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ClubhouseのUX分析、生み出した価値、今後の展開予想

突然今週バズったClubhouseの、背景にある価値と、今後の展開予想を書いていきます。
*まずClubhouseってなんぞや、という方はこちらをご覧ください

UX分析

Clubhouseがなぜこんなに広く多くの人がハマったのか、その背景をUXから分析します。

シンプルで使いやすいUIデザイン

まずUIは基本的に、①話を聞くroomを探すこと ②自分が話すroomを作ること の2点で構成されています。

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みてわかる通り非常にシンプルになっており、roomをタップしただけで、その部屋に入り、会話を聞くことができます。会話に参加するためには手を挙げたり、承認者側はそれを承認するなど少しテクニックや慣れが必要になりますが、使ってみたらすぐわかると思います。日本語対応されておらず、英語のみなのは、得意じゃない方には少し辛いかもしれません。Roomを作るも同様です。慣れ入りますが、直感的で非常に使いやすいです。機能的にあまり入れ込まず、シンプルにしているところが素晴らしいです。

高い音声品質

音声品質が実はこのツールの人気において非常に大事な要素です。使ってみると分かりますが、これまでのオンラインツールよりも「話しやすい!」 これはこのツールの音声品質が非常に良いからです。具体的には話がかぶると、他のツールだと話せなくなってしまうのですが、こちらは被っても双方の声が聞こえます。そのためよりリアルな会話がしやすくなりました。

通知機能

通知をオンにすると、フォローしている人が何かroomに入ったことなどを知らせてくれ、そこをタップするだけでその部屋に入れます。これは後半で説明するセレンディピティを生み出すのに非常に有効な機能です。通知を消そうとしてタップしたただけで、会話に参加してしまい、その結果思いがけない人とのつながりや、情報がもたらされます。
また「自分の知らないところで、あの人が話してるなら聞かないと!」という気持ちも駆り立てられ、結果的に1日に何度もClubhouseに入ってしまうという状況になります。
通知はroomだけではなく、知り合いが入ってきたことも知らせたりするため、新しく話したい人が出てきて、その人とコミュニケーションを取れるワクワク感なども生み出します。結果として、飽きずに習慣がつくまで使ってしまいます。

リアルタイムの会話にこだわる仕様

実は規約をよく読むと、このサービスはスピーカー全員の許可を取らない限り、録音や内容のシェアが許されていません。また情報のアーカイブ化もされないため、話す側はその場で思いついたことをラフに話すことができ、心理的敷居が低いです。そのため芸能人がお酒を飲みながら雑談したりできます。インスタライブやYoutubeライブなどと違って、当事者だけではなく他の人たちとの会話の内容がメインとなるため、配信者のよりリアルな人柄を知ることができます。

選民意識をくすぐるプロモーション

ここまでの説明でサービスとしてのUXが非常に戦略的で洗練されているため、人気が出るのは頷けるのですが、さらにバズった背景は、利用を承認制にしたことです。一人が登録されるとその人に渡される招待券はたったの2枚。そのため、なかなか広まりません。流行ったのはスタートアップや芸能人などアンテナが高い人かつ発信者のため、「あの憧れの人が、Clubhouseというアプリを初めてそこで話しているらしい!私も聞きたい!」となり、爆発的に入りたい人が増加しました。入りたいけど入れないことで、入った時のステータス感は非常に高まります。また入った後自分が承認することで他のユーザーを登録できるため、少し優越感が生まれます。このサービスを使うことで、少し気持ちよくなり、自分のステータスを証明するアプリとして、このアプリのことが好きになります。
同じ手法をかつてのGmailやSpotifyも取っていたそうで、非常に有効な宣伝手法です。実際これにより、TwitterやFBなど様々なところでClubhouseに招待してほしい!という書き込みが溢れ、多くの人に知られていきました。

Clubhouseが生み出した価値

上記のUXによってこのサービスが世に生み出したものは「セレンディピティ」です。

セレンディピティ(英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。 ---wikipediaより引用---

世界がコロナで外出や人との会食がしにくくなり、これまでできていた雑談や新たな出会いができなくった今、その渇望にぴったり当てはまったのがこのアプリです。使ってみるとしばらく話していなかった人や、会ったことない人など想定していなかった人との出会いと、それによる新たな情報を得たり、絆が生まれたりします。そうした偶然の出会い、セレンディピティが生まれにくくなっていたところで、その敷居を下げ実現しています。それがClubhouseを使う楽しさであり、寝不足者が続出するほどの熱中につながります。

Clubhouseの今後の展開予想

ここまではClubhouseの会話や他のところでも話されている内容も多かったと思うのですが、ここからは私独自の想像で今後の展開を記載します。全然違うよ、とか ここはこうじゃない? とかありましたらClubhouseでお話ししましょう笑

▶︎ここ数週間以内に起きること(起きてること)

招待制の廃止 アプリのオープン化
iPhoneだけではなくアンドロイドのリリース

→これにより利用者数は爆発的に増えます。またそれによってFBの様に投稿のオフィシャル化、やりにくさが生まれてしまいます。今はゆるく話していても、会社の上司がつながっていると変なタイトルのroomは作りづらくなってしまうイメージです。

収益化
→収益化はすでに囁かれていますが、ここでしか聞けないリアルタイムな会話に対して、いくつか収益化できそうなポイントはあります。

投げ銭:人気の人に対して、その会話に対し投げ銭ができることで、フォロアーが多い人が儲かる仕組みになります。そうしたインセンティブを与えることで、より良いコンテンツが生まれプラットフォームとしても活性化します。

