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nayuta「ArtemIs」感想 「始まり」から「始まる」
今回はnayuta 16th Album 「ArtemIs」の感想記事となるわけなのですが、例によって例のごとく直接アルバムとは関係がない情報が多分に含まれるので先に謝っておきます、ごめんなさい!
はじめに
今回のアルバムがそもそもRD-Sounds×nayutaという何よりも私が好きなタッグによるオンリーアルバムという事で、情報が開示された瞬間から半狂乱となり一人で大興奮していた次第です。
このアルバムを語るにあたって、自分とRD-Sounds×nayutaの出会いとその2人に対する想いは切り離せないところなので、これを機にまずその部分を語っていこうかと思います。
ただの自分語りとなりますので、目次に見出しはつけてあるので曲の感想のみ見たい人は飛んでください。
RD-Sounds×nayutaとの出会い
私と関わってくださる人の私の印象が大体闇なゆた大好き人間で固定されてきてるところではありますが、まずなんでそんな事になってるかという話です。
(微妙に似ていることは前回の記事にて語っているのですが、それはあくまでめらみぽっぷ×nayutaの事でありnayutaさん単独の話は別)
私がnayutaさんの曲を初めて聞いたタイミングは、2015年とんかつぺんぎんとして出している曲「Gnostic Children」を偶然聴いたところから始まったのですが、その時はまだnayutaというボーカル個人名を意識していなく、曲が収録されているアルバムも既に売り切れという事で縁がなかったな、と思いそのまましばらく触れることもなく過ごしていました。(1stアルバムすらまだ発売してない時期ですしね…)
そこから1年ほどして、自分の中で同人音楽のボーカル作品をめらみぽっぷさんを通して興味を持つようになり、それがRDさんのサークル凋叶棕の作品だったのでCDを買ってみようかと思い立ち、最初に手に取った作品が「掲」でした。
それこそがnayutaさんの歌が入った私が初めて購入したCDであり、nayutaさんにドハマりするきっかけとなった「始まり」の作品です。
目当てがめらみぽっぷさんだったのでnayutaさんに再会したことは完全に偶然だったのですが、その歌声は初めて聞いた「Gnostic Children」の時の印象とは真逆のもので、儚く触れてしまえば今にも消えてしまうのではないかと思えるような繊細な歌声の方と思っていたのが、可愛さの中に秘めた恐ろしいまでの狂気を存分に発揮していてその表現力の広さに一瞬にして虜になりました。
禁符、蝕符ともに今まで自分が聞いてきた音楽のジャンルではなかったのですが、その歌声の2面性にハマりこの人の歌をもっと聞いてみたい!とnayutaとしてのオリジナル曲もここで初めて追う事に決めました。
つまりは私にとってnayutaさんを追う事に決めたきっかけそのものがRDさんであり、その2人の曲に対する想いは2016年から2024年と8年たっても褪せることなく今でも毎日のように2人の曲を聴き続けています。
8年越しの邂逅
長年の間裏で一人でひっそりとCDを購入して曲を聴くというスタイルでずっと過ごしてきたのですが、去年とあるきっかけで本人の活動そのものにも興味が出てきたので現地のイベントにも参戦してみようかと重い腰を上げることにします。(詳しい経緯はらぷり東京公演の記事に書いてあるので割愛)
本当は去年の秋M3の時点で行くつもりではあったのですが、どうしても外せない用事が被ってしまったのでやむを得ず断念…。しかしそれが思いがけない結果を生むことになろうとはその時点の私が知る由もありませんでした。
話は変わりここ数か月はなゆふぁんずとしてその仲間たちとも色々と語り合うことも多くなってきたのですが、その中で特に私がしていたことと言えばRD-Sounds×nayutaの布教活動です。
なゆふぁんず歴がまだ1年もなく新人としてnayutaさんの事をもっと知りたいとこちらが勉強するつもりで最初接していたのですが、歴戦の先輩達と話す中でも意外とゲスト作品を網羅している人は少なく、特に凋叶棕の作品は中々に癖が強く7uta.comとして出しているオリジナル曲の方向性としては似ても似つかない作品ばかりなので、触れている人も意外と多くない模様。
いつも私が毎日のように聴いている大好きな曲が埋もれてしまっているというのが悔しくてなんとか良さを知って貰いたい!と2か月ほどかけじわりじわりと広めてきました。
そして来たるM3-2024春。
今回の新譜はいったいどんな感じなのだろうか、前回はマルチジャンルアルバムだったので今回はまたコンセプトアルバムになるのかな?だったら嬉しいなぁ等と新譜に対する様々な妄想を広げていました。
そこに公開される先行デモ。
メン限なのでそれを聴いた感想そのものを具体的に言う事はできませんが、その時点で自分の中の直感がなにかを告げていました…。
そこから満を持して発表される、
「ArtemIs」
「RD-Sounds×nayutaが贈る、オリジナルファンタジーアルバム」
!?!!?!!!!!?!?!?!?!?!!?!!?!!?
