でも小文字でも構わないとのことなので、自分が書きやすい方で記入していただくのがベストだと思いますが、小文字の方が書くスピードが上がるため、特にこだわりがなければ小文字を選択された方が良い気がします。このあたりは、下記リンクにある模擬解答用紙を使って、文字の大きさやアルファベットの書き方等を、事前に確認しておく事を推奨します。
下記に採点基準を掲載しますが、誤字だとめちゃくちゃ減点されるようなので(合格ライン8割 / MAX100字)、聞き取れなかった箇所があれば切り替えて捨てる、ミスに気づいたら最後にサッと直すor即時訂正等、本番ミスしても焦らないようMyルールを決めておくのも一つだと思います。

送話については、読み上げるだけなので特に対策等はないのですが、最初に「始めます 本文」、最後に「終わり」と発言しないといけない点に気を付けてください。私はその情報を送話試験の直前に知ったため、「『終わり』って最後に言うの絶対に忘れないようにしなきゃ!!!」と半ばパニックになりながら読み上げを行う羽目になりました…。
また、読み上げるスピードにも基準(?)があるらしいのですが、電気通信術アプリ等の読み上げスピードを意識しておけば特に問題ないと思われます。(特に事前に調べたりはしていませんでしたが、アプリの読み上げスピードと同じぐらいになるよう意識した結果、問題なく合格しました)

電気通信術の採点基準 / 日本無線協会


英語(会話)

英語(会話)は、海上無線における英語での会話(通信内容)を聞き取り、問題用紙に書かれた選択肢を選ぶ、という問題形式になっています。TOEICのPart3に若干近いイメージです。(そこまで難しくない)

勉強については、結局、標準教科書をパラ見+当日の朝英会話CDを1周聞くぐらいしかできませんでしたが、正直標準教科書は購入する程ではなかったと思います。船舶特有の用語等を覚えるには役に立つのですが、英会話科目の対策だけでいうならば、CDに乗っている過去問の英文をひたすら和訳して丸暗記した方が速いです。

英会話において「大学受験をしていれば問題なく解けます」といった旨のコメントが複数の合格体験記の中で見受けられましたが、自身の体験からより分かり易い基準を示すと、「選択肢の英文を30秒以内に和訳して雰囲気を理解できるレベル」であれば合格ラインに乗る可能性は高いと考えています。

下記は実際に私が受験した回の設問になるのですが、本番は問題文(下記だと「Tokai Maru, this is Coast Guard Radio. ~ more detail.」)までが3回読み上げられ、問題用紙に書かれた選択肢の中から、最も適したものを選択します。(本番の問題用紙に「Tokai Maru, this is Coast Guard Radio. ~ more detail.」は書かれていないため、3回の内に問題文の意図を理解しなければばならない)

私は英語の中でもリスニングを最も苦手としているため、本番5問とも問題文をほとんど聞き取れなかったのですが、それでも「Tokai Maru, this is Coast Guard Radio(相手(問題文)が海上保安部側、自分は船側(東海丸))」「you have found surviviros(自分(東海丸)が生存者を見つけたのね)」「more detail.(詳細?うーん、なんか説明しろってことか)」だけ聞き取り、それっぽい選択肢を選ぶ…、を繰り返すだけで全問正解する事ができました。なお設問5の正答は「3. 生存者は全員膨張式救命いかだに乗っています。私たちは彼らを船に乗せるつもりです。」なのですが、本文に目を通した際に、「All survivors are in なんたら life なんたら.」→「全生存者がなんたら life なんたらの中?lifeってライフジャケット(救命胴着)のlifeだし、多分中にいるってことは救命ボート?的な感じなのかな?」、「We are なんたら them なんたら onto our ship」→「私たち(東海丸)が彼ら(生存者)を私たちの船にonto?よく分かんないけど多分ontoってことは船に乗せるっぽいから多分乗せるか運ぶかって話なんだろうな…」ぐらい理解できれば、正答を選択可能です。今見て頂いた通り、このレベルの英語力でも余裕でゴリ押せますが、当然合格率を高めるためには標準教科書や過去問CDを周回しておくに越したことはないです。(それにしても英語力が酷すぎる…)

