父の話
乳の話ではないのごめんね。
父の話です。
我が家ではパパ、パピー、もしくはダディと呼んでいますが、いずれにしても父です。
人に紹介する以外に「お父さん」と呼んだ事はないかもしれない。
少なくとも記憶にはない。
私、嫌なことをされると結構ヘラヘラクスクス笑ってるかフンフン歌ってんです。
もちろんその場から離れた後で。
見方によってはサイコに見えるかもしれないし、我ながらかなりホラーだなと思うこともしばしばあり。
そらそうやん。
馬鹿にされたりイジメの手前くらいのいじり方されたりした後で一人になって笑ってたり歌ってるとかもうイッてるというかキマッてるとしか思えへんやん?
でもこれ父の教えなのよ。
高校の頃、イジられすぎて怒りに涙しながら帰った日があって。
たまたま仕事帰りの父と鉢合わせて「どどどどどうした?!とりあえず車乗りなさい?!」って声かけられて。
ちなみにどどどどはドドドド…ではなかったからそんなに奇妙な冒険感はなかった。
いや、父の車AE-86だからドドドド…って音はしてた。
いくら父とはいえ、肉親に「我が子がそんな事されてる」って思わせたくなくて、ほとんど本体が見えないくらいオブラートに包んで声にビブラートをかけながらポツポツ話してたのね。
それまで黙って聞いてたし、ああ、きっと怒らせたか嫌な思いさせたんやなって思ってたのね。
「その今話してくれたのは全体のうちほんのうっすらなモンなんやろうね」
Oh,バレてる。
「ちょっとでええから笑うか歌いなさい。人間どんな笑い方でも歌い方でも息吐かな続けてられへんし、息吐いたらお腹に引っかかってるものも多少出て行くからね。どうせ息に乗せて出していくならため息より笑い声か歌声に乗せた方がええやろ?そうしなさい。」
って言われてやってみたのね。
怒って半泣きで歌うとかシュールだなって思いつつ。
「よう我慢したね」って言われて、それこそ本気泣きするの我慢させてた私の心の鍵みたいのが急にほどけて、父のガチ改造車の中で大泣きしながら出た私の一言、「今アイス食べたい」だった。
なんでアイス食べたかったのか覚えてない。
でも、「わかったよ」ってその足でコンビニに寄って「ママには内緒にしときや」って買ってくれたチョコモナカジャンボの皮、私の気持ちと同じでしっとりしてたのがちょっと残念やったなぁ。