【「ありがとう」と「すみません」どちらを用いる?】~ことばの虫メガネ①~
相手に感謝の気持ちを伝えるとき、「ありがとう」と「すみません」のどちらを使うべきか、悩んでしまった経験はないでしょうか。
日本人ならではの悩みと思いきや、古代中国でも“Thank you.”と“I’m sorry.”の両方の意味で使われていたようです。四書五経の『礼記』などにおいても、”謝”は「感謝」と「お詫び」の2つの意味が含まれています。日本でも昔は、「有難し」「かたじけない」といった言葉があり、今の意味につながっているかと思います。
そのため、相手に感謝を伝えるときは「ありがとう」と「すみません」のどちらでも正解だと、日本社会ではいえます。少々厄介なのは、外国の方とやりとりするときでしょうか笑
私は職業柄、言葉やコミュニケーションについて考えることが多いですが、「辞達」(じたつ)という考えを大事にしています。これは『論語』に出てくる言葉ですが、「辞は達するのみ」と読みます。
「意味を十分に伝えることが大切」「意味が通じれば良い」とこれまた2つの解釈ができるのですが、ようは「お互いが結果として理解し合えている状態を保つのが大事」と個人的には受け止めています。時と場所、場合に合わせて行動や言動をわきまえる”TPO”が大切という話ですが、ここでポイントなのが「相手の存在を忘れない」ことだと感じています。
マナーだからと、TPOだけをテンプレとして守ればいいという話ではなく、「心の通った接し方を心がけよう」というニュアンスでとらえています。「ありがとう」「すみません」は誰もが知っている言葉ですが、基本だからこそ用法が奥深いところがありますね。たまには、この2つの言葉について考えてみると、身近な方や大切にしたい人に感謝の気持ちが湧いてくるかもしれませんね。
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