【小説】エレクトロ・Escape (2話)
(1)前回のあらすじ
主人公カリキュ君は自分の作ったテレポーテーションの装置によって
呪われた島「ゴーストアイランド」に来てしまった!
帰り方を考えずに来てしまったカリキュ君は途方(とほう)に暮れながらも、なんとかしてこの島を脱出することを目標に行動し始めるのであった…
そのあとカリキュ君は島を脱出するのに必要そうな資源を集めていたら、
カリキュ君と同じ人形のロボットを見つけた!
機械修理が得意(とくい)なカリキュ君はその子を修理したのであったが
目が冷めたその子はカリキュ君を襲ってくるのだった…!
(2)その子の名前は?
バゴォーン!
カリキュ「ぐぎゃぁあああああ!」
怒りで力任せな拳(こぶし)だったらしくカリキュ君はダウンして倒れ込んでしまった…
カリキュ「ごめんさい、ごめんなさい」
彼の怒りに触れってしまったと思ったカリキュ君はすぐさま土下座(どげざ)をしながら誤(あやま)った。
怯えながら10秒程(ほど)頭を下げたままでいたカリキュ君だったが
頭を下げているカリキュ君に対しその子は…
???(その子)「あ、いや…、本当にごめんなさい…」
さっき怒っていたあの声とは別に自分のやってしまった事に対して焦っている様な声でそう言ってきた
カリキュ君は少し困惑しながらも、こう喋った
カリキュ「こちらこそ、怒りに触れる様な事をしてしまって、すいません…。」
???(その子)「いや…あ、ち、違います…、僕はただ、あの…、嫌な奴と間違えて…」
その子はかなりパニック状態で喋り口調(くちょう)もかなり焦っいていた喋り方であった
カリキュ(心の声)「どうしよう…、喋り方的には悪いロボットではなさそうだし、殴りかかってきた事自体、本当に誤って殴ってきたみたいだし…」
カリキュ君はそう心の中で思って、とりあえずその子を落ち着かせる為(ため)に、殴られた事に対しての恨みや殺意(さつい)は無いと言う事を全力で伝えた。
カリキュ「えーと…、気にしないで下さい!、誰にでも間違いはあるので」
伝わるのはとても大変だったがなんとか彼に殴られた事に対する恨みが無い事を信じてもらえてた
???(その子)「ごめんなさい…、あのー、ここはどこですか?」
どうやらその子はここの場所がどこかは分かるずに自らの意思(いし)でこの島に来たと言う訳ではなかった
カリキュ「あー…、えっと、何から話せばいいのか分からないのですが、とりあえずあそこに座って話しましょうか」
カリキュ君はそう言って彼を修理している時に用意していた焚き火の近くに案内して、今自分たちがどこに居るのか、これからカリキュ君はどうするのかについて説明した
(3)悲しい過去…
カリキュ「そういえば言い忘れていた事ですが、僕の名前はカリキュレーターって言います…、もしよろしければカリキュ君って呼んで下さい」
カリキュ(心の声)「あーー、言っちゃったー…、初対面(しょたいめん)のロボットに向かってカリキュ君って呼んでくださいて、全くいい身分(みぶん)だよ…、もうダメだ…」
結構ノリで言ってしまった事に対して心の中で後悔(こうかい)しているカリキュ君だが、それを聞いたその子はこう返事してきた
???(その子)「こちらこそよろしくお願いします…、カリキュ君!、僕の名前はステーラゼーション、ステラ君って呼んで下さい…」
と、ゴム手袋と黒い長靴をしていて頭に緑色のバケツを被っている、その子ステラ君は少し声のトーンが暗いながらも答えてくれた
カリキュ(心の声)「い、い、今、カリキュ君って言ってくれた!、こ、こちらこそ、よろしくね!」
カリキュ君は今まで友達が居なかったのだが、初めてステラ君にあだ名呼びされた事で友達ができた様な気分でいた
そしてカリキュ君は改めて島を脱出する事に向けて作業をすることにした
カリキュ「それじゃあ、僕はこれからボート作りに取り掛かるから、ステラ君は疲れていると思うから寝たほうがいいと思うよ」
カリキュ君はそう言って作業に取り掛かろうとしたとき…
ステラ「あ、ちょっと聞きたいのですが…、その左手の傷(きず)は何ですか…」
カリキュ「あ~、えっと…、実は…、修理する時に必要な部品をこの島に落ちていた電化製品を使って直そうとしていたんだけど、その電化製品を分解する時に、僕の持っている工具だけじゃ分解しきれない部分もあったりしたから、手の怪力(かいりき)で分解したんだけど、その時にできた傷かな?」
それを聞いたステラ君は心の中で何かが解(ほど)けたかの様に泣いてしまった
ステラ「うぅ…。うぅぅぅぅぅ…ぐぅ…。」
カリキュ(心の声)「あ…泣かせてしまった…、何か悪いことでも言ってしまったのか…、とりあえず謝らないと…」