ここまで散々上の方で語ってきた事を踏まえたうえでこんなものをお出しされたらどうなってしまうかなんて火を見るより明らかですね。
一番大好きなボーカル「nayuta」
一番大好きなコンポーザー「RD-Sounds」
追う事に決めたきっかけとなり今でも大好きなままのタッグの初めてとなるオンリーアルバムが、初めてnayutaさんから直接買いに行こうとしているこのタイミングで発表されるなんてどんな偶然なのかしばらくこれは夢なのではないか?と疑っていました。
私にとっては8年越しですが、二人のタッグとしては凋叶棕の「求」からとなり9年にもなるわけで長い時を経てやっと全曲二人だけのアルバムが発売されるわけです。
いや本当に長かった…。nayutaさんのボーカル作品はRDさん作曲の曲が頭一つ抜けて多いですし(その数50曲以上)、7uta.comとしては一人の作家さんをメインに据えてコンセプトアルバムをつくることも多かったのでいつになったらこの二人のアルバムが来るんだ!とずっと考えていました。
そしてこのアルバムのキャッチコピー
「あなたが私にくれた、"あい" のことば―」
やってくれたなぁ!
RDさんといえば「あい」の言葉遊び大好きなんですよ。
パラショの記事でAIとCodeQの果てを語る際にそこらへん長々と語りましたが、むしろ今言わなくてどうするんだという感があるのであえてまた…。
これは兼ねてから申し上げてますが「AI」と「愛」と「I」と「哀」等を同じ響きで共有できる日本語ベース文化の親AI性の高さはマジで強いと思う次第です
— RD@凋叶棕 (@rdwithleaf) June 5, 2023
なゆふぁんずであればnayutaさんがカバーしているAIとCodeQの果てについては今更説明することもないと思うのでそこは省きますが、問題はもう一つ。
最近はRD-Sounds×nayutaというより、凋叶棕そのものを布教する機会があったのですが、その中でnayutaさんの曲ではないもののそのものずばりな曲を数週間前布教していました。
「―私という、愛をこめて。」
別に狙ったわけでもなんでもなく全く別な理由で布教していただけなのですが、まさかこんな結果になろうとは…。
それはともかく単純に名曲なのでこの「あい」の歌に興味があればぜひ聞いて頂きたいですね。
そしてシナリオライターは「颯と楓」でおなじみ、さんしおさん!
