【小説】エレクトロ・Escape (1話)
(1)前置き(まえおき)
時代(じだい)は今から1000年弱経過(じゃくけいか)した3000年初期(しょき)の頃(ころ)のお話です
その時代(じだい)では生活環境(せいかつかんきょう)は愚(おろ)か法律・政治(ほうりつ・せいじ)といった現代(げんだい)では当たり前の環境(かんきょう)が大きく変わった世界。
特(とく)に大きな変化(へんか)は日常生活(にちじょうせいかつ)の中にロボットとの共存(きょうぞん)があること
科学(かがく)が大きく進化(しんか)したこの時代(じだい)、人間とは生まれ方は違(ちが)うが、ロボットも今の人間と同様(どうよう)に親(おや)の元(もと)で育ち家族(かぞく)からの愛(あい)を受け、学校に通(かよ)い国語や算数などの勉強(べんきょう)をして卒業(そつぎょう)をして就職(しゅうしょく)をし、仕事(しごと)をし、人生(じんせい)のパートナーを見つけて結婚(けっこん)をするまさに人間と機械(きかい)が争(あらそ)いも無くお互(たが)いフラットな関係性(かんけいせい)を持っている幸せな世界です……
※この小説で登場する人物・地名の名前は一部元ネタがありますが本編での内容は全てフィクションです、予めご了承下さいm(_ _)m
(2)謎(なぞ)の島に迷い込んでしまった!
彼(かれ)の名前は「カリキュレーター」年は18歳(さい)
母親が昔(むかし)、様々(さまざま)な電子機器(でんしきき)を直(なお)してきた、機械(きかい)の整備士(せいびし)と言う事もあり、いつかは自分の力で誰も思いつかない複雑な機械を作る事を夢見て専門学校に通(かよ)っている1年生。
ちなみにカリキュ君の家族構成(かぞくこうせい)は父親は居なくて母との2人暮らし。
血は繋がってなく、ロボット工場(こうじょう)で生まれたカリキュ君を、人間である今の母が引き取って一緒に生活をしている。
好(この)んで着ているのかは分からないが、いつもロゴTシャツと使い古したファミコンみたいな色の上着(うわぎ)ジャケットを着ている
みんなからは「カリキュ君」と呼ばれたいらしいが、この歳(とし)になっても家族以外との対等(たいとう)に話し合える友達はおらず、連絡先(れんらくさき)は学校の連絡先と家族の連絡先以外には誰(だれ)とも登録(とうろく)していないらしい
そして今、彼は自分の部屋の中で完成間近(かんせいまじか)の様々(さまざま)な場所へ一瞬(いっしゅん)で移動(いどう)ができる「テレポーテーション(Teleportation)」装置を作っていた
カリキュ(心の声)「一応これで一瞬で移動を実現させる転送部分は完成かな…。」
更(さら)に彼は制作過程(せいさくかてい)で出たゴミを掃除(そうじ)しながら次のことを心の中で思った
カリキュ(心の声)「まだ場所を指定(してい)して特定(とくてい)の場所にテレポートする部分は完成していないけど、試しに何処(どこ)に飛ばされるか分からないけど、完成した記念(きねん)に数分だけのランダム世界旅行をしてみようかな!」
とワクワクしながら部屋掃除(へやそうじ)をしていた。
それから数分後、掃除が終わったカリキュ君は少しばかりの水を飲み、水を飲み終わると、テレポーテーションの機械の前に立ち、その機械を操作し始めた。
カリキュ(心の声)「一応ここまでの機械の動作(どうさ)の方は問題はなさそう、あとは問題無く移動ができたら動作は成功。」
そう彼は思うと機械に繋いであるモニター画面に、何処かにテレポートする事を実行するコマンドを打ち込んだ
そして彼は文字通り部屋から瞬間移動をした。
カリキュ(心の声)「お、やった瞬間移動は成功(せいこう)だ」
