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「華優希」というタカラジェンヌⅣ〜私が愛した、宝塚のつむじ風〜
こんばんは。みみまみです。
スカステ無料放送『ポーの一族』の放送日前日に
記事をアップします!と、予告しましたが、
日付を見事に間違えていました。
すいません(汗)
本日、23時半より
宝塚大劇場版『ポーの一族』
放送です!(`・ω・´)ゞ
今回の記事は、『ポーの一族』に
ピックアップして書き上げました。
正直、この作品、めちゃくちゃ名作です(断言)
登場人物全員について詳細に述べて、
宝塚版と東宝版の違いを考察して、
メイク・衣装・音楽・美術・照明の美しさまで
全て書き上げたかった・・・。
挑戦したのですが、量がえげつないことに・・。
文章の主点もぶれてしまうため、
今回は諦めました。
いつか書きたいな( ˘ω˘ )
注
この記事は私の主観が入っております。
読む上で、その点はご注意ください
第四章
ガラス細工の儚き少女
この『ポーの一族』という作品は、
宝塚の誇る大演出家・小池先生(通称・イケコ)
肝いりの作品です。
この少女漫画を舞台化するために、
イケコは宝塚の門を叩いたと言っても
過言ではない。
それくらい、イケコの愛と夢と、
さらに気合が入った作品。
稽古場では、上演できるのが嬉しすぎて
イケコ自ら、幕引きの役を買って出たとか・・・かわいいな、イケコ( ^ω^)
(挨拶は長いけど。)
(お稽古場、気合入りすぎて、
とても荒れたらしいけど。)
『ポーの一族』は、
そんなイケコの気合が見事に昇華した
素晴らしい作品となりました。
それこそ、宝塚の歴史に残るほどの名作として。
作品のクオリティの高さから、
外部でも上演されました。
・・・よくやった、イケコ( ^ω^)
明日海りおさんが、
永遠を生きるバンパネラの少年・エドガーを、
柚香光さんが、
孤独で潔癖な少年・アランを演じました。
この2人、本当にビジュアルモンスター・・・。リアルに発光しています。
テレビ画面で見ても、
油断すると目がつぶれそうになります。
美しさでファンに衝撃を与えた、
明日海・柚香の並びですが、
役作りと芝居も、本当に素晴らしかった。
明日海エドガーは、
永遠の時を生きるバンパネラの孤独と、
人ならぬモノのオーラを。
柚香アランは、
少年の潔癖性と、
氷の様に冷たく追い詰められた孤独を。
舞台に立っているだけで
それらを感じることができる役作りでした。
そして、エドガーの妹であり、
永遠の時を生きる、弱弱しいバンパネラの少女。
2人の心のよりどころが、
華優希さん演じる、"メリーベル"でした。
金髪・青い目という人形の様な美少女を、
メイクと鬘を駆使して、
驚くような再現度で作り上げた華さん。
華さんの"メリーベル"を見た人たちは、
一様に目を疑いました。
実際、同じ舞台に立つ組子たちも、
かなりの衝撃だったようです。
その後のナウオン(舞台紹介番組)でも、
出演者皆でザワザワしていました。
舞台上で華さんと、一番近くにいる明日海さんも
「毎日、驚く。毎日、可愛くて、驚く。」
と、話していました。
しかし、
なぜ、華さんが、"メリーベル"に選ばれたのか?
公式の発表はないため、正直分かりません。
ただ、私が思うに、2つの理由があります。
1つ目の理由は、
当時の花組の娘役メンバーを見ると、
永遠の少女"メリーベル"を演じられる娘役は
数少なかったということ。
(技術的な問題ではなく、
大人っぽい顔立ちの人が多かった。)
そして、2つ目は、
この"メリーベル"の存在が、
純粋に、役として難しかったということ。
"メリーベル"は役作りもそうですが、
そもそも舞台上の存在として、
「明日海りお・柚香光の間にいて、邪魔しない。
けれども、存在感では押し負けずに、
透明感も出さないといけない。」
「この2人が縋り付くほどの、
聖女性と母性を表現しないといけない」
という、無理難題がありました。
先ほど言いましたが、
この明日海りお・柚香光の並びは、
本当に目が潰れるほどの、美の並びです。
この2人の間で、押し負けず、
でも邪魔せず、その上透明感と存在感を・・・?