別途STORY BOOKがついてくるなどその物語の力の入れようが手に取る前から伝わってきて、早く作品を堪能したい!と当日まで興奮で眠れぬ夜を過ごすこととなります。(流石に嘘ですが、そのぐらい興奮しているという事でひとつ…)
とにかく自分にとっての「始まり」の二人から、M3初参加として新たな一歩が「始まる」のは感慨深いです。
長くなりましたが、ここからやっと曲の感想に移ります。(感想記事なのに感想に行く前に3000文字)
「ArtemIs」感想 ①(まず曲だけを聴いて)
最近とある作品で曲だけを聴いた感想と、同梱されている小説を読破したうえで聴いた時とで全く違う感想になることを経験したので、あえてまずはSTORY BOOKも読まずに曲だけ聞いた感想を書いていきます。
特設サイトの全文や、特典のジャケットカードイラストを見れば全然違う感想になった可能性があるんですが、ネタバレ防止のためこの時点ではあえてさっとしか目を通していません。
01. nameless moon
特にひねりがあるわけでないのであれば、意味はそのまま「名も無き月」でしょう。
インスト曲ですが、イントロやタイトルを考慮してこの曲は「命の始まり」を表現しているのかな?と感じました。
02. determinism〔機械仕掛けのココロ〕
発売前に唯一先行してフルMVが上がったこの曲。
全編を通して畳みかける容赦ないバリバリのRD-Sonds節がとにかく堪らない1曲。
他の曲は一見ぱっとRDさんであるとは言われなければ気づかなかったかもしれませんが、この曲に限ってはあまりにもわかりやすすぎる…。
歌詞を聴かせる事を重視したBメロの作りと、Cメロ以降の感情を爆発させる流れはやっぱり大好きなんですよ。
今回はテーマがテーマであるので要所要所が機械的に感じる気もします。
タイトルの意味は歌詞にもある通り、「決定論」。
「機械仕掛けのココロ」とあるようにアルバムのテーマからしてAI、アンドロイドの少女の話である…。
と最初は考えようとしたのですが、曲の後半に進むにつれアルバムのタイトルが「アルテミス」という神話の女神である事を考慮して、もしかしてこの世界は箱庭の中のお話で、「AI」というのは、この世界からみた上位存在「神≒創造主」によって作られた役割を遂行するためのこの世界の住人の事か?と考えました。
箱庭=ゲーム内世界と考えればまさに人工的に作られた存在でしかないわけです。
少なくともこのAIの少女は血を流し感情もあるようです。一般的な作品としてアンドロイドが表現される場合どちらかというとロボット寄りとして人と差別化されてる印象があります。もちろん必ずしもそうではないので、この世界のアンドロイドは人とほぼ同じ可能性はあります。
でもこの少女は自分自身を「ヒト」であると信じていたいようです。
つまりはこの少女は自分を客観的に見て人であると認識できる世界にいるのではないか?
作り物の景色、一方的な関係性。これらのワードがいかにも箱庭感を加速させます。
「神」が箱庭の外の「ただの人間」であるとすれば、
「どこがあなたたちと違うの?」と思うのも当然ですし、覗き見ているというのも少女の世界が箱庭の中の世界であればその関係性も納得です。
冷たい目をして何の感情も見せないというのも、箱庭の中から見た上位存在などそのように見えても不思議ではありません。ゲームの中のキャラがいくらダメージ受けてもそれ対していちいち反応するプレイヤーなんてほとんどいないでしょうし…。
問題は少女がAIである事を知らせたのは誰なのか?どういった経緯なのか?
それだけは歌詞を聴きこんでもよくわからなかったのでこの1曲だけで考察できる範囲としてはこのぐらいでしょうか…。
「決定論」とは自分自身を「ヒト」であると定義づけるものでしょうか?
※以後ここで出てきた少女は「少女」と呼んでいきます。
03. ne / ne〔ヒトらしくあるために〕
2曲目とうってかわって、聴いてるこちらを優しく包み込むような柔らかな曲。
「ヒト」である事に疑問を感じてしまっている少女に手を差し伸べている誰かの視点であることは間違いないと思います。
少女に名前を付ける流れがありますが、ここで少女が無名のNPCのような存在だったのかな?と感じました。1曲目の「名も無き月」というのがここで繋がってきます。
少女に手を差し伸べたこの人もまた、過去に同じような事を考えていた事があるのではないか?
