消えた彼、10番の現在
10番の彼が消えて、今日で一ヶ月だ。
一ヶ月か。
あいつがいなくても頑張ろう、あいつの力を借りずとも自分たちの力だけで日々をなんとか気合いを入れて過ごそう。
そう思って我武者羅に生きてきた一ヶ月間だった。
先日出演したペガサスハイドさんとの動画のコメント欄、思いのほか10番についてのコメントを残してくれる人が多くて、
「会ったこともない、ただ人格として”いた”ことだけを伝えている彼のことを思ってくれる人がこんなにもいるのか。」
そう思って、正直驚いた。
皆さん、本当にありがとう、ありがとうございます
彼が姿を消したのは、
自身のジェンダーと身体の性別が伴っていないことによるストレス、
親・親族からもう20年あまり幾度となくかけられてきたプレッシャーや圧、
痴漢被害や自身が男性なのにも関わらず”女性”というふうにしか見てこないはおろか性加害的な言動や行動を重ねてくる人、
自分として生きる上で、どうしても切り離せない感情やその類まれなる優しさから生まれる苦しみ、
どうしても自分だけが犠牲になろうとすることで物事を解決しようとする自己犠牲心ゆえの苦しみ、
お前は障害者だ頭がおかしいんだと心無い言葉をかけてくる人からの攻撃、
本当に色々な理由があって、
苦しくなって、消えてしまったんだと思います。
彼は沢山無理をしてきて、それでも一生懸命に諦めず生きようとしていました。
でも、もういよいよ無理が祟ってしまった。
それが、一ヶ月前の出来事でした。
ごめんね。10番。
私何も出来なかった。
負担を少しでも貰おうと、「もっとほかの人格にも辛さを分散させてよ!あなたの力になりたい!」と、言っていたけれど聞かなかったあなたを、もう殴る勢いでもっともっと説得すればよかった。
別個体ではないから殴ることさえも叶わないんだもんな。殴りたくても、出来なかった。
動画内でも「消えた」「姿を消した」「部分だけが残った」、
このnoteでも「消えた」
と言っていますが、それはわかりやすいであろう表現をしているだけで、実は、彼はいるにはいます。
でも、もうほぼほぼ”いないもの”の状態です。
だから「消えた」と言っていました。
彼の現在は、失声症、摂食障害(拒食)を患い、精神的にもとても健康とは言えない状態です。
イメージしてもらうとして、人格たちが集まっているゾーンとは結構離れたところに彼はいて、たまに様子を伺うと、廃人のような姿をしながら、こちらに微笑みかけてくれたりはします。
残された私たちを、彼は見守ってくれてはいます。
ですが、表に出てくることはとても難しいです。
相当無理をさせなきゃいけないし、私としてはそれはさせたくありません。
できるなら、彼が素直に「生きたい!」と思えるまで、彼を眠らせてあげたい。
彼のタイミングを待ちたい。
彼が生きやすくなる世界になるまで、私たちが頑張って自分たちの世界の安寧を守りながら生命を維持させたい。
彼も使うこの身体を、ぞんざいに扱うことなく、綺麗な状態で、健康的に保ちたい。
そう思って生きています。
大丈夫だよ、何ヶ月でも何年でも待ってるからね、みんな待ってるから!みんなあなたのことが大好き、だから大丈夫。
いつかきっと、戻ってきて。
読んでくれてありがとう。
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