まるごと西瓜のフルーツポンチ
フルーツポンチという響きには、昭和の香りがする。
いまどきのこどもたちは、その名前にあまりなじみがなさそうだ。
しかし、我が家での夏のスペシャルイベントといえば、この西瓜まるごとをダイナミックに使った、懐かしのフルーツポンチパーティーなのだ。
甥っ子や姪っ子たちを呼んで、みんなでまずは種をよけながらせっせと西瓜をくりぬく。フルーツをカットし、白玉をこねてゆで、それらを全部バランスよく器に入れ、サイダーか炭酸水を加えて、味を整えてからようやく完成する。作るときも食べるときも大盛り上がり間違いなし!な、こどもの喜ぶ鉄板メニューだ。
このパーティーはひと夏に一度、必ず開催される。
まず、西瓜のサイズを間違えると大変なことになる。本来は少し小ぶりの手頃なサイズが望ましい。今回はいただきものの特大サイズだったため、はじめのくりぬく作業からしてものすごい労力を要した。ボウルひとつでは収まりきらず、せっせとみんなで食べながらくりぬいていくが、それでも西瓜の器に入りきらない実が山のように出たので、そのまんま冷凍庫にぶち込んでシャーベットにしておいた。
西瓜の処理に時間がかかりすぎて白玉まではたどり着けず、粉がないという言い訳のもとに今回は工程削減させていただいた。缶詰めのフルーツやカットパインなどを適度な大きさに切りながら、皮の器にもりもり入れていく。
仕上げに入れる炭酸としてこどもたちには一番人気の三ツ矢サイダーをうっかり買い忘れていたため、西瓜の果汁と缶詰めのシロップで甘味を加えながら、家にあった普通の炭酸水を注ぎ入れる。あちこちから手が伸びてきて、味見でどんどん減る液体を注ぎ足しながら、最後にひとつしかない争奪戦必至のさくらんぼを飾ったら、ようやくできあがり。
それぞれの器におたまで好きなだけよそったら、パーティーのはじまり。
さあ、今年もみんなでワイワイガヤガヤめしあがれ。
やれパインがいいだの、さくらんぼじゃんけんはどうするだの、にぎやかなこどもたちを見ながら、私はひとり空に向かって、いただきますとつぶやいた。
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