と彼は心の中で喜んでいたが、カリキュ君がランダムで移動してきた場所はお世辞にも彼の望んでいた世界旅行の風景とは逆の使えなくなった電化製品の瓦礫(がれき)があちらこちらに散乱(さんらん)している、なんとも不気味(ぶきみ)な場所であった。
しかも彼はとても重大なことに気付いてしまった
カリキュ(心の声)「え!?、あ…あー…しまった、帰りの事まで全く考えていなかった…」
そう、カリキュ君の作ったテレポーテーションができる装置は、行きはその機械に移動するとコマンドを実行すればテレポートができる物だが、逆にテレポートした場所から元の場所に帰る時にはテレポートした場所にも同じ機械を設置しないと往復(おうふく)ができない欠点があった
つまり片道(かたみち)で現在位置(げんざいち)がどこか分からない謎の場所に来てしまった
カリキュ(心の声)「どうしよう…、あたりを見渡す限り数キロ歩けば誰かが居る様な場所にたどり着く訳では無さそうだし…」
カリキュ君は自暴自棄(じぼうじき)になりかけていた
そんな時、微(かす)かに海が波を打つ時の音がカリキュ君の耳に聞こえた
カリキュ君(心の声)「ん?この音は海の音?とりあえず何かありそうだから行って見るか」
そう思うとカリキュ君は波の音がする方向に早歩(はやある)きで向かって行った。
カリキュ(心の声)「そうだ、ついでに向かう途中でもしかすると誰か居るかも知れないから、助けてー!と言いながら…いや、でも助けてー!と言って誰かが駆けつけてくれたとしても、本当に非常事態(ひじょうじたい)って感じになって色々大げさになってしまうかもしれないからな…、ここはとりあえず誰か居るか風(ふう)に、誰か居ませんか?でいいか」
カリキュ君「誰か居ませんか?、誰か居ませんか?、誰か居ませんか?…」
その後カリキュ君は、波の音のする方向に向いながら「誰か居ませんか?」と言いながら行った
数分後…
カリキュ「はぁ…はぁ…誰か居ませんか?…はぁ…はぁ…誰か居まs…ゴホ…ゴホ…」
結局(けっきょく)向かっている途中で誰かを見つけることはできなかったが、彼は息が乱れながらも何とか海にたどり着いたのであった
カリキュ(心の声)「あ!あそこに看板(かんばん)があるじゃん、何か書いてあるかな?」
そして恐る恐るその看板に書かれている字を読むと…とんでもない事実が書かれていることを知った
カリキュ(心の声)「厳重(げんじゅう)?…ゴーストアイランド?…えっ!?、まさか…た、確か都市伝説(としでんせつ)の動画で見たことがある、昔は人が住んでいたとても小さな島だったけど、ある時期から謎の事故が多発して周りからは幽霊(ゆうれい)の仕業(しわざ)だとか言われて、最終的には政府からもこの島から退去(たいきょ)しろって言われて誰も居なくなった呪いの孤島(ことう)だ…」
その看板には「【厳重立入禁止】ゴーストアイランド」と大きく書かれていたのであった
カリキュ(心の声)「しかも孤島って事は本当に誰も居ないし、さらに脱出の手段だと思う船なんてこの近くを通るはずないし…、島の住民がみんな退去した理由である心霊現象(しんれいげんしょう)も…、あーーー問題だらけだよぉー…」
カリキュ君は目の前の様々な問題の直面してしまって、しばらく頭を抱え込んでしまった…
(3)島からの脱出計画
彼がこの島から脱出する事を考えている間にも日が暮れて、やがて空には月が見えてきた
カリキュ(心の声)「あぁ…まずい、どうやってこのゴーストアイランドから脱出するのか考えていたら…充電がほとんど無い…」
人形のロボットが人間と同様の活動ができるのは体内に搭載(とうさい)されている普通の充電用の電池とか少し違ってて、特殊な電池が搭載されているから充電がある間は人間と同様に走ったり喋ることができる