それでも世界はあなたが考えているほど悲しいものではないと何かきっかけがあり変わっていき、それを私と一緒に探しに行きましょうと部屋から連れ出す曲なのではないでしょうか。
しかしタイトルの英語部分がいくら考えても全然想像がつきませんでした…。
後々の展開に期待です。
※ここで出てきた女性はジャケットを見る限り白衣であるのでとりあえず仮に「博士」とでも呼んでおきます。(少女もだけど)
04. upon a star〔ネガイゴト〕
あんなに不安そうだったのはどこへやら、メロディや歌詞から少女がワクワクしてるのが伝わってくる曲です。
歌詞にもある通りWish Upon a Star=星に願いを、という事で〔ネガイゴト〕ですね。
この曲は2人どちらかの視点というよりは、「2人の曲」でしょうか。
内容は完全に天体観測ですね。
おそらく少女にとっては初めての経験で、新鮮で。
今まで天高くから得体のしれないものから覗かれている感覚があったのが、その頭上にあったものはとても美しくい素晴らしいものであったとに認識できたという感じでしょうか。
〔ネガイゴト〕の内容はそのものずばり「ずっと傍にいられますように」でそれはおそらく二人両方の気持ちだと思います。
05. beside you〔夢の続きへ〕
まだ全てを理解していたわけではないですが、今回のアルバムで一番好きな曲はこの曲です!
不安と決意、そこからの2人の絆を感じさせる名曲です…。
タイトルは「あなたの傍に」、まさに4曲目で願っていたことです。
冒頭はおそらく少女が博士になにかを聞きに行こうとしていて、でもそれはとても勇気が必要なことで2人の関係性が壊れてしまうなにかがあるんじゃないかという不安が伝わってきます。
サビの英語?で度々繰り返してるところは何を言ってるのかわからなかったのですが、それ以外の部分でどれだけ2人にとってそれぞれが大切で、特別であるのかを痛いほど感じこんなの泣くなという方が無理やろ…。と年甲斐もなく号泣する異常中年男性。
少女が自分自身の「決定論」を見つけ出して、2人で生きて行く事を決意する曲と解釈しています。
少女の物語としてはいったんここで完結して、その後はエピローグでしょうか。
06. until my last breath〔生きる証を〕
これはまた博士目線の曲ですね。ゆったりとした曲調が劇場版のエンディングを感じさせます。
少女の成長を見届けようと博士が、until my last breath「この命尽きるまで」ともにあろうとする心境がよくわかります。
追い越していくあなたの姿というのも、勝手に呼んでいるだけですが自分の「博士」という立場を越え立派な「ヒト」として過ごしてきたという事かなと。それを誰よりも立派で誇らしいと思ってるのが、前の曲から伝わってくる彼女の優しさを表しています。
最後に何度も何度もuntil my last breath…と繰り返すところは涙腺に響きます…。
しかし終盤の「ずっと遥か遠く向かうあなた」というのがこれってもしかして…。
というか「追い越していくあなたの姿」つまりはそっちか…?
07. ArtemIs
優し気で儚いインストが物語の終わりを告げるようにこれにて終幕となります。
自分の一番好きな5曲目のメロディが改めて使われていてまた号泣しそうになる始末。というか一番好きな部分のメロディだったので、そこに特別な感情を抱いたことは間違いではなかったのだと少し嬉しくなりました。
相変わらず多用せずにここぞというところで差し込んでくるRDさんのストリングスが染みる…。
08. ???
モールス信号!?そんなもの流石に今までの日常で使用したことなかったのでピンときたとはいえ全く分からない…。
これは全てを理解したうえで解読しなければダメな気がしたので後に回します。
仮総評
箱庭の中の世界という前提で聴き進めてきたわけですが、後半そこに繋げられる情報が全く出てこなかったのでこれは完全にミスリードか?