いや、マジで無理難題((((;゚Д゚)))))))
しかし、これに、華さんは見事に応えました。
2章の新人公演の話で、
華さんの『ヒロイン』という特性については、
お話ししました。
この"メリーベル"というお役でも、
彼女は、自らが持つ『ヒロイン』という特性を
遺憾なく発揮します。
よく切れるナイフのような存在感と、
氷のような孤独を抱えた
明日海さんのエドガーと、柚香さんのアラン。
この2人が、傷つけないように、
壊れないように、愛し守りたいと思う存在。
ガラス細工の様な透明感と儚さを、
華さんの"メリーベル"は抱えていました。
それと同時に、彼らが
「この孤独から救ってほしい」
「縋り付きたい」
と思うような、聖女性と母性も。
華さんの"メリーベル"が、
聖女性と母性を表現すればするほど、
明日海さんのエドガーと、柚香さんのアランが、
「縋り付きたい」と思う説得力が増しました。
同時に
「メリーベルに縋り付かなくては、
孤独に耐えきれない。生きていけない。」
という、2人の抱える孤独と哀しみも
強調されることになり・・・。
この3人の並びは、
哀しくも愛おしく、危うい美しさを
漂わせていました。
実際、有名な話ですが、
ポーの一族は宝塚版と東宝版で、
台詞が変更されています。
柚香さんのアランが、
より華さんの"メリーベル"に、
縋り付いていくように。
(良ければ見比べてください)
柚香さん自身、
華さんの"メリーベル"が
舞台で表現する『母性』について、
カフェブレイクで言葉を尽くして
話してくれています。
こうして、華さんの演じる"メリーベル"は、
ビジュアルの再現度の高さと、
トップと2番手の並びの良さ、
また彼女の『ヒロイン性』から
高い評価を受けることになります。
しかし華さん自身、
この役作りは、とても苦労されました。
視力が良すぎて、人生で一切、
コンタクトに触れてこなかった華さん。
初めて青いカラコンを入れることになり、
手がブルブル震えたり。
お稽古場では元気が良すぎて、イケコから
「メリーベルは、アルプスの少女ではクララ!
それなのに、それじゃハイジだ!!」
と怒られたり。
メリーベルは舞台上で、何度も倒れるのですが、
華さん自身、立ち眩みの経験がないため、
舞台袖でひたすらクルクル回って、
物理的に立ち眩みを起こしたり。
・・・あれ?
こう書くと、苦労というより、
楽しそうに見える。
・・・というか、華さん、健康優良児!!(*⁰▿⁰*)
・・・こういう面白いエピソードが
ボロボロ出てくるのも、
私が華さんファンをやっている理由です!!(笑)
冗談はさておき、
実際、大分、役作りで苦労をされていたことは
舞台から感じました。
カクンッと、膝が抜けた様に倒れる仕草や
エドガーやアランと向き合った瞬間の表情、
殺される瞬間の「エドガー、エドガー!!!」と
泣き叫ぶ瞬間の声などは
「さすが!!!」
と思います。
しかし、今の華さんを知っていると
細かい動きや視線の使い方は、大分異なります。
Blu-rayと、宝塚版と、東宝版、
それぞれの映像を比較しても、
彼女の芝居がドンドン洗練されていくのが
観て取れます。
・・・今の彼女が演じたら
どうなるのだろう・・・( ˘ω˘ )
話がずれましたね。
戻します。
『ポーの一族』という大作で、
大きな評価を得たこと。
何より『明日海・柚香・華』の並びが
美しいと実証したこと。
これが、「華優希」という娘役を
『トップ娘役候補』までに、
一気に押し上げました。
元々は『宝塚の劣等生』であった、華さん。
1章でお話しした通り、彼女が
「名前のある役を、もらえた!」
と喜んだ『金色の砂漠』は2017年初め。
『ポーの一族』は、2018年初めの上演のため、
この間は僅か1年。
その1年で、彼女の立ち位置は、
大きく変化しました。
まるで、つむじ風に巻き上げられたように。
第五章に続く