本来であれば専用の充電器で充電すれば回復することができる、または人間と同様に食事をすれば体内で食べた栄養(えいよう)が電力(でんりょく)となって充電が回復する
もしその電池が切れてしまったら、充電が0%のおもちゃ・携帯ゲームの様に自我を持たないモノとなる
更にこの孤島には誰1人居ないので充電が切れたカリキュ君を助けてくれる人物は居ない
つまり充電が切れてしまったら、「死」と言う意味になる
カリキュ(心の声)「何とかして充電できる施設を作るか、それとも何か食べることのできる物を探すか…」
その時、海岸から何かの泳いでいる魚を発見した
カリキュ(心の声)「何かあっちに魚が泳いでいる、もしかすると食べれれる魚かも…」
カリキュ君は魚が泳いでる方向へ歩いていくと、そこには鮭(シャケ)や鯵(アジ)といった食べれれる魚だった
カリキュ(心の声)「良かったー、とりあえず今1番の危機は回避できた…。あー…、鮭ってこんなに可愛かったかな…、か、可愛い…」
そのあとカリキュ君は命の危険があるにも関わらず、手に持っている鮭を撫(な)でていたが、改めて命の危険があることを思い出して生で食べようとした
カリキュ(心の声)「可愛そうだけど僕が生きるためには君たちを食べるしかないんだよ…、ごめんね…鮭ちゃん…。頂きます…、グッ!、小骨(こぼね)が刺さったイテテテ…」
カリキュ君はその更にもう1匹鮭を食べていると1つの疑問(ぎもん)が頭の中をよぎった
カリキュ(心の声)「それにしても何故あんなに魚が泳いでいたのだろう?…、んーーー…、あっそうか!この島には人が居ないし、この島自体に近づく人すら居ないから、魚たちがここに集中して生息しているんだ!」
魚を食べて終わると彼はどうやってこの島から脱出するのかについて考え始めた
カリキュ(心の声)「うーーん…どうしようか、もう一度この島に来るときに使ったテレポーテーションの装置をここで作るか…いやあれ自体の制作に3ヶ月も掛かってしまったし、それにこの島にはある程度機械を作るための材料である壊れた電子製品は落ちているけど、作れない部品もあるだろうし無理だろうな…、あとはこの場で電話になる機械を作って助けてもらうか…、いやそれはできな…、この島に入った者はどんな理由であろうと法律上死刑(しけい)になってしまうから例えこの島から脱出できたところでも二度と家には帰れない…、そうなってくると残された手段はボートを作って脱出しか無いけど、方向的にどっちに進めばいいのかすら分からないから下手をすれば今よりももっと最悪な状況になるのかもしれない…、どうすればいいのだろう…。でも、やらずに後悔するよりやって後悔した方がいいって最近読んだ本にも書かれていたからこの方法でやるしか無いみたいだね…」
そう決心(けっしん)した彼はまず明るい状態で作業をするために火をおこす材料を取りに行く事にした。
(4)本当の怖さ
カリキュ君は少しでも早くこの島から脱出するために夜間でも作業ができる様に焚き火の材料となる木を集めに海岸の近くにある林に入っていった
カリキュ(心の声)「燃やすときに使う木って確か元々生えている木を切り倒して使うのだと水分が残っててあまり燃えないって事を聞いたことがあるから、地面に落ちている枝や落ち葉を使えばいいのかな…」
そのあとカリキュ君は着々(ちゃくちゃく)と地面に落ちている枝を回収して集め始めて少し時間が経過したその時、「グゴォグォー」と何かが崩(くず)れる音がした
カリキュ「わあッ!」
いきなりの出来事でカリキュ君は思わず声を上げてしまった
カリキュ(心の声)「なに?なに?、あー…何か建物が老朽化(ろうきゅか)とかで崩壊(ほうかい)しただけか…、少し怖いけど確認しに行った方がいいかも」