カリキュ君はそう思って「ごめんなさい」と口に出して言おうとしたとき、ステラ君は泣きながらこう言ってきた
ステラ「ごめんなしゃぃ…。僕がわるいんです…。」
その姿を見たカリキュ君は、なんとなくステラ君の肩を抱いた『いわゆる、ムギュー!』
そのあとステラ君は今まで冷たい態度(たいど)をとってた事に対しての謝罪と過去に何があったのについて打ち明けてくれた
ステラ「僕、元々は人間でして、人間の頃は家族と暮らしていていたのですが…、あの…正直に話しますが、最低な家族です…。いつも面白半分で僕に向かってイタズラで済まされないような事をするクズです…。」
その真剣な語り方にカリキュ君は真剣な眼差(まなざ)しで聞いていた。
ステラ「ある日僕は、通学中に駅のホームで1歳年上の姉と一緒に電車を待っていたのですが、その日はそこそこ人が混んでいて、結構バタバタだったこともあって、僕はうっかり線路側に落ちてしまいまして…、運が悪く電車がもうすぐそこまで来ていて、とっさに僕は登(のぼ)ろうとしてホームの床に手を付いたのですが、その時に僕の姉が登ろうとしている僕の顔を踏み潰してきました…、そのあとの事は想像が付くと思います…。気付いた時には病院のベッドで寝ていました…。その後医師から、今の体のままだと命が危ないから新しく体にするしか無いです。と言われて僕はそうして今の姿になりました…。」
話を聞き終えたカリキュ君は自然と泣いが出ていた…
カリキュ(心の声)「家族なのに…、何でそんな事をするんだよぉ…、そしてステラ君は電車に轢かれる直前にも助けを求めていたのに…、なんで…、」
ステラ「この話にはまだ続きがあって、そのあと体を失いながらも無事退院できたのですが、その日から家族の嫌がらせも大きなものになって来まして、階段を降りているときに後ろから突き落としてきたり…、寝ているときに首を絞めてきたりしてきて、毎日が苦痛で辛い日々でした…。その内回りの友達や先生からも相手にされなくなる存在になっていきました…。そんなある日、僕は家を出て一人で暮らそうと荷物整理をしていたところ家族にバレて、命である充電を0%にされて…、多分この島に捨てられたのだと思います…。これが僕が体験した事です…」
全てを話し終えたステラ君を前にカリキュ君は黙ってしまった…
無性(むしょう)にも焚き火のパチパチと鳴る音が響く
ステラ「なんか暗い感じの話をしてごめんなさい…」
ステラ君の話を聞き終えたカリキュ君の顔は何かと辛そうな顔をしていたが、ステラ君心配そうな顔をしてきたので笑顔でこう答えた
カリキュ「いやいや、本当のことを言ってくれてありがとう!、まだ僕のことは信用しなくてもいいけど、なんかやって欲しい事とかがあったら遠慮(えんりょ)なく甘えてもいいよ!、あとまだ体が完全に治った訳ではないからステラ君は先に寝てて大丈夫だよ!」
最初は結構ヒヤヒヤしながら喋っていたカリキュ君だがステラ君と喋っている内に自然な感じで喋れれるようになっていた
(4)少し天然で純粋(じゅんすい)な友達
そのあとカリキュ君はこの島を脱出するのに必要なボート作りに、ステラ君は疲れた体と心を休ませるために落ち葉とこの島で見つけた少しボロボロの布を被って寝ていた
カリキュ(心の声)「えっと、ボートの材料はどうするかな…、普通だったら木を並べてロープか何かで縛って簡易的なボートを作れるはずなんだけど、数日程度の漂流(ひょうりゅう)なら大丈夫かもしれないけど数週間、海を彷徨(さまよ)うことになると沈没(ちんぼつ)する可能性もあるし、そう言う事も含めると頑丈(がんじょう)なボートを作る必要もあるな…、うーーん…、どうすれば安全で長時間の漂流もできるボートを作れるのだろう…」
カリキュ君はどうすればこの島の材料だけで安全に海を渡れるボートを作れるのか、頭の中で設計図(せっけいず)を書いては消しての繰り返しをしていた…
そんあ事をしているカリキュ君の背後に何かが近づいてきてカリキュ君の肩をスッと触ってきた
カリキュ「う”あ”あ”あ”あ”!?」
思わず裏声が出るほどびっくりして奇声をだしてしまった
考える事に夢中になっていたカリキュ君は触られるまで気付いていなかった
ステラ「あ、ごめんなさい…」
後ろを振り返ると後ろにステラ君が居た、どうやら後ろに来ていたのはステラ君だった
カリキュ「あ、いや…、どうしたの?」
カリキュ(心の声)「『どうたの?』じゃないよ、むしろ僕の方がどうしたのだよ」
ステラ「あのー…、あまり…寝れなくて…、その…恥ずかしい話、1人だと怖くて寝れないので…、一緒に寝てくれませんか…」
カリキュ(心の声)「え!?、い、一緒にか…、別にいいんだけど、ステラ君…色々あって疲れているのかな…」