ちなみに過去問の中に、非常に似た問題や選択肢が出題されていた回もあったので、英語に苦手意識のある人はCDで勉強しておく事を個人的に推奨します。

R6/6 一海特(英会話)設問5


試験当日

試験の座席については、一部科目免除者だけ座席が指定され、全科目受験者は、自身の受験番号が含まれたブロックの座席群の中であれば好きな座席を選べます。(といっても、大体皆さん長机の端と端に座るので結果的にめちゃくちゃ整列された状態になるのですが…)
普段受験しているIPAの試験だと、座席は一人一人固定かつ試験開始まで解答用紙への書き込み不可なので、それに比べると非常にゆるい雰囲気を感じます。

ちなみに受験会場(R6/6@日本無線協会試験センター)の受験者層ですが、受験者約40人中、女性5%(2名)、男子学生20%(約8名)、男性75%(約30名)でした。IPAの高度試験もそうですが、これぐらいの女性比率だとお手洗いの個室数>受験者になるため、休憩時間を浪費しなくてありがたいですね…!

試験の話に戻りますが、最初の法規/無線工学はちゃんと対策していれば開始5~10分ぐらいで終わります。一応30分で途中退室可能になりますが、それまで手持ち無沙汰だったので、問題用紙にアルファベットを書いて送話の復習をしていました。私は「Oscar」「Romeo」あたりがよく頭から抜けがちだったので、心の中で確認しておいたことで少し余裕を持って送話本番に臨むことができました。
ほぼ全員が30分時点で退出する(=廊下に出される)ため、60分待たずして次の受話に入ることが多いと聞いていましたが、自分の受験した回でも、50分経過ぐらいの時点で次の受話のためまた試験部屋に入室させられた記憶があります。

受話についてはあまり特筆することはありませんが、想定より読み上げられるスピードが速かったため、「迷ったら即時に諦めて次から聞き取りに集中する(他科目より合格基準が高いため、変に悩んで他の所まで記入ミスが起こると大ダメージを食らってしまう)」を心掛けていました。

英会話については、本文が全く聞き取れず「あ~~~終わった~~~」という状態でしたが、辛うじて聞き取れた英単語を基に、文脈的に一番それっぽいのを選択したため、自己採点では満点を取ることが出来ていました。いいのかこれで

英会話のリスニング終了後、その場で送話に関する説明を受け、試験部屋を退出する際に出口で番号の書かれた札を貰い廊下で待機させられました。その後、自分の番号が読み上げられたら会場前の待機場所に座り、声を掛けられたら空いているブースに座って試験を行う流れになります。送話試験は、ペーパー試験を受けた部屋とは違う部屋で実施され、中の雰囲気としては集団接種会場(4箇所のブースに分かれており、相互間の仕切りは無し)のようなイメージでした。

送話自体は落ち着いてできたのですが、隣のブースにいた男子学生の声がとても大きく、その声につられて自分がどこを読んでいるか分からなくなり一瞬詰まってしまった場面があったので、極力他の人よりも大きな声で読み上げを行うことを強く推奨します…。詰まった瞬間は死ぬほど焦りましたが、読み上げが終わった後、試験官の方に「うん、これなら大丈夫だね。お疲れ様でした!」と言っていただけたので、送話については多分合格点に達しただろう、という気持ちで帰路につくことが出来ました。

後日自己採点を行った所、法規・無線工学・英会話は合格ラインを越えていました。(合格ライン6割)
ちなみに無線工学で唯一落とした問題は消費電力の計算です。これでもセンター試験で物理選択してたはずなんだけどなあ…。

最後に

試験後、結果発表は3週間以内に通知されるとのことだったので、2週間経過したあたりから結果が気になってそわそわしていましたが、見事合格することができました!
受話/送話の結果詳細が気になっているため、もし得点開示を行った際はこちらのnoteも更新する予定です。

直近業務で一海特を活かせるシーンは無いのですが、これを機に様々な現場で扱われている無線技術について、もっと知識を深めていきたいと思います( '灬' و(و

ここまでお読み頂きありがとうございました!

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