そう思うと一旦集めきった枝や落ち葉をさっきの海岸の近くにまとめて置いて確認しに行った
そのあとカリキュ君は無事さっき崩れる音があった場所にたどり着いた
カリキュ(心の声)「やっぱりこれは何かの建物が老朽化して崩壊した跡(あと)だ、とりあえず良かったー…、もしかすると科学では説明できない霊的な何かじゃなくて…」
カリキュ君はそう安心すると再び焚き火の材料になる枝を集めに行こうとしたその時、彼は何か気配を感じた
カリキュ(心の声)「ん!?今何か動いた様な気がしたけど何…?、に、逃げるべきだろうか…」
彼は少し焦りながらもさっき何かが動いたと思われる場所をしばらく観察した
そしてその動いたと思われる場所にその正体となる物を見つけた
カリキュ(心の声)「これは…、僕と同じ人形のロボット!?」
そう、さっき動いていたのはそのロボットが僅(わず)かに手を動かしていたからだ
カリキュ「大丈夫ですか?大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
と声を掛けながら体を揺(ゆ)すってもその子からは反応もない
カリキュ(心の声)「この子、体のパーツがほとんど壊れている…、体に残っている充電の残量(ざんりょう)もほぼない…、さっき手を動かせていたのは奇跡に近い事だったって事か…」
カリキュ君は急いでその子を抱えて、ここに来る前に焚き火の材料をまとめて置いた場所に戻って行った
そのあと彼は置いていた枝などを使って火を起こした
カリキュ(心の声)「大丈夫、必ず直してあげるから…。」
カリキュ君はそう心の中で決心した、本来なら1日でも早くこの島から脱出するためにボートを作らなかればならないが、あんなに体がボロボロで動かせない状態でも僕に助けを求めてきたからなんとしても助けなくてはならないと思ってまずその子の修理から始めるのであった
幸いなことその子を見つけた場所の近くからは、元々(もともと)住んでいた住民が使っていたと思われる電化製品が沢山(たくさん)あって修理の材料には問題がなかった
さらに幸運なことにカリキュ君がこの島に飛ばされたときに着ていた使い古したファミコン色の上着には機械の整備に使う道具が入ったいたのでその子の修理も3時間ぐらいで終わった
カリキュ(心の声)「とりあえずこれで体の中から外のパーツの修理は完了と、でも直し方下手くそだな…、明らかに直しました感が出すぎていて見た目が明らかに継(つ)ぎ接(は)ぎな感じが出てるじゃないか…。それはそうとあとは充電すれば修理は完了何だけど…、困ったな…、充電器はこの島には無いし食べ物を食べてそのエネルギーで充電ができるのは、自分自身にまだ体が動かせる程の充電があるときにしかできない事だから、今の彼には無理か…、うーーーん…、そうだ!僕の充電を少しあげればいいんだ」
そう思うとカリキュ君は電化製品を分解した時に出てきたケーブルを使ってその子と自分の体にケーブルを差した
そしてその子の体に少しだけ電力を送ってあげた
カリキュ(心の声)「このぐらいで十分かな」
と思いケーブルを外して様子を見た…
どうやら上手くいったらしく、その子はゆっくりと意識を取り戻した
カリキュ(心の声)「やったー!修理できた!」
だがしかしカリキュ君が望んでいた答えではなかった…
その子は意識が戻るや否(いな)や、なんとカリキュ君に向かって思いっきり殴りかかってきたのだ!
???(その子)「しねぇええええ!」
バゴォーン!
カリキュ「ぐぎゃぁあああああ!」
怒りで力任せな拳(こぶし)だったらしくカリキュ君はダウンして倒れ込んでしまった…
カリキュ「ごめんさい、ごめんなさい」
よくは分からないが彼の怒りに触れってしまったと思ったカリキュ君はすぐさま土下座(どげざ)をしながら謝(あや)った…
つづく…