神戸、とうとう言うとう
方言note、サクッと軽いやつ提出済みですが、これが本番です。
関西以外のひとからしたら、全部一緒に聞こえるんかしらんけど『関西弁』言うてもそれぞれ個性が全然違って、関西圏のひとならだいたいしゃべり方聞いたらどのへんか分かるもんなんです。
そいでね、神戸は関西の中では比較的おとなしめというか、お上品に思われることが多い。
神戸って「~とう」って言うよな。たぶん神戸以外の関西人から見た一番強い神戸のイメージ、これやろ。
けどね、イメージの神戸とホンマの神戸はだいぶ違うねんで。みんな知らんやろけど。
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ひとことで『神戸』言うてもいろいろありますねん。
まず兵庫県が広すぎて、ちょっと離れたら全然言葉違うしね。
ちょっと前やけど、こういうのがネットで流行ってましてん。ヒョーゴスラビア連邦共和国。これがまあ、ようできたある。(良くできてる)
これで言うところのセッツィア(摂津)とハリマニア(播磨)は、お隣さんやけど全然違う。播州弁は関西でもトップクラスの荒いことばやって言われてますねん。
勝手に引用していいんかしら…とちょっと気が引けるけど、傑作やからぜひこのnote読んでみてほしい。
播州弁、ここまでひどい?って思うけど、神戸でも西に行けば行くほどこれに近くなる。
はい、『ワレ』と『ダボ』ね。
これが出るかどうかで大体住んでる区が分かる。中央区から東にお住まいの方は使いませんよ、たぶん。
せやから、神戸人がこのnote読んだら、ああ…この子あれやな、西の子ぉやなって一発で分かる。
阪急沿線の奥様方にはこういうしゃべり方してたら、眉ひそめられますねん。
そうそう、わたしの好きな火垂るの墓の節子のおばさん、まさにあんな感じね。
「清太さんな、あんたも大きいねやから助け合いいうこと考えてもらわんと…」とかなんとか言うてね。あーこわ。
神戸でも山手の方は京都弁に近いとこありますねやわ。「〜してはりますの?」と全く同じニュアンスで「〜しとってのん?」って言うたりする。
「〜とう」を敬語みたいに使うんです。
実は神戸には住んでるひとやないと見えへん線がくっきりありましてね、海側と山側、東側と西側にそれぞれ分かれてます。
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ええ、それでわたしの話ね。
高校生くらいまではダボ!ってめっさ使ってました。あ、めっさはめっちゃの西なまり。
『めっちゃ』のバリエーションだけでも、めっさ、もっさ、むっさ、ばっさ、ばり、がり、がっさ、ごっさ…まだあったかな、とにかくむっさある。
若い頃って仲間内だけで通じるようなことば作ってもたりするやん?
そういうノリでパターンがどんどん増える。そやからもう忘れてもたわ!っていうよな流行りことばがいっぱいありました。
そいでね、育った地域もまあそこそこカオスなとこやったもんで、商店街歩いてるだけで酔っ払いのオッサンに絡まれたりとか、普通にするんです。
その名残か、ちょっと腹立ったらもう秒で、ダボ!言うてまう。
いや、これね、ムカつくオッサンにキレる時にも言うけど、仲いい友達にもツッコミ感覚で、ワレダボか!とか冗談ぽく使ったりするんですもん。
ほんでもね、20歳すぎてこれはさすがにあかん!思いまして、必死で矯正したんですよ。接客業やったしね、意識して標準語に近い話し方に直して。
その後関東に引っ越しをしまして、完全に標準語にシフトしました。
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こどもが生まれてからは特に、今まで以上に言葉遣いには気をつけて、絶対にしばく!とかワレ!とか言うたらあかん、そう思って生きてきました。
話しかける時には、いつも丁寧な言葉づかいで、優しい口調で…
…
でもね、やっぱりひとって無理したらどっかでしわ寄せが来るんです。
あんなに丁寧な言葉遣いで育てたはずの娘は、どういうこっちゃ、物心ついた頃には荒ぶる魂全開!でガチギレする子になってましてん。
なんで?
こんなに我慢して、汚い言葉は使わんようにめっちゃ気ぃ遣ってんのに!!
ある日、娘にひどいやつ当たりをされて、我慢の限界を超えて声がガラッガラになるまで怒鳴り散らしたわたしは、ようやく気づきます。
ああ、わたしアホやな。
あの頃と中身はいっこも変わらんのに、ミバ(見栄え)だけ取り繕ったって無駄なんや。
娘だろうがなんだろうが、黙って呑み込んどらんと、なめた態度のヤツにはキレたったらええねん。大人げないかしらんけど、腹立つもんは腹立つんじゃ。しゃあないやろ、オカンかて人間やもん。
こうして、そもそもの自分を取り戻していったわたしは、もう神戸に帰りたいという気持ちを抑えられなくなり、家族の都合なんて知らんわ!と完全に我を通し、娘とふたりで神戸に帰ってくることにしました。
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関東にいる時は、おっとりしていると思われていたわたし。
どこがやねん。笑かすわ。こっちの友達に言うたら絶対ツッコまれまくり。
向こうでは脳内で神戸弁を標準語に変換しながらしゃべるから、どうしてもゆっくりになってまうねんな。
本来のわたしは、仲いい友達でもちょっとおっとりした子なら会話に入ってくる隙がないって言われるくらいのマシンガントークでツッコミ担当。
神戸弁でほんまにテンポの合う友達としゃべってる時は最高やな!って快感を覚えるくらい、夢中で会話のフェンシングを楽しんでます。
そう、キャッチボールなんてぬるいもんとちゃう。あれはフェンシングやな。
やるか、やられるか。うわ!あいつに一本取られたわ!っていうのがまた快感やったりもするんです。え?もう変態の域やん。なんの話?
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あ、2000字超えてもうたよ。あかん!早よ〆な。
タイトルと全然ちゃうやん。そんなに「とうとう」言うてへんやん。
神戸人、意外とそんな「~とう」って使わん気がすんで。
「なにしとったん?」
「これ知っとう?」
「ハンカチ持っとう?」
あ、やっぱ言うとう。
神戸人、東西南北わからんで。
道聞かれたら、山側か海側か、大阪寄りか明石寄りかで説明するからな。
「え?大丸?ここずぅーっと下っていって、信号を一本神戸寄りの道へ渡って、ちょっとおりたとこにあるわ。」
坂を下るか上がるか、これが南北ね。
ほんで神戸とか三宮とか、近い駅の場所で東西表すから。
わかりにくくてごめんやで。
神戸人に道聞くときは気ぃつけて。
せやけどほんま、めっさええとこやから、また遊びに来てなー。
待っとうでー。ほなな。