ステラ君のいきなりお願いに少し手間(てま)取(ど)るカリキュ君だが、この島だと、いつ幽霊が現れるかもしれない状況だと、こう甘えて来るものだと自分に言い聞かせたし、とりあえず寝て休めば明日にはボート作りの良いアイデアが降りて来ると思って今日は一旦寝ることにした
カリキュ「うん、丁度僕も寝ようと思っていたところだから一緒に寝るね」
ステラ「えっと、それじゃあさっき僕が寝ていた場所で一緒に寝よ」
カリキュ(心の声)「ま、まさか、一緒に寝るって同じ布団で寝るってこと、てっきり別々の場所で寝るのかと思っていたけど…、でも…なんと言うか、ステラ君可愛い…」
ステラ君の純粋で少し天然なところにハマってしまったカリキュ君である。
そのあと何だかんだで同じ布団で寝る事になった
カリキュ(心の声)「き、気まずい…」
ステラ「おやすみ…」
カリキュ「あ、うん、おやすみ」
そうして2人は寝る事になった。
【翌朝】
日が少し昇りオレンジ色の空が黄色に変わった朝、カリキュ君は苦い顔でこう思った
カリキュ(心の声)「全然寝れなかった…」
最初は普通に寝れるかと思っていたカリキュ君だが、ステラ君にずっと抱き枕されている状態だったので全く寝れなかったカリキュ君である
ステラ「ムニャムニャ…、ん?もう朝…」
カリキュ(心の声)「どうやらステラ君はしっかりと寝れたみたい、良かった…!」
ステラ「おはよう、カリキュ君」
昨日よりステラ君の喋り方が少し嬉しそうな口調で喋っていた
その喋り声を聞いたカリキュ君は少し安心した様でステラ君の言葉に返事をした
カリキュ「おはよう!、よく寝れた?」
ステラ「うん。よく寝れた!」
何気ない会話だが、2人が侵されている状況からすると何処(どこ)と無く、ほのぼのする会話であった。
そのあと2人は朝ごはんとして昨日、海沿(うみぞ)いに泳いでた鮭(シャケ)と一緒に泳いでたサバを焼いて食べる事にした
そしてサバを焼いている時、カリキュ君はこう思った
カリキュ(心の声)「はぁ…ボートどうしようかな…、うっかり沈んでも大丈夫な形か…、魚達はいいよね、天敵(てんてき)がいない以外水の中を自由に動けるなんて…、ん?…あ!これか!!、なるほど分かった!」
カリキュ君は食べていたサバを見てどうすれば安全に海を渡れるのか閃(ひらめ)いた!
そして更に、場所すら良く分からないこの島から元居た場所に向いて方角的(ほうがくてき)に行けるのかを思い付いた!
そう思い付くとステラ君に問いかけてみた
カリキュ「ステラ君、ちょっとお願いがあるんだけど…、ステラ君の頭の中にあるGPS機能(ジーピーエスきのう)の発信記録(はっしんきろく)を見たいんだけど…いいかな?」
話を聞いたステラ君はきょとんとした顔で聞き返してきた
ステラ「じーぴーえす?…ってなにですか?」
カリキュ「あ、えっと…GPSと言うのは、自分の居場所が分かる様になる物…かな…。」
カリキュ(心の声)「自分なりに分かりやすく簡単に説明した…はずなんだけど分かってくれたかな…」
ステラ「あ、なるほど良く分からないけど頭の中の記憶を見るって事だね、自由にしていいよ!」
そんなこんなでステラ君の頭にあるGPSの発信記録を調べることになった。
状況的には、ステラ君は座ってて、その後ろにカリキュ君が立っててステラ君の頭の中を見るいわば美容院で客と店員の体制に近い感じである。
ステラ君の体を直した時と違ってて、大きな作業ではないのでステラ君の体を一旦シャットダウンする必要はないのでお互い雑談(ざつだん)をしながら発信記録を調べていた
ステラ「そういえばカリキュ君って兄弟とかって居るの?」
カリキュ「…うん、優しくて困っている人を放っておけない…、弟が居たよ…」
ステラ「へぇー、そうなるとカリキュ君の弟って今頃とても心配しているんじゃない?」
カリキュ「…2年前に亡くなったんだよ…。」
ステラ「えっ!?」
カリキュ「うん…、僕の弟リクイッドクリスタル、リクイルは…今のも無くならない戦争に駆り出されて戦死(せんし)してしまったんだよ…。今生きていたらステラ君と同じ年齢だったな…」
ステラ「痛いところ聞いてごめんなさい…」
カリキュ「そんなことないよ、今まで僕の周りで話し合える友達が全く居なくてまともに話した事があるのはステラ君だけだよ…、ありがとう…。」
カリキュ君の返事を聞いてステラ君は本当にまた信じても良いんじゃないかと思い始めた
カリキュ「お、やっとステラ君が何処から来てこの島に来たのかが分かった、ステラ君ありがとう!」
ステラ君のGPSの記録からどっちの方向に行けば安全に帰れれるのか分かったらしい。
づつく…