少女と博士の絆の物語としてだけ見ても雰囲気で感動はできるのですが、伏線の回収が全然できていないのでこれは圧倒的に理解力不足…。
というか「月」を少女の事として書いている途中で気づいたのですが、アルテミスを月の女神であるとして物語を構築してしまったので、それだと少女自身が神と言ってることになり自分の主張と矛盾しますし…。
少女にとって博士が大切な存在というのはわかりやすいのですが、博士から見た少女の存在というものがどれだけ大切であったのか結果はまだしもその過程が読めてません。
というか薄々6曲目の歌詞で感じているんですが、変に捻る必要はない素直な物語だったのではないか?
改めてSTORY BOOKを読んだうえでもう一度この物語は何を伝えたかったのか考えてみようと思います。
「ArtemIs」感想② (STORY BOOKと歌詞を咀嚼した後)
01. nameless moon
STORY BOOKを開いてまっさきに目に飛び込んでくるのはチューブとコードが大量に繋がった少女の姿。
そしてその少女の目覚めに合わせ、およそ人の名前とは思えない無機質な呼び名を投げかけてくる研究員。
そうか、この少女はアンドロンドだったのか。
下手に斜め上の考察をしてしまいましたが、その部分は素直に受け取ってよかったようです。
「名も無き月」、彼女が名前も持たないただの実験体の一つでしかない事を突き付ける無慈悲な事実。
02. determinism〔機械仕掛けのココロ〕
読む前に思っていた箱庭の物語という想像はひっくり返り、アンドロンドの少女とその研究員の歌のようです。
アンドロイドではあるものの、最新の技術を盛り込み記憶も肉体的な機能も一見すれば「ヒト」と同じように見えるところまで来ているようでこの世界の技術の凄さがうかがえますね。
しかし「ヒト」と同じと感じているのは当事者であるアンドロイドの彼女だけであり、むしろ周りの研究員はあくまで無感情にただ「機械」と接しているだけ。
自分自身を「ヒト」であると信じたい、でもそれは「決定論」的に許されない。
「アンドロイド」は「ヒト」ではないのだから。
いったい彼らと自分の差は何なのか?
「ヒト」を「ヒト」たらしめているものは何なのか?
誰か、私を「ヒト」として扱って…。
心からの少女の叫びが苦しい、胸が詰まるとても悲しい曲です…。
03. ne / ne〔ヒトらしくあるために〕
謎だった曲のタイトルの意味は少女の名前「ねね」。
そしてこの曲は少女に名前とその生きる意味を与えた「ルナ」の曲。
事故で弟を失って「機械」のように過ごしてきた彼女にとって、「機械」のような扱いをうける少女の姿は他人事ではなかった。
始めはただの命令での接触であったものの、ねねと実際に触れてみて「機械」ではなくこの目の前の少女は「ヒト」なんだと。私達と何も変わらないんだと。
そしてねねに〔ヒトらしくあるために〕何をしてあげられるのだろうか?
と思うと同時に自分自身も〔ヒトらしくあるために〕何ができるのだろうか?
