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[No.0 愚者 逆位置]mimiの妄想劇場

崖の上で若い男が座り込み、
小さな袋を開いている。

中には、
男が用意した荷物が入れられていた。

「やはりこれだけでは駄目なのか」

男は大きなため息をついのは、
さっき旅人と話をした事が原因だった。

その旅人は、出発前に計画をしっかり立て、
必要な物もリストアップして、
1つずつ確実に用意を行い旅支度をしたらしい。

けれど準備万端で出発したつもりが、
たくさんの問題にぶつかり大変だったと言う。

そんな話を聞きながら、
男は旅の話が出来ることに喜んだ。

『僕も旅に出ようと準備してるんだ!』

と、自分の用意した荷物を旅人に見せた。

すると…
男が予想していたものと違う言葉が返ってきた。

『たったこれだけ?
もっと考えて準備しないと大変だぞ。
私の話をちゃんと聞いてた?』

旅人は男の荷物を指差して笑った。

男はすっかり気が落ちてしまい、
この崖までやってきたのだった。

そして自分で用意した荷物を眺め、
何回も、何回も、
足りないモノは何なのか考えた。

「いったい何が足りないんだー!!!」

いくら考えても分からず、
天を仰ぐ形で地面に倒れ込んだ。

白く輝いている太陽に叫んだところで、
分かるはずもないと思いながら、
気持ちを抑えることが出来なかった。

男はとうとう決断する。

「僕は旅に出たい!

色んなことを経験したい!

失敗したって良いじゃないか!!」

男は思いっきり息を吸って叫ぶ。

「よしっ!僕は行くぞーーーぉ!!
こんな所で止まってなんかいられないんだ!」

勢いよく飛び起きた男は、
広げていたモノを元通りにまとめて、
ついに何かを探すために歩き出した。

ずっと男のことを心配して、
影から見ていた小さな犬も、
後ろからひっそり男に着いて歩き始めた。

「ん?旅は道連れだなっ、一緒に行こうっ!」

旅先で何に出会い、
何を経験し、
何を得ることが出来るのか、
考えるだけで男の胸は高鳴るばかり。

おそらく彼を止めることは誰にも出来ないだろう。


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