Room、Clubの有料化:面白そうなroomは会員しか入れない、入るのにお金がかかるなどになり、Noteの有料記事の様に限られた人に向けたコンテンツになります。

他にも広告やステマなど複数ありそうですが、今後も人がこのコンテンツを使うモチベーションとなるために収益化ができる様になるのは自然の流れだと思います。

イノベーション創出
→ここでの出会いがビジネスとして協業や投資など、リアルなビジネスに結びつきます。実際すでに数十億の投資が、Clubhouse上で生まれています。そこで重要視されるのが、より人気者や投資家などとの強いつながり(Clubhouse上で言うと、自分のroomにそういった人を呼べるか)が大事になってくるでしょう。もしかしたら有名な人への講演料の様に、自分のroomに来てもらうために裏でお金のやりとりが生まれるなどもあるかもしれません。

リレーションの強化と格差
→ファンや顧客との新しいリレーションの形として、こちらの運用が求められてきます。敷居が低い分、現状誰でもうまくマーケティングすれば、多くのフォロワーを獲得することも夢ではありません。そうした新たなファンや顧客を見つけ関係性を深めることができる様になります。
その反面、知っている人と知っていない人の情報格差が大きく生まれます。仲間意識とその反面の差別なども生まれてくると思います。聞く側の利用者はどこまでを追って、どこまでを追わないか日々選択をしなくてはならなくなります。
またClub機能もまだ日本では栄えていませんが今後次々とオープンとなるため、オンラインサロンの様なつながり、括りが生まれることになります。

▶︎ここ数ヶ月以内に起きること

コロナによる外出規制が緩んだ時のリアルへの揺れ戻し、融合
→コロナがワクチンの展開、気温の上昇などで弱体化した場合、外のイベントなどが増えて、利用者が少しずつリアルに戻っていきます。基本的には時間の奪い合いなので、今外出があまりできないところから、このサービスの強豪であるありとあらゆる外の誘惑にお客が取られるでしょう。また先に書いたつながりの強化による疲れなども出るため、リアルで会いたい と言うモチベーションも高まると思います。
しかし一方で、新たな出会いを簡単に生み出せると言う特性も理解されているため、利用シーンによる使い分けが進み、オンラインでの出会いからオフラインのイベントをトータルで経験として生み出すサービス・イベントが出てくると思います。

利用ユーザーの二極化
→既に生まれつつありますが、発信する人と、内輪の会話で使う人の二極化が顕著になります。一定数の人気が固まると、下手にそのレベルに到達するのが難しくなり、またそうした状況がダサい と言う様な感覚も生まれて、中途半端な状況で一般人がオープンに会話しなくなります。またFBの様に知り合いがやっていて話しにくくなると言う状況も増え、人気がある人の話を聞くと言う使い方と、自分で話すときはクローズドなコミュニティでおしゃべりすると言うのが一般的になるのではと思います。

つながり自慢
→これまでのSNSは個人の状況発信が主でしたが、今回のClubhouseは基本的にインタラクティブなところが価値なため、誰と会話してる自分すごい、や 誰と会話してるあの人なら信頼できる、フォローする価値があるとなります。そのため信頼の源泉が人とのつながりによって生み出されます。近い将来の箇所でも書きましたが、人とのつながりがビジネスに直結するため、より人と仲良くなるのが得意な人、もしくはそれを意識したネットワーク作りをしている人が勝つ世界になると思います。

声・音の商売
→声だけのコンテンツのため、実社会では人気がない人でも人気をゲットすることができます。他のサービスで声を売っていた声優さんなどはもちろん、Vtuberなどの声を変えた人なども参戦して、人気を奪い合うと思います。またイベントの中にもMCなどに声の綺麗なアナウンサーなども出てきたりする様に、声に対する需要が高まるのではと思います。

▶︎その先の展開

Youtuberの様にClubhouseで生計を立てる人が生まれる
→基本的に実名なため、リアル世界での人気は影響しますが、このClubhouse場で人気が出て生計を立てれる人は間違いなく出るでしょう。

ビジネス向けの展開
→C向けのサービスですが、多くの人が入れば、B向けのサービスも導入される想定のため、企業の宣伝活動やサービスのプロモーションの戦略を練る上で必須の媒体となるでしょう。

データの利活用
→こちらで得られる値はその人の特性やつながり、その人そのものになります。そのデータを世界中で持つこのサービスはGAFAに並ぶ大きな存在になっていく可能性があります。

最後に

1サービス企画者として久しぶりにワクワクするサービスが出てきて、正直「負けたな!!!!悔しい!!!」と思いました。
特に素晴らしかったのは「ナチュラルな雑談の実現」「セレンディピティの創出」の部分。ここ最近の企画でずっと考えていたので、新たな実現方法を目の当たりにして、様々な方向性が新たに浮かびました。

またサービスの課題を挙げるとすると、Clubhouseは圧倒的SNS強者のためのツールとなっているため、そうではないユーザーにとってはラジオ系のサービスやLine通話とあまり変わなくなるのでは、と言う点です。そうした人も楽しめる様にどの様な戦略をとるのか楽しみです。

以上、勝手にClubhouseのUX分析と今後の展開予想でした。数ヶ月後全然違う方向になっていたら恥ずかしいですね。笑 未来が楽しみですし、自分も負けない様にサービス企画していきます!

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記事へのいいねもお待ちしています笑

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