ここから共依存的な二人の物語が始まります。
04. upon a star〔ネガイゴト〕
こんな何気ない日常を家族のように過ごすという事が、二人によって何よりも「ヒトらしく」ある事なのだと感じました。
「私の事をちゃんとみて」と過去願っていたねねは、もう既にルナという存在がいてわざわざそんなことを改めて願う必要もないと。
そしてだからこそ
「あなたの願いは いつかいつか来る筈の明日に叶いますようにと___」
先にその命が尽きることを知っているからこそ、私がいなくなった後もあなたを見ていてくれる存在が現れますようにと改めてルナが願い直す。
そして「ずっと明日だって傍にいられますように」というのはルナの我儘であり心からの願いでしょうね。
05. beside you〔夢の続きへ〕
元々一番好きだったのにその真意を知って改めてやっぱりこの曲が一番好きだと断言します。
「ヒト」である事に拘っていたねねの感情のそれは、「ねね」という個人を、「わたし」である事を認めて欲しかったのだと。
周りの研究員の陰口により、ルナの本心がどうであるのかが不安で不安でしょうがない。
しかしその想い出は何よりも宝物で、大切だからこそ勇気を出して向き合わなければならないのだとその決意を感じさせます。
そしてルナの本心を知り、改めて2人にとってお互いが大切で、
特別で、生涯傍に寄り添って生きていようと思える存在なのだと自覚するわけですね。
「ヒト」として扱われたかった「機械」の少女、ねね
「ヒト」としての心を無くし「機械」のようであった、ルナ
そこに映る2人の姿は誰よりも「ヒト」らしくあったでしょう。
06. until my last breath〔生きる証を〕
長い長いときが経ち、ルナは完全に老婆になってしまっていた。
そしてそんな長い時を経ても全く姿が変わらないねね。
それが何を意味しているのかなんて考えるまでもないのですが、ねねにとっては「ヒト」として生きる事の意味は「わたし」として生きる事であり、そんな事実は些細なことです。
歌はルナ視点であり、until my last breath。
せめてこの命が尽きる最期のその時まで、あなたと一緒にいたい。
私を追い越していく「あなた」の姿というのは、博士という立場もそうなのですが、その後のルナがいなくなった後にもずっと生きていくねねのその年齢のダブルミーニングかなと。
もう少しだけ…最後のその言葉が切ないですね…。
ルナがいなくなった後もねねには強く生きていて欲しい。
いや、〔生きる証を〕得たねねにそんな心配はいらないですね。
07. ArtemIs
結局「アルテミス」とは何だったのか。
それはまずお互いがお互いを「月」として知り合い(※)、その付き合いを経てその光にあてられ互いに成長していったのでさながら2人にとってそれぞれが「月の女神」であったのではないかと。
※初対面の時のルナからのねねの印象は「月」であり、ルナはもう名前からしてそのままの意味なので…。
08. ???
※ネタバレになるので余白をだいぶあけておきますので良ければスクロールを。
「--・-- ・- ・--- ・-・・・ --・-・ -・--- ・-・-- ・・・- --- ・-・-- --・-- --・ ・-・・ ・・ ・・-・・ ・・- 」
ねねからルナに向けて…というより2人からお互いに向けてですかね。
こちらこそありがとう…。
総評
「AI」である少女に「愛」を与え「I」という存在の意義を知る「あい」の物語でした。
曲だけ聞いているときでももちろん感動はできたのですが、やはりその意味の全てを知ったうえで聴くと全然違いますね…。
これは気のせいかもしれませんが、ねねの曲は電子音が強めで機械的であり、ルナの曲はピアノやストリングスがメインで柔らかく人間的だったりするのかな?と思いました。
といってもどちらの曲も断言できるほど単調ではないのでバイアスがかかってるだけかもしれません…。
ただ自分の解釈が極端すぎるだけかもしれませんが、曲だけを聴いた印象とSTORY BOOKを読んだうえで聴く印象があまりにも違うのでそういった体験ができるという意味でもやはり
曲だけ聞く→STORY BOOKを読む→歌詞を読み込んで改めて聴く
という流れはお勧めしたいですね。
(こんなネタバレ全開記事読む人で読んでない人なんてもういないだろというのは置いといて)
終わりに
現物を手に取る前から期待はしてましたよ、していましたが…。
それを遥かに上回るその完成度にnayutaさん、RDさん、さんしおさんの凄さを改めて再認識。
間違いなく今までに買ったCDの中で一番のお気に入りになりました。
nayutaさんから初めて直接買ったCDという補正も多少あるところはありますが、おそらく補正がなくても純粋に自分にとってのストライクゾーンに直撃しているのでそうじゃなかったとしても結局結果は変わらないと思います。
この作品に出会わせてくれて本当にありがとうございました。
今後ともにRD-Sounds×nayutaの描く音楽と、さんしおさんの書くストーリーに期待しています!